カンボジアを中心とした開発途上国を対象に「金融包摂」、「金融システム」に関する実証研究に取り組んでいます。
現場での観察や対話、データ収集を重視し、現実的かつ合理的な政策提言を目指します。
開発途上国の多くでは、現地通貨の信用が低いといった理由から、米国ドルやユーロ通貨が日常の決済手段や資産保有手段として流通しています。
これは「ドル化」といわれる現象で、政府の金融政策の手段が限定的になるといった弊害を生みます。
とくに、カンボジアでは2022年時点で90%の銀行預金がドル建ての預金となっており、非常に高い水準のドル化がみられます。
本研究プロジェクトでは、カンボジアの中央銀行(National Bank of Cambodia)と脱ドル化を目指すうえで、どのような政策が効果的なのかについて共同研究を行っています。
開発途上国では、銀行や証券市場といった金融システムに参加していない人口が多い傾向にあり、必要な時に銀行から借入や銀行に預金が作れず、金利の高いインフォーマルな金貸しに頼るといった企業や家計が多く存在しています。
こういった家計や企業をフォーマルな金融システムに取り込むことを「金融包摂」と呼び、現在多くの開発途上国の政府や民間金融機関が金融包摂の達成を目指して様々な取り組みをおこなっています。
本研究プロジェクトでは、カンボジアのマイクロファイナンス協会(Cambodia Microfinance Association)とともに、カンボジアのマイクロファイナンス部門を健全に発展させるための効果的な規制や政策について共同研究を行っています。
また、研究プロジェクトでの活動に加え、私個人としても、カンボジアのマイクロファイナンス協会の発行する貸出ガイドライン (Lending Guideline)作成のアドバイザーを行っており、調査の指導、エビデンスに基づく制度策定の指導を行っています。