1 自分づくりを超えた考え方
「自分づくり」に意識が向いている人は、かなりレベルが高いです。
そういう人の中でも、「何のために自分づくりをしているのか」がわかっている人は、極めて少ないです。
研究者や職人のような人は、自分づくりに専念していますが、
「ほかの人を助ける」という発想にはたどりついていないようです。
自分に焦点が当たりすぎたり、自己満足している人はそこから上には行けないのです。
2 人の悩みや苦しみを知る
いま現在、世の中で何が起きているのかを知ることも大切です。
最近は、テレビや雑誌ではなくてインターネットを通じて情報を収集することが多くなりました。
簡単に情報を手に入れられるだけでなく、情報量も相当多くあふれています。
道行く人が、スマホを片手に画面を見ながら通り過ぎていくのを見ると、
まるで二宮金次郎のように、薪を背負って、本を読みながら歩く人が多数出現したのかと錯覚してしまいます。
様々な情報がある中でも特に、人がどんな悩みや苦しみを抱えているのかを知ることは大事です。
さらに一歩進めて言えば、幅広く、目を行き届かせるのみならず、
人の悩みや苦しみにどうアドバイスできるか、どう手助けしてあげられるかを考えてみるのです。
3 情報や関心を役に立たせる
現代の世の中には、これまでになかった新しいことがたくさん出てきます。
スマホやSNS、クラウド等々、20年前には存在しなかったものが、いまはたくさんあふれています。
今では、目にしたもの、耳にしたものの中で、知らない単語や言葉が出てきたらすぐに、
スマホを使って簡単に調べることができます。
ほんとうに便利な世の中になりました。
自分が関心があることだけでなく、世の中で何が起きているのかにも網を張り巡らすのは、時間も手間もかかります。
ですから、両者を両立させるためには、意志の力、継続の力、忍耐力が必要です
この難しいことを両立させることで、生産性を向上させることができます。
こうして手にした知識を持っている人の話を聞くと、「勉強になった気がする」とか「ためになった気がする」となります。
4 知識を、良い判断をする材料とする
いろいろなことに関心を持っていることはよいのですが、
その中でも大切なのは、「自分の本業の中では一流を目指す」ことです。
さまざまな情報を得て、考える幅が広がると、よい判断をすることができるようになります。
その結果、いい仕事をすることができます。
なぜならば、知らなかったら、新しいものを受け入れることができなかったり、
否定をしてしまったり、進歩することができなかったりするからです。
ところが、知ることによって、よい判断ができるということは、仕事の実務能力を高める意味でも非常に良いことです。
5 幾つになっても新しいことに関心を持ち続ける
「現状のままでいいんだ」と思っている人は、自分のことにしか関心がないということです。
過去のことを考えすぎたり、自分に都合のよいことばかりを言ったり、
あるいは、自分が傷ついたことばかりを言ったり、自慢だけできていれば満足だというのではもったいないです。
視点を、自分以外の外の部分に向けてみたら、まったく新しい世界が目の前に開けていることに気がつくものです。
それは、海外に限らず、日本国内であっても、初めての場所に行ってみたりすると、
これまでの自分の体験と違う、新しいものを手に入れることができます。
ですから、幾つになっても新しいことに関心を持ち続けていることは、とても大事なことです。
できたら、他の人がどのように感じているのか、人の気持ちがわかるようになることが大事です。
それがわかるように関心を持ったり、努力することは、自分自身のさらなる成長につながります。
これは、どのような仕事をしているかに関係なく、年齢にも関係がありません。
このような意識を持っていると、いくつになっても、成長していけるのではないでしょうか。
1 「変だな?」と感じた取引内容
あるとき、打ち合わせの時刻になっても、役員が出てきませんでした。
遅れてきた役員は、「申し訳ありません」と言って、何が起きていたかを説明してくれました。
それによると、ある取引で累積2,000万円の赤字が積みあがっているので、
それを損金処理するように監査法人から指摘されているとのことでした。
その損失が発生している状況を解消するために、価格を1.6倍に値上げする案を社長に提案したところ、
社長が難色を示したため、その交渉に時間がかかり、打ち合わせに遅れてしまったというのです。
その話を聞いていて、「少し変だな?」と思いました。
お金を頂いておりながら、累積で2,000万円もの赤字が積みあがっているのは変だと感じたので、
「ちょっと調べてみましょうか」と提案すると、「ぜひ、お願いします」と言います。
「必要な資料は何でも提供します」とのことだったので、
