Post: Nov. 16, 2018
今年の10月はアルメニアに1週間ほど滞在してきました。
旅行の目的はアルメニアの大学で日本語を教えたり、日本語弁論大会に参加したりといったことなのですが、観光も大いに楽しみました。
写真は首都であるエレバン市内からとったものです。
写真の中央の山はアルメニアのシンボルである「アララト山」で、隣の小さい山は「小アララト」です。なんだか雰囲気が日本の富士山に似ています。
*ちなみに、アララト山はキリスト教の聖書で登場するノアの箱舟がたどり着いた山だといわれています。
エレバン市内のカフェから眺める夕暮れ時の街並み。
エレバンはクラシックな雰囲気が漂います。
写真左は、Russian-Armenian Universityの日本語学科の学生
今回、初めてアルメニアを訪れたのですが、アルメニアは思っていた以上に自然が綺麗で、観光地となっている建造物や広場からの景色は最高でした。いくつか巡った観光地を紹介していきたいと思います。
今回の投稿では、最初に訪れたAmberdについて書きたいと思います。
Amberdは7世紀に建てられた要塞であり、海抜2300メートルという大変高い位置に建てらています。ちなみに、Amberdという名前は「雲の上の要塞」という意味があるそうです。この要塞の近くには11世紀にVahramashen Churchという教会が建てられ、そちらも現在では観光名所になっています。
ちなみに、Amberdはエレバンから距離的にはそこまで離れていませんが、道路がボロボロで交通インフラの質が悪いため、車を使っても1時間半近くかかります。
今回は、大学院時代からの友人であるアルメニア人のアスティックさんにガイドしてもらいながら観光をしました。おかげで、アルメニアに関するいろいろな話も聞きがら観光を楽しめました。
Amberd
Vahramashen Church
Vahramashen Churchに飾られているハチカル(石彫りの十字架)アルメニアではどの教会にもこのハチカルというものが飾られています。魔除け、お守り、墓碑などといった意味合いで使われています。(詳しくは「アルメニアを知るための65章」の227ページを読んでみてください。)
Berdという田舎から来た高校生たち
この廃墟感がたまらないですね。
Amberdを背景に、韓流ドラマが好きというアルメニアのBerdの高校生たちと。
アルメニアでは、特に田舎では、私みたいなアジア系の顔をした人が珍しいらしく、修学旅行に来ていたアルメニアの高校生に写真を撮るようにお願いされました(あるいは韓流が好きなので私を単に韓国人だと思ったのかもしれませんが)。(アルメニアでは、他にもカフェなどでもよく話しかけられました。日本人は結構珍しいのかもしれません。女性からは彼女はいるのかとかも聞かれたりもしました。)
一緒に写真をとった子達は見た目はみんな大人びていたので大学生かと思いましたが、みんな15歳くらいというので驚きました。(ちなみに、私は20代前半だと現地の人によく間違われました。やはりアジア人は若く見られるようです。)
さらに驚いたのですが、彼女らは現地の言葉だけでなく、ロシア語と英語も使ってコミュニケーションが取れるみたいです。まだ、15歳なのに何カ国語も勉強してしかも実際に使えるというのは、最近の日本の中等教育については知りませんが、日本の中学・高校での英語教育では考えられないことだと思います。ちなみに、この旅行ではアルメニアの大学にも訪問したのですが、語学に関してはやはりロシア語と英語はどちらもマスターしている必要があるそうです。途上国あるあるですが、大学での授業は基本的にロシア語か英語のどちらかで行われるとのことで、大学教育では必須ということでした(少なくともRussian-Armenia Universityでは)。
Amberdを観光した後は、Amberdの近くにある教会は観光地として人気ということなので訪れてみました。その教会に着くと、たまたまアルメニア人同士の結婚式が行われていました。アルメニアの教会はジョージア正教会やロシア正教会と異なり、オープンマインドな雰囲気があり、教会に入る際の服装や作法に特に厳しくないようです。そして、結婚式は基本的に部外者が観覧しても気にされないということでした。ちなみに、ジョージアやロシアの教会では、写真を撮ることは禁止されていましたが、アルメニアでは許されていたのでここぞとばかりに撮りまくりました。
結婚式の様子。
また、別の教会ではたまたまフラワーシャワーの瞬間に立ち会えたので、参列して花を投げてみました。
