kenpou ans 22105

⑤永世中立をうたうスイスも軍隊を持っており、徴兵制があります。日本も検討すべきではないでしょうか?

特定国との軍事同盟関係にあり、その軍事力の「傘」の中にいる日本は、まずは「中立」とは言えない立場にあり、そこから検討しなければならないでしょう。しかしそれでも日本は、武力を行使しない・戦争には加担しないという意味で、軍事的には中立的な国として、国際社会から信頼を得てきました。だからこそ、他国から軍事的敵対視を受けることなく、平和を維持できたと言えます。憲法前文の「信頼」という言葉は、この意味で決定的に重要なものです。

日本は今、この信頼を失おうとしています。まずは2015年制定の安保関連法を廃止し、上記の地点まで状況を引き戻すことが必要です。そこから先、日本の安全保障はどうあるべきかは、国民が、情報遮断や誘導などを受けない真に民主主義的な環境で議論する必要があるでしょう。ただし現行憲法の下では、スイスのような国民皆兵制をとること、その前提として全家庭が銃火器(軍事装備品)を持つことはできません。憲法改正によってこの歯止めを取り払う道については、国家の究極の選択となりますから、「決まったことに従う」という気分で安心せず、その選択の怖さについて主権者が真剣に議論すべきです。おそらくこの道はどう工夫しても、諸国民の平和的生存を目指した日本国憲法の根本原理と相いれないものになるでしょう。

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