kenpou ans 22401

①漫画(p.59)では,現行憲法では「男女平等が謳われ女性の地位は向上したが、個人の自由が強調されすぎて、家族の絆とか地域の連帯が希薄になった」とありますが、家族の絆とか地域の連帯が希薄になったのは本当に「個人の自由が強調されすぎ」たからですか。また仮に「個人の自由が強調されすぎ」たとしたら,それは現行憲法に原因があるのですか。

どちらも「いいえ」です。

まず「個人の自由が強調されすぎて、家族の絆とか地域の連帯が希薄になった」について考えてみましょう。個人が自由になればなるほど家族の絆とか地域の連帯が希薄になると言えるでしょうか。自由と無関心・孤立とは同じことではありませんから、自由であることと家族や地域との結びつきが強いこととは矛盾しません。因果関係はないのです。もし漫画で述べていることが真だとしたら、「家族の絆とか地域の連帯が希薄にならなかった、それは個人の自由が強調されすぎなかったからだ」ということにもなります。

つまり、「個人の自由が強調されすぎて、家族の絆とか地域の連帯が希薄になった」と考えている人は、「家族の絆とか地域の連帯が強くするために個人の自由を制限すればよいのではないか」と考えている可能性があるということです。「絆・連帯」と言いながら、一種の同調圧力や犠牲を求めているかのように感じられます。

2つめの「いいえ」に関しては,個人の自由も「「公共の福祉に反しない限り」認められているのであって無制限なわけではありません。憲法に瑕疵があるわけではないのです。現行憲法否定が先にあるかのような論理には注意が必要です。

目次に戻る