その取引に付随する会計情報の提供をお願いしました。
2 サービスの切り替えコストが大きい
取引の内容を見たところ、受け取っている額に対して、
支払っている額との差として、毎月100万円の赤字が発生していることがわかりました。
要は、支払っている額が、受け取っている額に対して多すぎるのです。
なぜこのようなことが起きているのかはすぐわかりました。
サービスの利用を始めてから3ヶ月後には、すぐに切り替えていたのです。
この切り替え時に発生するコストが大きく、結果的に毎月100万円の赤字になっていました。
そうだとすると、切り替えコストを下げてやればよいことがわかったのです。
3 毎月100万円の赤字を、50万円の黒字に変える
この切り替えコストを下げるために、受けるサービスの条件を修正するようにお願いしました。
その結果、その月から50万円の黒字に転換したのです。
毎月100万円の赤字だったものが、毎月50万円の黒字に変わるのですから、
差し引き150万円の改善ができたことになります。
つまり、年間で1,800万円もの改善です。
こんなことが、調べてたった3日でわかるのですから、会社にとっては儲けものです。
4 損金処理の回避と改善の横展開
赤字回避と累損の解消の目途がたったので、監査法人にはこの処理の説明を行い、
損金処理を行わなくてよいことの了承を取り付けて頂きました。
この話はここで終わりません。
「こんなところで毎月100万円の赤字が出ているのだから、
ほかにも改善するところがあるかもしれません。
ちょっと見てみましょうか?」と聞くと、「ぜひ、お願いします」と言います。
「では、見てみましょう」と言って、引き続き検討させて頂きました。
すると、この取引で発生しているサービスの切り替えが、別のところにも影響をしており、
年度末の段階で、追加の精算金の支払いが発生することになっていました。
このことに気づかずに放置していると、年間で800万円の経費増を生み出すのです。
そこで、この処理にも手を入れ、800万円のコスト発生を抑制しました。
同じように、細かな取引や処理を少しずつ改善していくことで、
この年の1年間で、約1億円の経費節減ができたのです。
この経費節減策は、たまたま話題になったことが元となって、
改善の手を打ったもののため、本来やる予定のコンサル業務とは別のものでした。
顧客にとっては大きな価値を手に入れることができたのです。
5 業務には、いろいろな改善の余地がある
改善した金額は1億円という大きなものでしたが、その年の経費額が4億円でした。
そのため、25%の改善ができたことになります。
金額が大きければ大きいほど、改善額も大きなものです。
どこをどう改善すればよいかというのは、内容によって異なりますが、
改善するということそのものは、工夫の余地があるものです。
ちなみに、この年の改善に気をよくした経営戦略室の幹部が翌年になって、
「今年もまた、削減をお願いできませんか」と言ってきたため、
その年も、追加で1億円の削減をしました。
金額の大きな取引があるようなら、見直しをしてみるとよいです。
得られるものもきっと、大きなものになることでしょう。
予想外の大きな損失が、予期しない大きな利益となって返ってくることがあるのですから。
1 変わる働き方
いま、企業の働き方が変わってきています。
「長時間労働をしないように」から始まり、「出勤を控えて」、「なるべく家から出ないように」、
「人と群れないように」、「5人以上で会食しないように」、「県をまたぐ移動をしないように」、
「飲食店は営業時間を20時までに」、「ラストオーダーは19時までに」、「営業を自粛するように」等々、
様々な要請という名目での命令が出されています。
この命令に該当する企業の従業員は、働き方を変えざるをえません。
しかも、会社の存続にも、大きくかかわっています。
こうした状況の中で、テレワークをしたり、オンラインで仕事を進めたりしてみたところ、
「これでもやっていけるのかもしれない」と、やむにやまれず、考えを変えた方も多いでしょう。
2 企業の在り方の変化
仕事は、やるべき業務を分担によって任されていることが多いのですが、
独立したりして、一人で仕事をしてみると、自分の得意分野があることに気づきます。
自分ひとりで大きな仕事はできないけれども、他の事業者と協力することによって、
より大きな仕事ができることに気がつきます。
これまでの企業は、社長というトップを中心として
従業員を多数かかえたピラミッド形態によって構成されていました。
今回のコロナ感染症対策による仕事のしかたは、
企業の在り方を変えていくのではないかと感じさせられます。
つまり、技術力やスキルといったその会社なりの特徴を持った小さな企業同志が連携することによって、
あたかも巨大企業のような動き方ができるのではないかと思うのです。
