kenpou ans 22204

④大きな自然災害などが生じた場合のことを考えて、いわゆる緊急事態条項を加えるために改憲を行う必要があると説明されることがありますが、そのような目的での改憲は必要なのですか。

いいえ、必要ではありません。

自民党「漫画政策パンフレット」などでは「現行憲法は大きな災害や戦争などが起こった時の想定が甘く何も対応を考えていないので問題だ」と言っています。そこで自民党の改憲草案では「緊急事態条項」を新設し、内閣に権限を集中させ、国会の承認を得ずに予算の執行をしたり国会議員の任期を延長したりすることができるようにしています。

しかし、現行憲法54条は、衆院の解散中に緊急の必要があれば、内閣が参院の緊急集会を求めることができると定めていますので充分対応可能です。緊急集会でとられた措置は臨時のものであり、次の国会開会後、10日以内に衆院が同意しなければ効力を失うという制限がありますが、実は自民党改憲草案でも国会の事後承認が必要であるとしているので同じことです。

そもそも緊急事態時にトップダウン的な政治がどれくらい必要なのでしょうか。東京新聞記事(2016年5月28日)によると、東日本大震災被災3県の知事と市町村長計42人の9割超が発生当初の人命救助や復旧には緊急事態条項がなくても支障なかったと考えているとのことです。緊急事態時には通常よりも自治体の権限を強化し、自由度の高い対応を速やかに実行できるようにした方が効果的です。

目次に戻る