kenpou ans 214

④漫画(p.9)には、「ケータイもネットもなかった時代の憲法」だと「今の社会についてこられない」というようなことが書いてありますが,本当にそうですか。

違います。「ケータイもネットもなかった時代」という表現で古くて時代遅れということをイメージされていますが、古いことイコール常に「今の社会についてこられない」ということにはなりません。

では、憲法がついていけない問題が今の社会にあるかですが、環境権やプライバシーの問題などは、当時はそういう概念も希薄だったため現行憲法でカバーできないと言われることがあります。しかし、憲法は何から何までを具体的に規定し全ての事象をカバーするものではありません。憲法では基本的な理念を規定し、具体的なことは個別の法律でカバーすればよいのです。そうすると問題は、現行憲法で環境権やプライバシーの問題などをカバーできるのかということです。

これは基本的な人権に関わることですから、第3章「国民の権利及び義務」で十分対応できます。個別法で対処すればよく改憲の必要はありません。

なお、「今の社会についてこられない」という漫画の表現は、「ついてくる」という語からわかるように、「社会を前(先)」「憲法を後ろ(後)」に置いている見方です。それによって「憲法が遅れている」「十分ではない」「劣っている」という否定的な印象を持たせる結果となっています。

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