Post date: Jun.18, 2018
最近のカンボジアは経済成長が著しく特に首都のプノンペンへの人口移動は毎年の増えています。そのため、土地代を含め物価は年々高騰しており、地方から働き口を探しにプノンペンへやってくる人にとっては、生活費を賄うので精一杯な暮らしを強いられることも多々あります。
昨年2017年の我々のプロジェクトでの家計企業調査に参加したタケウ州の大学を卒業したカンボジア人の知り合いもそんな苦労をしてプノンペンで暮らす一人です。
彼女は2017年5月に大学での単位を全て取り終えて、仕事を探し始めました。(卒業論文はこの時未提出でこの一年後に提出し、学位を取得した模様) そして、大学の先生に勧められて就いた最初の仕事が我々のプロジェクトの家計企業調査の調査員でした。
ちなみに、その時の家計企業調査の調査員は月給200ドルでしたが(コンサル会社には一人500ドル以上払っていましたが)、それでも新卒としてありつける仕事のなかでは比較的給料がよいとのことでした。ちなみに、当時2017年ではプノンペンの新卒の平均的な月給は50ー100ドルとのことで、それと比較するとかなりよいとのことでした。(某現地コンサル会社情報)
しかし、カンボジアでは当時最低賃金が月給128ドルあたりだったんじゃないかと思うので、それだと明らかに違法な気がしますが。。。まあ、法律と実際の慣習が異なることはよくありますからそんなものなのかもしれません。
さらに言及しておくと、カンボジアのGDPは一人あたり年間1400ドルほどなので、月給200ドルは新卒にしてはかなり魅力的ではないかと思います。
そんな平均的な給料に比べてプノンペンでの家賃は高額で、地方から来る人は多くが友達や兄弟と共同生活を送ります。
彼女も10畳ほどの部屋に友達と3人暮らしをしていました。家賃は50ドルとプノンペンでは標準的な家賃ですが、電気代や水道代なども払わなければならないため、それでも一人で暮らすには高い金額です。
一度、その子たちの家に招待され夕飯を作ってもらったことがありました。正直日本の感覚からすると3人で一つの部屋に住むことに驚きましが、仲良く暮らしているようであり楽しそうでした。
料理を作る様子(2017年10月)
カンボジアの家庭料理(2017年10月)
就職活動に関しては、プノンペンでもなかなかすぐにマッチした仕事が見つからないようで、彼女も我々のプロジェクトでの仕事が終わったあとは、次の仕事を探すのに数ヶ月間苦労をしていました。一度、私からも現地の銀行に応募する際に推薦状を書いてあげましたが、書類選考で落ちてしまいました。現地の銀行は人気の職業の一つで書類選考が厳しいそうです。
しかし、今ではとある外資系企業で一ヶ月300ドル貰える仕事を見つけたようで生活が安定してきたようです。若い人で300ドルは結構高いようです。さらに、最近新しいポジションにプロモートされ、さらに給料が上がるかもしれないとのことでした。経済成長が著しいカンボジアでは、若い人にもどんどん条件の良い仕事が増えているようです。
カンボジアでは、年に7%という驚異的な水準で経済成長しています。知り合いのカンボジア中央銀行の職員は役職が毎年上がっており、それにつれて給料が毎年15%ずつ上がっているということを口にしていました。私からするとありえない感覚です。日本も高度経済成長期はこんな感じだったのでしょうか。最近は外資系企業、輸出入企業、サービス企業の発展が著しいので、若い学歴のある人たちの雇用がもっと増えて行き、きっとすぐに彼女らの所得もさらに改善されていくことでしょう。
ちなみに、カンボジアでは日本と異なり年功序列で賃金が決まらないという側面もあるようです。
基本的に、賃金は仕事の種類とポジションで決まっていくようです。そのため、ずっと同じところで仕事していては給料が上がりにくいということもあるようで、そのため、カンボジアではよりよい条件の仕事を見つけて転職する人が多いみたいです。
ちなみに、これは一緒に仕事をしていると困ることが多いです。特に、研究プロジェクトでは成果が個人の能力や専門知識の蓄積、そしてやる気による部分が大きいため(特にやる気)、人の入れ替わりがあるとプロジェクトの進行が遅れることが多々あります。。。
現地の労働市場の実態、特に若い人に関しての就職事情というのは、途上国ではなかなかデータでとらえられないもので、実際に現地で人に話を聞くといつも驚かされます。