3 大企業と言えども、働くのは少人数のチーム
私自身、大会社で働くという機会を頂きましたが、その時に感じたのは、
同じ会社の中にたくさんの従業員がいるけれども、
一緒に仕事をしていたのは数人のチームだったということです。
同じ会社の中でも、役割分担によって、異なる仕事をしていました。
大企業と言っても、働いているチームは少人数だったのです。
4 アメーバー的なフレキシブルな連携
こうした、大企業の中でのチームによる働き方が、
今後は個別の小さな企業同志の連携によって成り立つようになるのではないかと思うのです。
あるプロジェクトが発生したら、アメーバーのように必要に応じてチームを組み、
プロジェクトが終わればまた元の状態に戻る。
こうした仕事の仕方が、今後の主流になっていくのではないかと感じます。
なぜそう思うのかというと、2つの要因が挙げられます。
1つは、大企業は、その会社を維持していくだけでも、中小企業と比較してもコストがかかります。
一つの場所に多くの従業員が集まるためには、大きなビルを借りなくてはなりません。
多大な家賃のほか、通勤費もかかります。通勤時間もかかります。
外形標準課税などの法人税や社会保険料も多くかかります。
コストが高いのです。
もう1つは、休日取得から始まり、社会保険加入条件や、労働条件にも様々な制約があります。
こうしたコストや制約を考慮した結果、コロナ感染症対策を機に、
都心のビルを解約して郊外に本社を移した企業があります。
テレワークを推進して都心に通勤する必要がなくなった企業もあります。
本社そのものを東京から地方に移した会社もあります。
このような形で、従来のような企業の在り方が変わってきているのです。
5 バーチャル・カンパニーの成立
大企業という形は解消されていくかもしれませんが、
仕事に応じて、協力体制を組むことには変わりないでしょう。
いままでの大企業のように、一つの会社名の下で、たくさんの従業員が働くという形から、
個々の従業員が、自分の仕事に責任を持ち、必要に応じて集まるという形に変わっていく。
同じ思いを共有している人たちによるバーチャルな企業形態、バーチャル・カンパニーが
これからどんどん出てくるのではないでしょうか。
そうなっていくと、将来を見据えて、手を打っていくことが、
次なる道を開いていくカギとなっていきます。
1 デザイナーとの出会い
先日、デザイナーを紹介され、会いました。
デザイナーの周りにいる人は、芸術系の方が多く、これまでにはあまり接点がない人でした。
話を聞いていると、感性的なものの考え方をするようだし、行動もまた感性的なものを感じました。
デザインについて振り返ってみると、1970年代の終わり頃のapple computerのappleⅡを思い出します。
ITと芸術の融合は、アップルから始まったのでしょうか。
その後のmacintoshの開発でこだわりが強すぎて、アップルから離れることになったスティーブ・ジョブズですが、
傾いてたアップルに戻ると、カラフルなimacを発売し、そこから経営的危機を脱しました。
その後、様々なヒット商品を出し続けて、いまや巨大企業へと変身したのは皆さんご存じのとおりです。
これもデザイン的な視点での考え方でしょう。
2 ごみ箱にもデザイン
日本のデザインとして思い起すのは、ごみ箱です。
1970年代の初めに、缶製のごみ箱が流行ったときがあります。
ある企業がごみ箱の表面のデザインを有名画家に依頼しました。
たかがごみ箱と思うなかれ、このごみ箱を題材にした商品が大ヒットしたのです。
そのデザイナーは、ごみ箱というモノではなくて、ごみ箱を通じて、魅力的な商品を作り出したとも言えます。
3 タオル産業の改革
愛媛県の今治市はタオルの産地として有名ですが、
私自身、愛媛県出身者に今治市のタオルのことについてはよく聞かされてきました。
今治市のタオル産業は、安い海外製のタオルに押されて、長らく斜陽産業になっていました。
これを救うべく動いたのもデザインでした。
「ロゴを変えたくらいで、業界が変わるのか」という意見もあったと聞きます。
結果として、それを変えるだけの力があると知らしめたところがすごい。
ロゴを変えたのはその通りですが、実際には、精神を変え、業界を変えたのです。
そこにデザインを通して、業界を変える力が発揮されたわけです。
4 思いが仕事をする
ここでは、デザインを題材にして、事業を変えることができたという特徴的な事業事例を取り上げました。
デザインを事例としましたが、実は、デザインに限らず、
ある一つのものを題材として、その事業を変えることができることがわかります。
それは、「考え方」を変えることによって、「事業を変えることができる」ということです。
魂を吹き込むと言ってもよいでしょう。
