kenpou ans 22106

⑥ 今の国際環境では「戦争の放棄」は現実的ではないとも思われます。「戦争に加担しないことにすれば平和は守れる」と考えることはできないのではないでしょうか。

今の国際環境では、「軍事力を持てば平和は守れる」と考えることのほうが、現実的ではなく、楽観的すぎます。今は、世界中が利害関係の連鎖でつながっています。局地戦に見える戦争でも、双方が「勝つまでやめない」状況になると、同盟関係にある他国が軍事支援をしますから、戦争はエスカレートします。その中で一国が強い軍隊を持ったからといって解決できるものではないのです。仮にその中で勝ってしまったら、その時には莫大な被害を自国にも近隣諸国にも生じさせ、「平和を守る」目的とは正反対の状況を生じさせているでしょう。

第一次・第二次世界大戦がこの経緯で「世界大戦」となったこと、朝鮮戦争・ベトナム戦争の背景に「冷戦」があったことを思い起こしてください。また第二次イラク戦争終結後、この地域に流入した武器が、その後の民族紛争やテロ活動に使われていることからも、戦争の後遺症としての紛争は、長く続くことがわかります。

「戦争に加担しないこと」は、平和構築のための必要条件であり、十分条件ではありません。まず、戦争に加担しない、という姿勢を貫き、その上で、国際ルールの形成に貢献する、難民保護などの人道支援や終戦後の危険物無害化処理に技術力で協力する、といった道が考えられます。十分でないからといって、その基礎を覆してしまっては、平和構築に向けての前進ができません。

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