kenpou ans 22203

③「緊急事態条項」は他の国の憲法にもあります。日本の憲法にないのはおかしいのではないでしょうか。

いいえ、全然おかしくありません。確かに憲法の中に「緊急事態条項」という章はありません。しかし、実質上はさまざまなところに一定の制限や例外的な扱いを許容する「幅」が作られています。たとえば、第3章第13条の「公共の福祉に反しない限り」や私有財産の公共使用可能性に言及している第29条などです。これらをもとに法律を妥当に運用すれば,緊急事態においても現行憲法でなんら不足はないはずです。

他の国の憲法にあるものがないから現行憲法がおかしいという論理自体がおかしいのです。おかしな考え方をしている人や団体が、「○○はおかしい」と言っていても、その人たちが前提としていること自体がおかしいわけですから、その「○○はおかしい」という主張がおかしいのであって、「○○はおかしくない」のです。根拠と主張との論理関係を吟味するときに、なにが前提とされているのかを見極めると真実が見えてくるでしょう。

アメリカの占領下で押し付けられた憲法であるという理由で改憲したいと思っている人が、「外国と同じこと」を求めているとしたら、ずいぶんと滑稽に思えませんか。主張する人の内部に屈折した感情があるのでしょうか。

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