本講座は、アントレプレナーシップについて学び、自分自身で何かを創造するために必要なスキルを身につけることを目的とする。"アントレプレナーシップ" とは、「企業家的行動能力」という意味で、会社を起こしたり、経営を継続していったりするために必要な能力やスキル、そして考え方のことを指すが、別の言い方でいうと「イノベーションを遂行するために必要なスキル」とも言える。近年では、終身雇用が崩れ、転職もざらにあり、起業する人もYouTuberになる人も、早期退職する人も増えている。そんな多様化する社会で自由に生きるには、それ相応の知識やスキルが必要である。本講座では、イノベーションやマーケティングを理論的枠組みにしながら、「新しい価値を生み出すこと」「新たな視点で問題解決をはかること」についての実例を学び、「自分自身で何かを創造するために必要なこと」を学んでいく。
1学期は、イノベーションやマーケティングについて学ぶ。イノベーションとは単純に言えば、既存の製品、サービス、市場を淘汰し、新たな価値を創造すること。イノベーションは「偶然」や「直感」によって生まれるのではなく、そこには原理・原則があることを前提に各種理論が提唱されている。そうした理論を学び、今後の新たなビジネス、商品、サービスを考える際の手がかりとする。また、マーケティングとは、商品やサービスが消費者に支持されるための戦略のこと。会社や組織は、基本的には「人的資本」「経営資本」が不足している。だからこそ、その限られている資本を「どこに」「どのくらい」分配するかを検討することが求められる。流行やバズりの裏には、綿密な戦略があることを学ぶ。Airbnb、QBハウス、Zoom、インスタ、Plenty、スマホ、ウーバーなど多くの事例を取り上げながら、理論を検討する。
2学期および3学期は、上記に述べた理論や実例をもとに、自分自身のビジネスプランを考える。そしてそのビジネスプランを各種ビジネスコンテストに応募したり、企業にプレゼンテーションしたりして、プランを実現させることを目指す。
また、希望次第では小金井市でのイベントを中心に、自分たちが考案したものや作成したものの販売活動などもおこなう。2023年度は、小金井市の観光協会様主催の「まろん食堂」というイベントで、販売活動を実施した。
本講座では、自分自身が考えたビジネスプランを各種コンテストに応募したり、プレゼンテーションしたりしている。2024年度は、授業に様々な企業の方を招き、その方々の前でプレゼンテーションをし、アイデアを採用して実際の社会に提供することを目指す。
授業では積極的に講師の方を招き、講演や授業を支援してもらいます。これまでに以下の方々に講演などをしていただきました。
・星友啓さん (スタンフォードオンラインハイスクール校長)
・富永生さん (楽天USA)
・石川峻平さん・玉巻秀規さん (スタンフォード経営大学院を卒業後、シリコンバレーで教育プログラムやコーチングサービスを提供するD-Compassを創業)
・今井智章さん (メルカリの創業に関わった後、シリコンバレーで起業。直近はブロックチェーン/生成AI使った採用ツールを開発)
・平井孝明さん (Edo All United, サッカーチームCEO)
・小沼陽子さん (NPO法人優タウン代表理事。不登校などの理由で孤立し元気を失っている親子が生きやすい社会を目指して活動。)
・伊藤瑛加さん (中附卒。アントレ OG。「子供のための日焼け止め」の開発で高3時に"Sunshine Delight"を創業。)
・田口愛さん (ガーナでチョコレート工場を創業)
10月実施の研究旅行では、アメリカサンフランシスコのシリコンバレーを訪問します。主な訪問先は以下の通り。
①スタンフォード大学…シリコンバレー がイノベーションの聖地と呼ばれるのはスタンフォードあってこそと言っても過言ではない。スタンフォード大学経営大学院に通う日本人学生さんと交流することで、スタンフォードでの学びを体感する。様々な経歴を持つ方々との交流で、「自分自身」について考えて欲しい。2024年より、研究室訪問も実施予定!
②Google 本社…2024年5月の段階で交渉中だが必ず実現させる。施設の見学、社員さんへのインタビュー含め、交流をする。
③楽天USAオフィス…オフィス見学し、社員さんの話を聞く。仕事内容や海外で働くことなどを理解することが目的。
④Design Tech High School…「デザイン思考」をカリキュラムのポリシーにすえているアメリカでも独特の学校。学校にはDesign Realization Gallageと呼ばれる製作室が多くあり、ここで様々な授業がおこなわれる。ここで学ぶ高校生とも交流する。
以上に加え、コンピューター歴史博物館、アップルビジターセンターなどを訪問します。また、最終日は自主研修となるのでサンフランシスコ市内の観光を存分に楽しんで下さい!