新しいものを形づくることによって、事業そのものが変わっていくのです。
つまり、思いが仕事をするということです。
もし、自分の事業を変えたければ、思いを変えればよい。
それが、事業改革の一つのヒントになるでしょう。
1 ソニーの業績好調の裏側にあるもの
ソニーの2020年度の第3四半期の累計税引前利益が1兆円を超えたということで話題になっています。
この利益の中で、一番大きな割合を占めているのが、
ゲーム&ネットワークサービスで、3,092億円となっています。
ゲーム&ネットワークサービスは、ゲームの販売、通信ネットワーク、
PS5などのゲーム機販売を行っています。
ゲームの販売は、単品ソフト販売の他、
オンラインで月額固定の遊び放題のサービスであるPlayStation®Plusがあります。
PlayStation®Plusは、1ヶ月だと850円、3ヶ月だと2,150円、12ヶ月だと5,143円の定額サービスです。
2020年3月末には、4,150万人の会員がいたので、現在ではもっと増えているでしょう。
もしも4,150万人の全員が12ヶ月のプランを契約しているとしたら、
年間で2,134億円もの売上を上げていることになります。
実際には、デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツの部分だけで
売上高1兆1,244億円を上げていますから、相当の利益が出ていることになります。
2 サブスク・モデル
これまで、商品の製造・販売のビジネスでは、売り切り型のものが多かった。
商品を売って、代金を回収して、この繰り返しによって、企業の収益が決まっていました。
従量制課金ビジネスとしては、電気や水道、ガス、電話があります。
利用契約はしますが、代金は使用量に応じて決まる形のものです。
それらに比べ、サブスクリプション・モデル(サブスク)は、定額料金ビジネスです。
サブスクの元となる考えは、新聞の定期購読です。
一度、契約してしまえば、毎朝、新聞が配達されます。
長期間にわたり、契約をし続けることになります。
それと似た形で、サブスクは毎月定額で、使い放題、いつでも辞めることができるという特徴を持っています。
具体的な例としては、セコムやアルソックなどの警備や、アマゾンの電子書籍読み放題のKindle Unlimited。
最近では、毎月定額で固定費を支払い、サービスを受けることのできる
ビジネスモデルを「サブスク」と総称しているように感じます。
3 マイクロソフトのサブスク
サブスクを受ける側のメリットは、利用量によらず、料金が固定なことです。
サービスを提供する側のメリットは、毎月、固定的に収益を上げられることです。
利用者が多ければ多いほど、固定収益が得られますから、高収益のビジネスになります。
マイクロソフトは、WordやExcelといったOfficeソフトをパッケージにして、電気店で販売していました。
購入する側から見ると、統合されたソフトだと6万円と、かなり高額な出費を求められていました。
それに対して、Officeソフトをインターネットでダウンロードしてインストールし、
毎月1,500円程度の固定の利用料を取るサブスクを2014年から始めました。
聞くところによると、最初はマイクロソフト内でもサブスクには否定的な声が多く、なかなか進まなかったそうです。
それを「サブスクのほうが高収益を得られる」として説得し、サブスクビジネスへ転換させたそうです。
結果はお分かりの通りです。
マイクロソフトは、一時期、「もう終わったビジネス」のように言われるくらいの混迷もありました。
それをひっくり返して、高収益事業に変貌したのは、このサブスクの効果です。
結果的に、一時期、世界一の株式時価総額になりました。
「マイクロソフトは復活した」と言われたのです。
その裏側にあったのが、Officeソフトのサブスクです。
4 サブスクへの転換
今現在、サブスク的な事業をしている会社は多いと思います。
毎月、固定料金を受け取って、長期にわたるサービスを提供している会社は多いでしょう。
それは、不動産賃貸や駐車場なども、ある意味、サブスクです。
それ以外の、商品やサービスの売り切りビジネスをしている企業は、
自社サービスをサブスク事業にしていくことを考えるとよいでしょう。
現在の事業とサブスク事業の違いを簡単に述べるとすると、利用者数の増大です。
従来ビジネスは、月額固定でも利用料金は高額で、利用者数が限られています。
サブスクの場合は、月額料金が低めで、利用者数が多く、総額では従来ビジネスの何倍もの利益を生み出します。
こういうビジネスに、自社のサービスを置き換えるにはどうすればよいかを考えることが大切です。
5 発想の転換
従来の思考にこだわると、「できるわけがない」となります。
ですから、サブスクへの転換のポイントは、
