kenpou ans 22301

①日本が「立憲君主国」なら、天皇を元首としてもよいでしょうし、日本に元首がいないのはおかしいと思いますがどうでしょうか。

元首とは一般に国家を対外的に代表し、国内的には行政権の長をいうと解されています。現在の憲法において、あえて元首とは誰かという問題に答えるとすると、日本国を対外的に代表する地位にあるものは内閣総理大臣です。天皇は元首ではありません。また元首という国家機関は何かという問いを立てること自体が古い国家観から来ています。

実際政治の場では、天皇や皇室外交を通じて、天皇を「元首」的に取り扱ってきましたが、憲法の規定では象徴天皇制は国民主権のもとにあり、天皇は憲法の定める国事行為のみを内閣の助言と承認の下に行い、国政に関する権能はいっさいもっていないのです。ですから、天皇を元首とすることは憲法改正の限界に当たります。

そもそも、明治憲法下において適合的であった「元首」という存在を憲法上明記しようという発想自体が、権威主義的で絶対主義的な神権天皇制への郷愁にとらわれた時代錯誤的な試みです。日本が戦争体制に突入していった要因の一つとして、元首であり「統治権の総覧者」であった天皇の存在が無責任体制をつくりあげていったことへの、厳しい反省が必要です。

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