kenpou ans 22111

⑪日本に求められている国際貢献を考えると、自衛隊の活動範囲を世界に広げるために、憲法の解釈を大きく変えるか、憲法改正を考える必要があるのではないでしょうか。

日本に求められている国際貢献と言ったとき、特定の国から求められている事柄に限定せず、さまざまな角度から考えるべきです。国際社会では、今起きている武力紛争や貧困・難民・食料医療不足の問題について、国家間の軍事的な安全保障よりも現実の人間のニーズを第一に考える「人間の安全保障」論が重視されています。

この課題は、現行の日本国憲法前文の「平和的生存権」の内容と近いもので、この方向で日本に期待されている非軍事的な貢献の選択肢は、避難民の支援や受け入れ、外交努力、NGOの活動など、たくさんあります。そうなると、現行憲法は国際貢献の障害になる、という発想のほうに問題がありますね。武力行使や武力行使と一体化せざるを得ない後方支援を行うことは、特定国の軍事活動には貢献しても、総合的には事態をエスカレートさせ、本来必要な貢献をかえって困難にします。

日本が行うべき貢献については、特定国だけでなく広い国際社会で十分に協議を行い、可能な限り非軍事的な貢献をもって理解と合意を得る努力をすべきです。2015年以前のPKO協力法の下でも、軍用艦への給油活動など、憲法上問題のある軍事支援活動が行われており、派遣された自衛隊員の帰国後の自殺率の高さも問題となっています。そうしたことの問題も含めて、まずはPKO協力の内容を2015年以前の段階に戻し、日本にふさわしいPKO協力を模索していくべきでしょう。

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