kenpou ans 22114

⑭もしどこかの国が攻めてきたら、現行憲法では「自衛権の行使」を認めているのでやむをえず戦うことになります。しかし憲法9条は「戦力の放棄」をうたっているので、自衛隊は「戦力」ではなく自衛のための「実力」だという解釈で今まで来ています。これは苦しい解釈ではないでしょうか。

「苦しい」というような単純な問題ではありません。

個別的自衛権の行使を可能とする政府の自衛隊に関する解釈には、「戦力」と「自衛力」の区別ができないという問題があります。そこで、憲法の方を変えて、いつまでも違憲性を払拭できないといわれる自衛隊ではなく、個別的自衛権も集団的自衛権も行使して、堂々と戦力を持てるようにしようというのが自民党改憲草案です。

しかし,憲法を変えて、自衛隊を国防軍に,自衛力を戦力にすることは得策ではありません。条文と自分の好む実態とを近づけることはできるかもしれませんが,「戦力を保持しない」・「戦争を放棄する」という憲法の重要な理念を根本から放棄することになるからです。

今の憲法はどこかに悪いやつがいて攻めてくるかもしれないという「不信の構造」を前提にはしていません。むしろ逆に,そういう「不信の構造」を日本が先頭にたって全面的に解消することによって、国民の生命や自由を守り、国際社会に貢献しようと考えています。海外で平和維持の仕事に関わったりNGO活動をしたりしている人たちがよく言うのは、「9条の『戦争の放棄』があるから日本は信頼を得ている」ということです。その信頼を失うことは国益に反することです。

目次に戻る