3か月に満たない短期留学であれば日本の一般的な留学保険で良いのですが、それを超える長期留学ではスイスの強制健康保険(The compulsory health insurance)の問題が出てきます。他の方のスイス留学ブログ等を見ても様々な情報がありますが、私なりに纏めてみました。
フリブール州のホームページで保険に関わる内容を調べますと
連邦健康保険法(LAMal)により、スイスに居住するすべての人は病気の場合に備えて保険をかけられなければなりません。フリブール州では、コミューンが公認の保険会社との提携をチェックする責任があります。
とあります。つまりスイスの法律によりスイスの居住者はスイスの強制健康保険への加入義務があり、各州は各居住者の保険加入状況をチェックする責任がある様です。ただしこの強制健康保険には免除される例があります。
学生、生徒、研修生など、スイスでの研修またはさらなる研修のために滞在する人。
つまり留学生であれば強制健康保険は免除できるのです。ただしフリブール州では免除の際には所定の用紙に記入して強制健康保険と同等の補償内容の保険に加入していることを証明する必要があります。具体的には日本で加入している保険会社にその用紙を渡して社印とサインを貰わなければいけません。
この免除に対する州毎の違いや担当者毎の対応の違いが、ネット上に様々な情報が出てくる一因だと思います。
それではスイスの強制健康保険と日本の一般的な留学保険のプランを比較してみます。スイス連邦公衆衛生局(FOPH)のホームページには強制健康保険の英文説明冊子(Your questions, our answers)があって事細かに補償内容を説明してますが、ちょっと細かすぎるのでここではフリブール大学でも紹介しているスイスの保険会社SwisscareのStudent Health Insuranceのプランと比較します。
スイス強制健康保険と日本の留学保険の比較
両者を比較して問題になるのが妊娠出産費用の項目です。一般の日本の留学保険では妊娠出産費用は補償の対象外であり、仮にフリープランで組み込んだとしても長期間の保険には加入出来ない様です。ただし男性であれば妊娠しないと主張して日本の留学保険で押し通す事も可能かもしれません。歯科治療費用についてはスイスの強制健康保険の補償範囲には含まれていませんが、Swisscareではその補償を加えたプランも用意しています。
こうして比較して出た結論ですが、スイスの強制健康保険と同等の補償内容を証明しなければいけないのなら
ということになります。日本の保険会社がスイス指定の文書にサインしてくれるとも思えませんし。因みに保険加入はスイス入国から3か月以内にする必要がありますが、加入日は入国時まで遡った上で契約できる様です。またSwisscareの保険は渡航前から申し込むことも可能です。フリブール州では居住地のコミューンで住民登録をするときに健康保険の加入証の提示を求められますので、その前に加入申し込みが完了しているのが望ましいです。
ただしこの保険はあくまで医療保険であり、各種補償がセットになった日本の留学保険より補償カバー範囲が狭いので、そこをどう考えるかだと思います。娘の場合は死亡傷害補償や賠償責任補償は別途加入済の保険で賄えることから、このSwisscareの保険だけに加入することにします。最後にまとめますと
で大事なのはスイス強制健康保険への加入を前提に足りない部分を日本の保険で補うことだと思います。何も考えずに日本の留学保険に加入してしまいますとスイス強制健康保険と内容が重なり費用面で無駄が生じますので、慎重に保険を選びましょう。
ひとつ補足しますが、既に日本で就職されて日本の健康保険制度の被保険者である方がスイスに3か月以上滞在する場合は、日・スイス社会保障協定によりスイス強制健康保険を免除することが出来ます。詳しくは日本年金機構のホームページをご参照下さい。