kenpou chap3-5

3.5 基本的人権の形骸化(2)

信教の自由と政教分離について、国家および地方自治体に禁じられる宗教的活動や公金の支出・公財産の利用から、「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないもの」を例外化して、靖国神社公式参拝・神社への玉串料支出・皇室祭祀などの合憲化が予定されています。これは政教分離原則の大幅な骨抜きであり、特定宗教の押しつけによる信教の自由の侵害をもたらします。

改憲草案は、国民の義務・責務を大幅に導入しているほかに、以下のような問題点があります。

①政治的関係における身体の拘束の可能性を認めて徴兵制の可能性を残しています。

②職業選択の自由(営業の自由)に関して、経済的・社会的弱者の保護の観点からの「政策的制約」を意味する公共の福祉による制限を撤廃しています。

③教育の位置づけを「国民の未来を切り拓く」のではなく、「国の未来を切り拓く」ためとしています。

④公務員の労働基本権を制限しています。公務員の労働基本権の制限は、民間企業の労働者にも大きな影響を与えます。

⑤家族の互いの助け合いを義務化して、生存権の削減を容易にしています。

⑥人口比に基づく選挙権の平等を相対化し、選挙権者から外国人を排除しています。

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