kenpou chap3-7

3.7 憲法改正条項の改悪

現行憲法96条1項は、「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」と規定しています。これに対して、改憲草案は、「三分の二以上の賛成を「過半数の賛成」に変更するなどの提案をしています。

憲法は人権の不可侵性を規定し、権力の制限を定めている国の最高法規です。憲法の改正が国会議員の過半数で発議できるようになってしまえば、憲法は通常の法律と大差がなくなってしまいます。国民投票も万能ではなく、しばしば間違った方向に流れるという諸外国の経験もあります。それを防止するためにも、国会での「熟議」を踏まえた三分の二以上の特別多数による「発議」が必要です。

そもそも憲法改正手続によって96条自体を改正できるでしょうか。憲法学説の多くは、96条に基づいて96条の根幹を変更することは認められないと考えています。「ゲームの途中でルールを変えるのはフェアでない」という批判を受けて、2013年の春から夏にかけての96条先行改憲論は実際政治の場から姿を消しました。「改憲草案」のこの提案も撤回されるべきです。

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