「どうすればできるか」と考えることから始まります。
いかにしたら、それが実現するのか。
何がネックになっていて、その考え方になるのか。
どうすれば、その限界を突破することができるか。
この考えの繰り返しの先に、答えが見えてくるでしょう。
そのための一番の近道は、知恵ある者とのディスカッションでしょう。
ディスカッションによる思考の練り直しが、新しい道を開きます。
1 時間が止まると「写真」になる
時間は不思議なものです。
私たちが「時間」を感じられるのは、動いているからです。
時間が静止したとき、全てが止まります。
311の地震の時、電車が止まり、電気が止まり、すべての経済活動が止まろうとしていました。
テレビ放送でも、「自粛、自粛」と言って、すべての活動を止めていきました。
「被災地がかわいそうだ」という名目で、マスコミがあおって、祭りをも止めようとしていました。
こんなことをやり続けたら、人の活動がなくなり、大変なことになります。
すべてが止まったとき、一体どのようになるのでしょうか。
巨大な車が動きを止めたあとは、再び動かすのに、ものすごいエネルギーが必要となります。
経済が止まるというのは、あたかも今まで動いていたものがすべて止まって、静止画になるかのようです。
「時間が止まった時というのは、何も動かない時なんだな」と、その時に感じました。
今、私たちが生きている世界は、時間が流れているから、人が動くわけです。
「神の3大発明」の1つとして、「時間」があると聞いたことがあります。
ですから、もし時間が流れていなかったら、私たちは置物のように、止まっている姿だったのです。
2 時間の効率的な使い方
時間の流れというものは不思議なもので、一定の流れのように感じるのですけれども、
アインシュタインが相対性理論の中で言ったように、時間も実は伸び縮みするように感じます。
たとえば、学生の頃、問題を解くのに時間がかかっていると、疲れてきて、効率が悪くなりました。
数学の勉強を長い時間やっていると、だんだん解く時間が長くなってきます。
こうした時は、科目を数学から国語に変更してやると、またスムーズにできるようになります。
国語が疲れてくると、社会に変えます。
1時間やって疲れてくると、また数学に切り替える。
このように、繰り返し繰り返し、切り替えていくと、効率よく勉強することができることに気がつきました。
これは不思議な体験でした。
長時間、同じことをやり続けることはできないのだけれども、それを切り替えると、効率がよくなる。
かけている時間は同じであるのにもかかわらず、科目を切り替えることで効率を維持できる。
これはある意味において、時間の効率的な使い方といえます。
3 作業の切り替え
似たような話で、作業を小さく切る方法もあります。
たとえば、ある1つの仕事にかかる時間が8時間かかるとします。
この仕事が3つあり、それぞれにA、B、Cという名前がついているとします。
Aの仕事が終わるまでに8時間かかります。
Bの仕事に取り掛かるのは、2日目になってしまいます。
そして、Bを終えてCを取り掛かると、3日目となり、すべてを終わると4日目になります。
つまり、4日目にならないと、手が空かないわけです。
このやり方ではなくて、1日目の時間の最初の2時間でAの1/4をやる。
次の3時間目からの2時間でBの1/4をする。
このように、仕事を分割してやると、意外なことに早く終わるということに気がつきました。
なぜそういうことが起きるかというと、一つ一つの仕事の中に、
待ち時間のような何もやっていない時間が含まれていたりするからです。
これも時間の使い方の不思議なところで、1つは収穫低減の法則が効いているのと、分割の効果というものがあります。
4 並列に処理をする
A、B、Cのように、仕事を連続してするのではなくて、Aを1/4、Bを1/4、Cを1/4のように、
並列で処理することによって、もっと早く処理ができるということです。
この考え方はいろんなところで使われています。
例えば、ホームページで写真を表示させようとするとき、20年前は、
画面の1番上の左側から右側に順番に写真が徐々に表示されていました。
このやり方だと、全体が見えるようになるまでに、時間がかかることから、
画面全体の枠組みを表示して、そのあとに、細部の情報が浮かび上がってくるように変わりました。
写真がだんだんと、浮き上がってくるようになっているのです。
これはダウンロードの仕方を変えているわけです。
直列だったものを、並列で分散して処理をしているということです。
勉強や仕事の仕方も全く同じで、全体像をつかんで、中のデータを後から取り込むようにする方が効率が良いのです。
これも考え方の1つで、このように考えると、それができるのです。
ですから、時間の使い方にもいろいろあるということです。
