ゼミの指導について

■研究指導が可能な領域(博士課程前期)

企業を対象とした実証分析

まず,研究対象として,「企業」あるいは「企業家(起業家)」である必要があります. 別の言い方をすれば,「消費者」「商品」など,「企業」あるいは「企業家」以外を研究対象としたい人は,他ゼミを志望されることをおすすめします.

一方,分析手法として,「実証分析(計量分析)」である必要があります. これも別の言い方をすれば,「理論分析」「事例分析」を分析手法として用いたい人は,他ゼミを志望されることをおすすめします.

特に,以下のいずれかに該当する学生の参加を歓迎します.

  • 企業の行動・戦略あるいはパフォーマンスを客観的に分析してみたい人

  • 中小企業およびベンチャー企業に興味のある人

  • データを用いた実証的な研究をやってみたい人

  • 単に本に書いてあることを継ぎ接ぎした程度の研究ではなく,自らで何らかの新しい事実を発見したい人

注記

  • ゼミでは「自己責任」「成果主義」をモットーとしますので,その点を十分に理解した人だけが参加してください.

  • 年数回,学部ゼミと合同で,ゼミ,発表会,あるいは合宿を行います. よって,学部学生の研究に対しても積極的にアドバイスをお願いします(特に,大学での研究者をめざす博士後期課程の大学院生にとっては,そのような能力が将来的に重要となるでしょう).


■研究指導が可能な領域(博士課程後期)

「企業経済学」「産業組織論」

上記に加えて,以下の分野も指導可能な場合があります.

「経営戦略論」←担当教員の専門分野ではないが,「実証研究」であれば指導可能.ただし,概念的な議論や学説的な研究は×.

「中小企業論」←「実証研究」であれば指導可能.ただし,日本でみられる伝統的な「中小企業論」や概念的な議論は×.

「ベンチャービジネス論」←「実証研究」であれば指導可能.ただし,単なる企業や企業家の事例だけの研究は×.

特に,以下のいずれかに該当する学生の参加を歓迎します.

  • 「企業経済学」あるいは「産業組織論」を専門としたい人

  • (紀要などではなく)対外的に通用するジャーナルに論文を掲載してみたい人

加えて,上記の「注記」も同様に参照してください.


■指導方針(前期課程)

□前期1年次

講義あるいはゼミを利用して,以下の知識を習得することを前提とします.

☆ゼミで必要な知識

  • 「統計学」および「計量経済学」の基礎知識

  • ソフトウェア(TSP,STATA,LIMDEP など)の操作方法

☆読んでおくべき書籍

  • Wooldridge, J. M. (2003) Introductory Econometrics, Thomson.

また,自らの研究テーマを選択するために, 論文,資料,データの調査(サーベイ)をしていただきます.

□前期2年次

自らの研究の進捗状況について報告していただきます. 就職活動が一段落するまではかなりペースダウンしますが, その後は毎週あるいは隔週1回のペースで進捗状況を報告することになります. 最終的には,その研究成果をまとめて「修士論文(リサーチペーパー)」として提出します.


■指導方針(後期課程)

□後期1年次

上記の「前期1年次」に記載した「ゼミで必要な知識」および「読んでおくべき書籍」は 必ず押させておいてください. また,以下の書籍も追加的に読んでください.

☆読んでおくべき書籍

  • Greene, W. H. (2003) Econometric Analysis, Prentice Hall.

次に,自らの研究テーマに関連する論文をサーベイしていただきます. 論文の選択にあたっては,ゼミ推奨ジャーナル一覧などを参考にしてください.

後期からは,自らの研究の進捗状況について報告し,研究成果をまとめていきます.

□後期2年次

研究成果をまとめた上で,自らの研究分野に近いジャーナルに投稿していただきます. まずは国内の雑誌で結構ですが,最終的には,国際的に認知され,その分野で高く評価されたジャーナルへの投稿を目指します.

※「その分野で高く評価されたジャーナル」の定義は難しいですが,1つの目安として,「国内・海外を問わず,主要な大学図書館に蔵書があるジャーナル」「Social Sciences Citation Index に名前があがっているジャーナル」などです(ゼミ推奨ジャーナル一覧も参考にしてください).

□後期3年次以降

いずれかの論文について,その分野で高く評価されたジャーナルへの受理がほぼ確定した時点で,それまでに書いた論文(3本を目安とします)をまとめて,博士論文を作成します. 博士論文は,受理された論文を中心に作成することから必然的に英語で執筆することになります

最後に

私自身もまだまだ未熟な研究者ですが,志の高い大学院生の入ゼミをお待ちしています.

一緒にがんばって,対外的に評価される研究を目指していきましょう!