北の牛乳列車 

昨日は東京から飛行機で釧路空港に着いた。私はホタテの加工業者を経営している。ホタテの産地であるオホーツクを目指して、各漁港を回りながら仕入れのために稚内まで北上する予定だ。まずは列車で根室を目指している。


蒸気機関車にけん引された客車オハ35という客車で、厳しい道東の冬を乗り越えて運用されているが、木製の車内はしっかりとニスが効いており、しっかり保守されているのがうかがえる。

私は大きなカバンを網棚に置き、途中の車内で買ったお茶と冷凍ミカンを旅の友として北海道の広大な景色を眺めている。

冷凍ミカンを旅の友として北海道の広大な景色を眺めている。

外はいい天気だ。

お茶を飲もう!入れ物の白い蓋、兼カップにお茶を注いでゴクリ。

少しビニール臭がするお茶を飲みながら、涼しい北海道の夏を楽しむために、窓を開け気持ちい風を受けている。

遠くに牧場が見え、低い丘には放牧されている乳牛が伸び伸びと草を食んでいる。白い壁に赤い屋根。そして赤いサイロがある風景は本当にマッチしている。北海道の牛乳がおいしいわけが、この広大な景色と流れる空気を感じるだけで良くわかる。私も仕入れの合間に牛乳やソフトクリームを食べるのを楽しみにしている。

冷凍ミカンを楽しもうとした時だった。

外に簡易鉄道の姿が見えた。北海道は開拓のために様々な簡易鉄道が運行されているが、このあたりの鉄道は牧場が盛んだということもあり、搾乳した乳を雪印や明治といった牛乳工場に運ばれるため集乳缶というアルミのボトルを運ぶための簡易鉄道が敷かれているみたいだ。

牧場から三輪トラックにのせられた集乳缶を集積所に集められている。そこに赤い列車が近づいてきている。

赤い列車は数名の乗客を乗せて運行しているが、メインは後ろに連結された貨車の集乳缶輸送何だろう。

駅に集められた集乳缶を積み込んでいる景色を見ながら景色は流れていく。そして赤い列車としばらく並走しながら美しい丘の大地の景色を楽しむのだった。


最終的に赤い列車は牛乳工場に行って、その牛乳が各家庭の玄関の黄色い牛乳箱に届けられると思うと感慨深いものがある。


私は牛乳列車とお別れして、忘れていた、表面が溶けてべちゃべちゃになった冷凍ミカンを取り出して冷たいミカンを食べながら、根室へと向かうのであった。

Title:北の牛乳列車

Number: 18

製作期間:Mar. 2022 –July. 2023

動画はこちら:https://youtu.be/30JK04aZFcc

--- NOTE ---

私には35系客車の思い出が強くあります。35系は北海道でも走っていたようで、今回の作品に登場させました。

今回は奥のジオラマがNゲージスケールで作ってありますが、手前の景色を眺める車内の風景はかなり大きく作りました。また数センチでこの椅子を表現するために、思いっきりパースをつけて遠近感を出すようにしています。

正面を見ていると視線が奥に誘導されるようになる方もいらっしゃいます。


しかも、奥の景色のジオラマは回転しているため、景色がゆっくりと流れているようになり、その上に集乳の軽便鉄道が景色の中でも走っている構造にしています。鉄道は丸い景色のジオラマの中で三角形に配置しているため、車内から見る鉄道は近づいたりとうざかったりと、いろいろなシーンを見せてくれます。

どうやったら、丘の重なりができるか。。。試行錯誤の日々

奥行を出すために、どのくらいの角度でつくればいいのか。。。全然わからないことばかりで、試作ばっかり作っていました。