5 TVチャンネルを変えるように仕事を変える
時間は、有効なことに使うと、価値が高くなります。
逆に、長時間ボーとしたり、テレビをボーっと見ていたら、時間が失われてしまいます。
ですから、いかに時間を大切に使うのかという観点で、その時間に何を当て込んでいくのかが、効果を得る秘訣です。
それはたとえて言えば、テレビの番組表のように、そこに何を入れていくのかということです。
さらに言うと、番組表には1チャンネル、2チャンネル、3チャンネル…と、複数のチャンネルがありますが、
同じように、自分の仕事の仕方にもチャンネルがあるというふうに考えたらどうでしょうか。
1日24時間の起きている時間のうち、仕事時間が10時間だとします。
みんなが同じく10時間を持ってるわけですが、この10時間の中に1チャンネル、2チャンネル、
3チャンネル、4チャンネル…というふうにチャンネルをパラレルに持っていたとすると、様々な仕事ができます。
あたかも同じ時間帯に、同じタレントがいろいろな番組に出演しているようなものと言えるでしょうか。
テレビを見ていると、コマーシャルのときにはチャンネルを変えたりしますよね。
それと同じように、仕事をしている途中でもチャンネルを変えるかのように仕事の内容を変えていくと、
これがもっとたくさんの仕事ができるということにつながっていきます。
このような考え方で時間を捉え直すことができれば、生産性の高い仕事の仕方ができるようになります。
6 作業時間の短縮は、時間の創造と同じ
仕事の仕方も、時間を短縮する仕事の仕方があります。
通常だと10時間かかる仕事であっても、最近ですと、ロボットを使うことで、1時間でできたりします。
10時間の仕事が1時間でできれば、効果は10倍です。
6分でできれば100倍になります。
このように、10時間かかるようなものが6分で終わるようになってしまえば、作業時間は100分の1になってしまいます。
これが時間を圧縮する効果となります。
この圧縮効果は、ある意味における時間を創造する効果です。
このようにして、いかにして時間を生み出すのかということを考えた人が、
結果的に多くの仕事ができるようになっていくのだと言えます。
1 コンビニが変えた社会生活
今では当たり前になったコンビニの24時間、365日営業。
欲しいものが一通りそろっています。
その名の通り、便利なお店です。
コンビニが普及するまでとの違いを振り返ってみると、よくわかります。
私が子供の頃は、スーパーマーケットのようなお店は夕方6時には閉店していました。
何か欲しいと思っても、翌日になるまで店は開いていなかったのです。
これがあたりまえの社会でした。
そうこうするうち、私が住んでいた田舎の町でも、夜遅くまで開いている店が出てきました。
小さな町に、1つだけ、深夜零時まで開いている店ができたのです。
23時すぎに行ってみると、小さな商店に常時5人くらいの人が買いに来ていました。
値段はスーパーマーケットと比べても高いのにも関わらず、みんながたくさん買って帰っていました。
夜遅くまで開けていることの効果というものを感じたものです。
2 食生活を変えたサービス
やがて、コンビニの店舗数が増えてくるにつれ、どんどん便利になっていきました。
最初の便利さを感じたのはお弁当です。
当時は、「ほかほか弁当」「ほか弁」と言って、
注文を受けて調理してくれるお店が大変重宝していましたが、
それがいつしかコンビニ弁当に変わりました。
やがて、おにぎりが出てくると、一層手軽に食事を買うことができるようになりました。
出かけるときに必要なもの、食事がコンビニで買えるというのは最初の便利さでした。
やがて、24時間、365日営業をするようになって、
「24時間営業は本当に必要か?」と思いましたが、それもまた便利なものでした。
「とても助かる」と思ったのは、公共料金の支払いがコンビニでできるようになったことです。
それまでは、公共料金の支払いは銀行窓口に行かなくてはなりませんでした。
ある時、会社に行く前に銀行に寄って、支払いをしようとしたら、
伝票を渡すまでにも10分以上かかり、
伝票を渡してから処理が終わるまでにさらに20分待たされました。
さすがに、「二度と利用するものか」と思うくらい時間がかかりました。
それが、コンビニではあっという間に支払いが完了してしまいます。
このように、コンビニでは、便利さがどんどん進化しているように感じます。
それだけ、いかにして利便性を提供するかということに苦心しているのだと思うのです。
ありがたいことではあります。
3 業態転換の支援としてのコンビニ
コンビニが変えた大きなポイントとして、パパママストアからの転換があると言われます。
昔は、老夫婦が薄暗い店舗で営業しているところも少なくなかったのです。
