Post date: Jun. 6, 2018
研究プロジェクトでは、カンボジア現地の政府機関やNPO、現地企業などと協力関係を築いて研究を進めていきます。
その中で、2016年5月に共同研究機関の一つであるカンボジアの中央銀行(National Bank of Cambodia)のオフィスに共同研究の一環として3週間ほど滞在したことがあります。
オフィスに日本人どころか外国人がいないような環境でしたが、カンボジア中銀の方にはいろいろと気をかけてもらい、夕方や土日はいろいろなところに連れ出してもらい、いろいろな体験ができました。
その中でもとても感動したのが、カンポンチャム州の竹でできた橋に訪れたことです。
下の写真でわかるように竹だけでできた橋です。
カンポンチャム州にはメコン川と呼ばれる複数国を流域とする大きな川があります。
その川を渡すように作られているのがこの竹の橋です(通称Bamboo Bridge)。
この橋は驚くことに車やバイクがガンガン通ります。もちろんスピードはそこまで出さないのですが、ミシミシ音をたてながら渡るので、ハラハラしました。
カンポンチャム州の竹の橋①(2016年5月)
カンポンチャム州の竹の橋②(2016年5月)
JICAの協力で作られた「キズナ橋」も竹の橋の近くにありました。(2016年5月)
そもそもこの地方に来たのは、チャリティとして、病院に入院している患者さんに寄付をするという目的できました。
チャリティ先の病院(2016年5月)
ちなみに、やはり途上国でよく聞くような話ですが、病院の中の衛生環境はかなり悪いものでした。入院している患者が多すぎて、ベッドでねれない人が廊下で寝ているとような状態でした。デング熱とか一瞬で蔓延するんじゃないかと思うような密集具合でした。
実はこの中の一人の患者にだけ寄付をする目的ここまではるばる来ました。その患者さんはトラクターで作業中に背骨を折ってしまい手術をすることになったのですが、手術を受けるためにいろいろな病院をたらい回しにされてしまい、お金が入院費と手術費でなくなってしまったそうです。そして、この人の町の町長がNGOに呼びかけて寄付を募ったというのが、今回のチャリティの経緯です。
ちなみに、カンボジアでは保険制度が充実していないため、医療費によって土地を手放してしまったり、貧困状態に陥ってしまったりという話はよく聞きます。
正直、この患者だけでなく、多くの人がお金を必要とする状態だと思うのですが、当時の自分にはそれ以上の施しをほかの入院患者にするすべがなく、無力さを感じました。
比較的に長く滞在すると、思いがけないところで、自分の思っている世界がせまかったことを実感するものです。