フラワーシャワーの様子。教会に入ると、写真左奥の女性たちに花を渡され参加してくれと頼まれました。
ちなみに、上の2組のカップルは両方ともアルメニアではなくロシアなどの海外に住んでるいわゆる在外アルメニア人とのことでした。アルメニアは過去に起きたジェノサイドなどの歴史的な理由もあり、海外で生活をしているアルメニア人が非常に多く、ヨーロッパ諸国や中東諸国やアメリカの各国にアルメニア人のコミュニティが存在しています。そういった在外アルメニア人同士が結婚式をあげる時、自分のルーツであるアルメニアで結婚式をあげる人が多いそうです。参列している人たちもほとんどが在外アルメニア人のようでした。アルメニアの教会が古風な雰囲気がありつつとても立派でとてもロマンチックな結婚式が挙げられるので、そういった理由でも人気がありそうです。
アルメニアの教会で式をあげるには、まずアルメニア使徒教会で洗礼を受けてアルメニア風の名前をもらう必要があるようです。アルメニア人の友達に、僕の場合だと元の名前を使ってDavitをオススメされました。悪くないですね。
教会の近くの渓谷。
この観光地はこの雄大な渓谷を背景に写真を取れることで人気です。結婚式があったので、派手な服装の人が多くいました。
下の写真は観光地近くのレストランでの様子です。
グアバで作られた自家製ワイン。味は甘みが強いが渋みもあり美味しく、かつ普通のワインとも少し違う味。
お昼ご飯。
自家製のウォッカを醸造しているところ。
Amberdの近くで、アスティックさんと昼食。こういった絶景を前にして食事をするのもアルメニア旅行の醍醐味です。
レストランのウェイターの人が美人でした。
下の写真は、アルメニアで使われている文字モニュメントが置かれた広場です。首都のエレバンから車で30分から1時間ほど走ったところにあります。
ちなみに、アルメニアの文字は西暦405〜6年にマシュトツという学者によって作られました。アルメニアのアルファベットは39個の文字から成り、母音が8個あるそうです。アルファベットよりも多いので、覚えるのが大変そうですね。
アルメニアの文字のモニュメントが置かれた広場。
日本人から見るとアルメニア人の見た目はヨーロッパの人々とあまり変わらないのだが、アルメニアの人たちの雰囲気はヨーロッパとも異なり、どちらかというと考え方は保守的な人が多く、人との付き合い方などに関しては古き良きアジアに近いように思えました。
今までいくつか国を訪れましたが、その中でアルメニアが一番楽しかったです。アルメニアでは他にもいろいろと経験をしてきたので、また別のブログで書きたいと思います。
余談ですが、アルメニアではコーヒー占いなるものが存在します。
これはアルメニア・コーヒーというもので、アルメニアで一般的に飲まれるコーヒーです。
飲み終えたあと、カップをこのようにひっくり返します。
しばらくして、中を覗くとこのように模様ができます。飲み方やコーヒーの入れ方によって模様が異なってくるのですが、この出来上がった模様をみて占いをします。占い方には特に決まったものはなく、人それぞれの感覚や思いつきで適当に占うようです。娯楽が少ない田舎ではこれで30分くらい盛り上がれるそうです。
ちなみに、アルメニア人の友達に占ってもらいましたが、カップの淵の部分に割れたハートが見えるので、恋愛関係でよくないことが起こるかもしれないとのことでした。あと、模様が偏っているから、生活が仕事かなにかに偏ってしまっていてリフレッシュできていないんじゃないかということも言われました。それに関してはなかなか当たっていますね。すごい。
最後に、今回AmberdではBerdから来た高校生たちに出会いましたが、Berdという町はとても田舎だそうで、最近までアルメニア人でも知らなかった人が多かったらしいです。Berdという名前が知られるようになったのは最近になって、アルメニアで人気の小説家であるNarine Abgaryanという女性が「Дальше жить」という短編集を 出版したことがきっかけだそうです。この中に紛争中のBerdでの少女の恋愛について書かれた短編小説があるそうで、それ以降Berdという地名がアルメニア中に知れ渡ることになったそうです。
昔のアルメニアの田舎の恋愛小説ということで、恋愛ものと歴史ものとソ連もの(?)という面白そうなワードが三拍子そろっているので、ぜひ読んでみたいと思い探しましたが、どうやらロシア語版しかないようでした。ロシア語の勉強を頑張るしかないですね。
その短編集はこちら。(https://www.moscowbooks.ru/book/916323/)今度ロシアに行ったら買ってみようかな。