こうした店は、だんだんと閉店していきました。
コンビニが新規出店していく中において、ターゲットして選んだのがパパママストアと酒屋からの転換でした。
古びたパパママストアが、コンビニになって息を吹き返すというのは大きな転換だったと思います。
4 今後の発展
コンビニは、既存の考え方にとらわれず、常に新しいサービスを提供することによって、進化してきました。
もちろん、その過程において、既存の規制や習慣とのぶつかりもたくさんありました。
たとえば、店舗への配送トラックが渋滞を巻き起こしていたこと。
深夜まで開いていることによる、明るさの問題。
深夜に若者がたむろする問題。
トイレを貸し出さないよう警察から指導された問題。
大量の売れ残り商品の廃棄の問題。
24時間営業をし続けることに対してのオーナーの健康問題。
既存店舗の周りに新しい店舗を出店することによる、既存店への影響。
それ以外にも、現在でもまだ知られていない問題があるでしょう。
今後もたくさんの問題が起きてくるでしょう。
5 期待される役割
それでも、そうした問題を一つずつ解決していき、
よりよいサービスを提供することによって、コンビニ自体ももっと進化していくでしょう。
それにつれて、私たちの生活もより一層、便利になっていくのだと思います。
そうであるならば、コンビニを運営する会社としては自社の満足だけを追求するのではなく、
利用者の満足は当然のことながら、近隣住民やオーナー自身の生活までを含め、
全体的な満足を実現することが期待されます。
フランチャイズシステムによって、数千億円の利益を上げている反面、
そのために苦しんでいるオーナーがおられるのも事実です。
自分たちの都合のよい契約内容によって、オーナー店に対して苦労を強いているようであってはならないでしょう。
共存共栄という言葉もありますが、それを一歩進めて、
運営会社、オーナー、利用者、社会全体が満足し、
発展していく社会を実現していくリーダーとしての振る舞いが期待されると思うのです。
それによって、コンビニは、さらにいっそうの発展繁栄を実現していくことでしょう。
1 モーリシャス島
インド洋の西側にモーリシャスという島があります。
マダガスカル島から1,000kmほど東側に位置します。
2020年8月には、貨物船から重油が流れ出して、日本でも有名になった国です。
現在は、東京都と同じくらいの大きさの島に126万人が暮らしています。
2 研修講師として訪問
その国に通信機を納めたことで、現地の通信会社の従業員の教育に行くことになりました。
その講師に、まだ若かった自分が選ばれ、現地に赴きました。
当時はまだ、それほどいいホテルがなく、数少ないリゾートホテルの一つに宿泊しました。
部屋は、バンガローのように独立したところで、部屋の中にはテレビもありませんでした。
「この島にはテレビ放送もないんだろう」と、勝手に思い込んでいました。
あとでわかったのですが、単に、リゾートホテルだからテレビを置いていないだけだったのですが。
欧米人がバカンスで宿泊しているホテルに、
日本から来たビジネスマンが毎朝、ネクタイをして出かけていく姿は、
明らかに場違いでした。
夜の食事の時には、家族連れで楽しんでいる場所に、
ひとり座って、食事をしているのはとても寂しいものでした。
3 受講生の人種構成
研修会に参加した従業員の人種は様々でした。
モーリシャスの国民は、インド系が7割。
アフリカ系と白人の混血は、クレオールと呼ばれますが、それが3割弱。
そのほかには中華系、フランス系が数%でした。
4 受講生の関心事
研修期間中、生徒たちはまじめに聞いてくれていましたが、
休み時間になると、日本のことをいろいろと聞いてきました。
印象深かったのは、「あなたの宗教は何ですか?」でした。
彼らが言うには、「自分たちは、見てわかる通り、さまざまな人種に分かれています。
その各々が、人種に応じた宗教を持っています。
それは、ヒンズー教、キリスト教、仏教です。
では、日本人のあなたの宗教は何ですか?」と聞かれたのです。
そう聞かれて、「自分の宗教は何なんだろう?」と考えてしまいました。
「実家は真言宗なんだろうけれども、宗教としては仏教なんだろうか?」のように思い悩み、
答えに窮していると、彼らの中の一人が言いました。
「オレ、知ってる。日本人は神道でしょう。そうじゃないですか?」
当時、宗教のことをよく知らなかった自分は、その話を聞いて、考えてしまいました。
「神道は、宗教という分類なのだろうか?」
宗教のことをよくわかっていなかったこともあり、そんなふうに思ったのです。
彼らに聞かれたからには、答えないといけないと思って答えたのは、
「日本人の多くは、無宗教なんじゃないか」でした。
そのように答えると、「信じられない」という顔をされました。
5 日本人は無宗教なのか?
