オーロラは「なぜ」光るのでしょう?極地方でしか見られないのは「なぜ」でしょう?
我々のまわりにはこのような「なぜ」がたくさんあります.この「なぜ」のことを学術の世界では「問い」と言います.なぜなのかという「問い」に対する答えを見つけること,それが科学の本質です.
教養総合Ⅰ「光とオーロラの探求」のねらいは,我々のまわりにある「問い」に気づく「目」を養うことにあります.そのために「光」「オーロラ」「北欧」をキーワードとして様々な探究活動を行い,「問いを見つけ,答えを作り,発表する」という学術研究の一連のプロセスを体験します.「問い」に気づく目を養うことで,未来に求められる社会を生き抜くための「突破力」の土台をつくることが真の目的です.
「光とオーロラ」というタイトルの講座ですが,探求はそれらに限らず幅広いテーマを扱えます.頭を柔らかく,視野を広くして受講してもらえればと思います.
新しい問いを見つけるにも,その答えを作るにも,背景にある知識やそれに関わるスキルを知っておくことが必要です.加えて,知識が増えれば,それだけ広い視野で物事を捉えることができるようになります.
そこで,1学期は,光の性質やオーロラの科学,北欧の歴史文化に関する講義と実験を行います.また,2学期の研究旅行に向けて,グループごとに現地調査の事前準備を行います.
10月の研究旅行では,フィンランド北部,ラップランドの首都ロヴァニエミに赴きます.
ロヴァニエミは,北極圏の入口とも呼ばれている場所で,世界でも数少ない街中から比較的近いところでもオーロラを鑑賞できる都市です.小さな街ですが,極地方独特の大自然やアアルト建築に代表されるモダンな街並み,サンタクロースの故郷など,多くの見どころに溢れた街です.
研究旅行ではこの街を中心に,昼は北欧の歴史文化を探訪し,夜はオーロラ観測を行う予定です.また,グループごとにテーマを決めてフィールドワークを行い,帰国後はその調査結果を元に課題研究に取り組みます.テーマは文系・理系どちらを選んでもOKです.
ロヴァニエミについて詳しく知りたい人はこちら⇒ロヴァニエミ観光案内所
皆さんが研究をしている姿を見ていると,不思議なことに,毎年どのグループも独自の「問い」を持っているにもかかわらず,その「問い」の価値の高さに気付いていないか,自信を持てていないようです.だから初めに言っておきます.
皆さんの独自のアイデアには価値があります.
研究をするということは,「誰も答えを知らない問い」に取り組むことを意味します.誰も知らないから,答えが本当に正しいかどうかは誰にもわかりません.もちろん私達も答えを知りません.したがって,「先生が答えを教えてくれる」という受け身の姿勢でいると,研究はうまく進みません.研究はうまくいかないものと割り切って,試行錯誤を繰り返しましょう.答えが間違っていても,気にしてはいけません.なぜならば科学の進歩に失敗はつきものだからです.「先生に答えを教えてあげる」つもりで堂々と颯爽と発表してください.
この授業の担当者は,みなさんと一緒に研究できることを楽しみにしています.頭をやわらかくして,大きな夢にむかって精進してください.