kenpou ans 22302

②日本には国歌や国旗を明確に定めた規定がありません。国歌斉唱をしないのは愛国心の欠如ではないでしょうか。

1999年に、国旗は日章旗とする、国歌は君が代とすると定めて「国旗及び国歌に関する法律」が制定されましたが、国民に対する格別の義務は課せられませんでした。日章旗や君が代に対する国民の考え方にはさまざまなものがあります。たとえば、日章旗は日の丸を掲げて戦った戦争を想起させ、君が代は、天皇の世の永続を願う歌詞が昔のままであることから、戦後、国歌、国旗を変更しようとする動きもありました。ですから、今、これらに対して国民の尊重義務を設けることは憲法の保障する思想・良心の自由に違反します。

天皇の地位は主権者国民の総意に基づいているので、主権者国民が天皇制を廃止する意思を憲法改正によって示せば、いつでも廃止することができます。ですから、天皇制をどう考えるかは個人の自由であるにもかかわらず、君が代を歌うことで強制的に天皇の時代が千代に八千代に続くことを願わされることは、国民主権原理に反します。

国歌斉唱をしないのは愛国心の欠如だという主張は、愛国心を間違った意味にとらえているからです。愛国心とは、現在の日本のあり方をそのまま肯定し、美しい日本だと自己陶酔に浸ることではなく、国家のあるべき姿に照らして過去と現状を見つめ直し、未来を展望するものです。

国歌を歌うから愛国心がある、歌わないから愛国心がないという、誤った考え方から卒業するときが来ています。

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