担当者として、以下のような生徒に受講して欲しいと思っています。
①行動力がある人、行動力が欲しい人
②何かやりたいけど、何をしていいかわからない人
③人の話をしっかり聞ける人
④世の中に不満を持っている人
⑤学校の勉強がつまらない人。テストや順位づけに縛られるのが嫌な人。
⑥アイデアを出すのが好きな人
⑦起業、経営に興味がある人
アントレプレナーシップを受講した卒業生より、講座についてのコメントをもらいました。選択時の参考にしてください。
[1] 伊藤瑛加さん (2017年受講 。高校3年時に「子供向けの日焼け止め」の商品で企業。中大法学部卒業後も自身のビジネスを継続。)
アントレプレナーシップ入門の受講がきっかけで起業をし、今年で会社設立3年目を迎える中央大学2年の伊藤瑛加です。以下、受講選択の際の参考としてください。本授業では、「起業家精神」を養う授業として、先人のビジネスの考え方や企業の取り組み、研究訪問する国の背景を学びます。成績評価はプレゼンやレポート課題が多く、高校生ビジコンへの参加も必須ということから、中々に重い授業の1つでしたが(笑)、本授業の受講を通して、大学や実社会で活きる力を身につけることが出来たので、大変感謝しています。私は、授業で扱ったイノベーション理論からビジネスモデルの工夫で社会課題を改善・解決できることを知り、教育と日焼け止め販売の融合から「幼少期からの日焼け止めの習慣化定着」を通して紫外線問題の改善を図る活動を行っています。身につけた「物事の関連性への理解力」は物事の課題発見に、「コミュニケーション力」は仲間集めや共に仕事を行う関係者との良い関係性構築に、「資料作成力」はプレゼンに活き、大企業主催のビジコンでの採択を通して、現在は企業や自治体と取り組みを進めています。成績評価は厳しいですが、フィードバックが詳細、ビジコンへの参加、研究訪問での自由時間があるなど、飴と鞭のバランスが良いので興味が少しでもあったら受講をお勧めします!
※以下のインスタのアカウントから伊藤さんの取り組みの様子を見ることができます。
Instagram: https://www.instagram.com/190sunshine_delight725?igsh=MWFiMG92bjExeWdobA==
[2] 春原崇寿さん (2023年度受講、現高校3年生)
私は、昨年度にアントレプレナーシップ入門の教養総合を受講しました。昔から起業家になりたいという夢があったので、迷うことなく、この教養総合を選択しました。私は、この教養総合内で多くの事を学びました。起業家の行動を知る所から始まり、自分達で商売体験をする所まで、多くの事を学びました。起業家の方のお話を直に聞けたことや、シリコンバレーをこの目で見たことは、貴重な経験です。また、この教養総合をきっかけに応募したビジネスグランプリでは賞も受賞することができ、人前に立って発表をしたり、経営者の方々とお話をさせて頂く機会を得られました。知らない人達の前で発表する事は、とても緊張しましたが、私を勇気づけてくれる思い出になりました。そして、今年から小規模ですが実際にビジネスを始めました。自分の夢に向かって進むきっかけを、この教養総合、岩本先生は与えてくださいました。本当に得がたい経験でしたし、選んで良かったなと思います。
[3] 町田瑞希さん (2023年度受講、現高校3年生)
私はこのアントレプレナーシップ入門を通して、挑戦する勇気とリーダーシップを身につけることができました。 受講中、友達と一緒にビジネスとして非常食用のアレルゲンフリークッキーを作り、高校生特別枠として一つのビジネスグランプリでプレゼンをしたのですが、そのプレゼンを作っていく過程で様々な壁に突き当たりました。それでも諦めずどんな突飛なことでも勇気を出して挑戦していったことで、最終的にそのビジネスグランプリのオーディエンスの方々から良い評価をいただく事ができました。 チームをまとめるといった役割を担うことに苦手意識を覚える人も少なくないと思います。実際私もそのうちの1人でした。ですが授業内で様々なグループワークをしていく中で、率先してグループをまとめるということの大切さに気づきました。養えたリーダーシップは3年生になった今でも授業でグループ課題をする時に役立っています。 「なりたい自分ってどんな自分だろう?」「どうやってなりたい自分になろう?」そんな、経営学だけでなく自分と向き合える、そして必ず将来に役立つ経験ができる、アントレプレナーシップ入門の受講を私はお勧めします!