Overview
私たちの研究室では、タンパク質を軸とした独自のバイオテクノロジーを開発して人工タンパク質や人工細胞を創出することで、生命の理解とその医療・環境エネルギー分野への応用を目指しています。
現在は、おもに以下の4つの分野の研究を進めています。
私たちの研究室では、タンパク質を軸とした独自のバイオテクノロジーを開発して人工タンパク質や人工細胞を創出することで、生命の理解とその医療・環境エネルギー分野への応用を目指しています。
現在は、おもに以下の4つの分野の研究を進めています。
タンパク質の進化工学
Evolutionary Engineering of Artificial Proteins
生命の主要な構成成分であるタンパク質は、20 種類のアミノ酸からなる高分子であり、そのアミノ酸配列の長さは、平均的な機能ドメインで 200〜300 個、小さいタンパク質でも 100 個程度のアミノ酸が連結する必要があります。その配列の可能な組み合わせの数は宇宙のすべての炭素原子を利用しても到底カバーすることができない天文学的な数であり、タンパク質の種類と機能にはほぼ無限の可能性があると言っても過言ではありません。一方、天然に存在するタンパク質の種類は1つの生物種で数千から数万であり、地球上の生物種の数を数千万と多めに見積もっても、現存するタンパク質の種類は1兆には届かないと考えられています (Nature 449, 555, 2007)。この数はそれらを1つ1つ機能解析するには膨大ですが、全アミノ酸配列空間からみればごくわずかであり、逆に考えれば、これまで地球上には存在したことのないさまざまな優れた機能をもつ人工タンパク質が未発見のまま残されている宝庫と言えます。
ポスターこれまでに私たちの研究室では、この広大なアミノ酸配列空間を効率よく探索して、望む機能をもつタンパク質を迅速に見つけ出すための技術 (無細胞ディスプレイ技術) を開発し、この独自の技術を利用して、新しい人工タンパク質を進化の原理を利用して創出する「創る生物学」と、自然界の膨大な種類のタンパク質の機能解析を行う「観る生物学」という2通りの正反対のアプローチによって、生命の理解とその医療・環境エネルギー分野への応用を目指しています。
「観る生物学」では、天然タンパク質 (上図:赤丸) の機能を網羅的に解析するプロテオミクスに関するさまざまな研究を行なってきました。一方、「創る生物学」では、天然タンパク質の機能を向上させた変異タンパク質 (上図:青丸) を取得する進化工学により、医療分野や環境エネルギー分野に役立つ抗体や酵素を改良したり、全くランダムな配列の中から天然タンパク質とは全く配列が異なる人工タンパク質 (上図:緑丸) を創り出す研究を行なっています。
人工細胞工学 × 合成生物学
Artificial Cells Engineering x Bottom-up Synthetic Biology
さらに、これらの変異タンパク質や人工タンパク質 (とそれらをコードする人工遺伝子) をパーツとして組み合わせて、脂質膜などのコンパートメントに封入することで人工細胞を創る試みも始めています。この実現のためには、進化分子工学を進化システム工学に拡張して、従来のように単一の遺伝子を試験管内進化させるだけではなく、複数の遺伝子を試験管内で効率よく共進化させることができる新たな方法論の開発が必要と考えて研究を進めています。将来の夢は、最適化した複数の酵素を組み込むことによって、医薬品やエネルギーを効率よく生成できる人工細胞を構築することです。また、構成的アプローチにより生命の起源の物理化学を解明することも私たちの最大のモチベーションの1つです。
【こちらもどうぞ】⇒ 藤原慶博士 (准教授) の個人 HP
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タンパク質の進化工学
Evolutionary Engineering of Artificial Proteins
⇒ 一般向けの研究紹介
進化工学では、具体的には以下のようなテーマで研究を行なっています。
In vitro Selection of Therapeutic Antibodies
Directed Evolution of Environmental Enzymes
Constructive Approach to Origins of Life
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タンパク質の機能解析 〜 プロテオミクス
Proteomics: Functional Analysis of Natural Proteins
⇒ 一般向けの研究紹介ポスター
プロテオミクスでは、具体的には以下のようなテーマで研究を行なっています。
Large-scale Analysis of Protein-Protein Interactions
Discovery of Proteins as Drug Targets and the Mechanisms they Control
Translational Control of Protein Synthesis and RNA Regulation
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