オーロラが光るのは「なぜ」でしょう?極地方でしか見られないのは「なぜ」でしょう?
我々のまわりにはこのような「なぜ」がたくさんあります.この「なぜ」のことを学術の世界では「問い」と言います.「問い」に対する答えを見つけること,それが科学の本質的な目的です.
教養総合Ⅱ「光とオーロラの探究」のねらいは,我々のまわりにある「問い」に気づくための「目」を養うことにあります.そのために「光」「オーロラ」「北極域」をキーワードにして様々な探究活動を行い,「問いを見つけ,答えを作り,発表する」という学術研究の一連のプロセスを体験します.「問い」に気づく目を養うことで,社会を生き抜くために必要となる「突破力」の土台をつくることが本講座の狙いです.
「光とオーロラ」というタイトルの講座ですが,探求はそれらに限らず幅広いテーマを扱います.頭を柔らかく,視野を広くして受講してもらえればと思います.
新しい問いを見つけるにも,その答えを作るにも,背景にある知識やそれに関わるスキルを身につけておくことが必要です.加えて,知識があれば,それだけ広い視野で物事を捉えることができるようになります.
そこで,1学期は,光の物理的特性やオーロラの科学,北極域が抱える社会問題に関する講義と実験を行います.また,2学期の研究旅行に向けて,グループごとに現地調査の事前準備を行います.
10月の研究旅行では,イエローナイフ(カナダ)に赴き,オーロラ観測を行います.
イエローナイフは,オーロラベルトの直下にあたる場所で,世界屈指のオーロラ発生率を誇る場所です.オーロラの観測条件は「天気が良く,雲がないこと」「空が暗いこと」「太陽活動が活発であること」の三つですが,イエローナイフはこれらの条件を満たす絶好の場所です.また,北極域の自然や文化を知るにも適した場所です.
研究旅行では宿泊地を中心に,昼は博物館見学や自然散策を行い,夜はオーロラ観測を行う予定です.ただオーロラを見るのではなく,グループごとにテーマを決めてフィールドワークを行い,帰国後はその調査結果を元に課題研究に取り組みます.
皆さんが研究をしている姿を見ていると,どのグループも独自の「問い」を持っているにもかかわらず,その「問い」の価値の高さに気付いていないか,自信を持てていないようです.だから初めに言っておきます.
皆さんの「問い」には価値があります.
研究をするということは,「誰も答えを知らない問い」に取り組むことを意味します.誰も知らないから,答えが本当に正しいかどうかも実は誰にもわかりません.もちろん私達も答えを知りません.したがって,「先生が答えを教えてくれる」という受け身の姿勢でいると,研究はうまく進みません.研究はうまくいかないものと割り切って,試行錯誤を繰り返しましょう.答えが間違っていても気にしてはいけません.なぜならば科学の進歩に失敗はつきものだからです.自分が出した答えを「先生に答えを教えてあげる」つもりで堂々と颯爽と発表してください.
この授業の担当者は,みなさんと一緒に研究できることを楽しみにしています.頭をやわらかくして,大きな夢にむかって精進してください.