kenpou ans 22202

② 国内で起きる大震災などの大災害に対処するには、憲法に緊急事態条項を設けることが必要ではないでしょうか。

日本ではたしかに大災害がよく起こります。だから大規模災害に対処し、人命を救助できる法制度と特殊組織と特殊装備は必要だ、というのはその通りです。しかしそれは本来、軍事とはまったく異なる筋の話です。大災害への対処は、現行憲法13条(生命権)や25条2項(福祉国家としての責務)にすでに根拠があり、現在の災害対策法を事態の深刻さや規模に合わせて具体化することで対処できますし、そうしなければなりません。

また、想定外の大災害が起きたときには53条に基づいて臨時国会が開催できますし、当然そうすべきでしょう。国会の関与抜きに内閣だけで国政レベルの対処を決定・実行できるとする緊急事態条項の危険性については他の項目で解説していますが、「災害」をこの緊急事態に含めることは、「事態」宣言を行う機会を平時から頻繁に生みだすことになり、民主主義を死滅させる危険性を高めます。

とくに、軍事的意味での「事態」に対処することを目的とした自衛隊と、災害が起きたときに国民の生命を守り生活を立て直すことを目的とした福祉型の国務は根本的に異なるにもかかわらず、一つの組織に混ぜ込んでいることに大きな問題があります。緊急事態条項を作るよりもまず、大規模災害に特化した組織をしかるべき省庁の下に創設すべきです。

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