日本政府観光局によれば,2015年の年間訪日外客数は過去最高の1,973万人であり,東京でオリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて,訪日外客数は伸びていくと予測されています.また,訪日外客だけでなく国内の宿泊旅行も増加しており,宿泊施設の客室稼働率は高止まりしています.
そこで本研究では,2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催時に,宿泊を希望する観戦客に対して現在の宿泊施設は十分な供給力を有しているのかということを評価します.具体的には,宿泊需要を招致委員会の立候補ファイルに基づいて予測するとともに,Web予約を主体としたある旅行会社が取り扱っている宿泊施設のデータを利用して供給量を算出します.そして,宿泊に関する需給バランスを時空間的に評価します.さらに,2競技観戦チケットの導入が需給バランスの改善に寄与することを数理計画モデルによって示します.
図1.競技施設と収容定員別宿泊施設の立地