研究意欲のある学生へのアドバイス

研究成果は論文を書くことで提示しますが,そのためには,まず,ジャーナル(論文誌)を読む必要があります. なぜなら,論文を書く場合,関連する先行研究を理解し,自らの研究論文の位置づけを提示しなければなりません. また,論文独特の構成や表現方法を習得し,論文の書き方を学ぶ必要もあります. よって,それぞれの専攻分野のジャーナルを読むことが,まずは論文を書く第一歩と言えるでしょう.

中央大学の図書館や研究所には,いくつかのジャーナルが蔵書として用意されています. また,最近では,インターネットを使えばディスカッションペーパーなどを簡単に手に入れることができます.

■ジャーナルを読む

ゼミ推奨ジャーナル

■分析手法を身につける

企業対象を決めれば,次に,何かしら分析を行うことになります. 現在,アカデミックの分野で用いられる分析手法は以下のように大別できるでしょう.

  • 理論分析(theoretical study)

  • 実証分析(計量分析)(empirical study)

  • 事例分析(case study)

これ以外に,歴史的研究を目指す人を中心に,「史料分析」という区分も存在するかもしれません.

さて,大事なことは,論文を書く段階までに,何らかの分析手法を身につけておかなければなりません. これは一朝一夕では身につきませんので,早めに取りかかっておく必要があります.

特に,中央大学商学研究科の院生諸君に対していえば, 分析対象に一生懸命精力を注いでいる点はいいのですが, どうもこの分析手法を身につけることをおろそかにしているように思えます. 料理人にたとえれば,食材の選ぶことに力を注いでいる反面, 実際の調理方法やテクニックをまったく学べていないといえます. 単に食材を選ぶだけで勝負していては, 実際に畑で野菜を育てている人,あるいは海で漁をしている人に対して かなうわけがありません. いいかえれば,分析対象の選び方しか強み(competance)がなければ, 到底,ビジネスの現場の人とは勝負になりませんし, 研究者としての強みも生きてきません. むしろ研究者の強みは,いい食材をいかに調理するかにあるといえるでしょう. こういったテクニック(分析手法)は,早いうちに学ぶことに越したことはありませんので, 是非とも大学院生時代にマスターしておくことを強くおすすめします.

理論分析を目指す人へ

残念ながら,私自身,この分析手法は苦手としていますので,あまり的確なアドバイスができないことを事前に承知しておいてください.

理論分析を目指す人は,これまでの経営学では概念的な議論に終始しており,分析手法としては十分に確立していませんので,厄介かもしれませんがミクロ経済学からはじめることになると思います. ただし,そうなると必然的にある程度の数学の知識が必要となります. もし,どうしてもミクロ経済学のフレームワークになじめない人は,いきなりゲーム論からスタートする手も考えられます. 特に,「戦略論」を専攻したい人にとっては,この分析手法は何かと重宝すると思います.

実証分析を目指す人へ

何はともあれExcelの使い方をマスターしておいてください. いずれにせよ,データを加工できないとまったく何もできませんので. その次に必要なのは統計学です. 少なからず数学の知識が必要となりますが,あまり興味がなければ,要点だけでも理解しておいてください. その後,分野によって異なりますが,多変量解析あるいは計量経済学を学習していくことになります.

加えて,専らアンケート調査を行う人は社会調査法が必要かもしれません. まあ,アンケート調査については,何回かやっていくうちに,そのノウハウが身についてきますが,あえて必要ないかもしれませんが・・・

また,実際のデータではなく,シミュレーションデータで分析する方法もあります. この場合,オペレーションズリサーチなどを学習しておけば良いでしょう.

さて,実際の計算はいまの社会ではコンピュータの力を借りることになります. したがって,いくつかのソフトウェアの使い方をマスターしておいてください. 必要なソフトウェアはそれぞれの分野によって異なりますが,とりあえず下記の 「ソフトウェアを使う」に思いつくソフトウェアを記載しておくことにします.

事例分析を目指す人へ

また時間があるときにアドバイスを書くことにします.


■ソフトウェアを使う

  • SPSS(大学ライセンス契約)

  • SAS(大学ライセンス契約)

  • TSP(商学部ライセンス契約)

  • STATA

  • LIMDEP