海外で、「宗教を持たない」というのは、
「神を信じていない」ということと同義です。
そのため、彼らは口にはしませんでしたが、「悪魔崇拝か?」となってしまうようでした。
いやぁ、無知とは恐ろしいものです。
知らなかったとはいえ、こんな愚かな認識でしかありませんでした。
その時、弁解もかねて、重ねて答えたのはこういう事例でした。
日本では生まれると、神道式で神社にお参りをします。
正月は神社に行って、お参りをします。
お盆には、亡くなった人を迎えます(仏教)。
12月にはクリスマスでケーキを食べます(キリスト教)。
年末にはお寺の鐘の音を聞いて、一年を納めます(仏教)。
死んだら葬式をして、お寺に埋葬されます(仏教)。
こんなことを言うと、彼らはさらに混乱したようです。
彼らも混乱したかもしれませんが、自分自身もよくわかっていませんでした。
結局、まさかそんなことを聞かれると思わなかったので、
日本人としてのアイデンティティの再確認のようになってしまいました。
6 日本の文化を深く知る機会となる海外旅行
このように、海外に行き、海外の文化に触れると、新たな発見があります。
それは、海外と比較した日本の姿です。
モーリシャスで最初に感じたのは宗教との比較でした。
こうした体験は逆に、日本をよく知るきっかけとなります。
世界の国を見ることで、日本の姿が浮き彫りになるからです。
日々、何気なく過ごしている日本の姿が、海外との比較により、より鮮明になりました。
そういう意味においても、あなたにとっても、海外での体験はお勧めしたいものです。
1 これからの10年はどうなるか
新型コロナの影響は、私たちの生活習慣を大きく変えました。
マスク、ソーシャルディスタンス、テレワーク、営業自粛、外出自粛等々。
この結果、観光地、飲食業、旅行業ならびにそれらに付随する産業は甚大な経済的影響を被りました。
これはまだ始まったばかりで、この影響はしばらく続くと見たほうがよいでしょう。
そうすると、これから、どのようなことに気をつけなければいけないのでしょうか。
そうしたことを、真剣に考えなくてはいけなくなります。
では、どのように考えればよいのでしょうか。
そのためのヒントは、過去を振り返ってみるところにあります。
たとえば、第二次世界大戦を考えてみます。
始まったのは昭和16年12月8日。
終わったのは昭和20年8月15日。
約3年9ヶ月の間だったことがわかります。
あれだけの戦争であっても4年弱だったということです。
もちろん、戦争が終わってからも大変だったわけですが。
このように、これからの10年を見据えたとき、
どうあるべきかを考えるには、過去を振り返ってみればいいのです。
2 これから出てくる課題に立ち向かう
悲惨な戦争と、戦争が終わってからの苦労と、その両面からのアプローチが考えられます。
戦争中に伸びたものは何だったのでしょうか。
衰退したものは何だったのでしょうか。
同じく、戦争が終わってからはどうなったのでしょうか。
何が重要で、何が重要でなかったのでしょうか。
そのように考えてみると、多少のヒントが見えてきます。
大きい視点では、戦争をしている時には「戦争反対!」と言うわけにはいかないということです。
終わってみれば、愚かに見えることであっても、
その最中にはその流れに反することは許容されません。
これはコロナの現在も同じことで、
コロナの影響についてのことやマスクの効果についてはコメントできません。
つまりは、こうした流れがあるということを認識した上で、
どのように過ごしていけばよいのかを考えればよいことになります。
行動の自粛が求められたことの反対に、伸びたものもあります。
それはテレワークに代表される遠隔でのやりとりです。
代表的なものはGoogle MeetやMicrosoft Teams、Zoomといったテレビ会議システム。
これまでは、人と人が直接会って話をしていたことが、遠隔でもよいことになってきました。
これは、パソコン画面やタブレット端末を通しての会話を日常的なものにします。
この先に想定されるのは、学校や会社に行くのは自分の部屋の机に向かうことになるかもしれません。
それはまさに、昔の映画やアニメで見た、未来社会の姿に他なりません。
3 何が起きるかがわかれば対応できる
こうした社会の延長線上に、自社の未来をどう重ね合わせてゆけばよいのでしょうか。
自社の事業が永遠に続くわけではありません。
変化の時というのはあります。
この20年の間でも、ブラウン管テレビはなくなりました。
VHSやベータといったビデオテープ関係のものもなくなりました。
フィルムカメラも、それに付随する現像サービスもなくなりました。
このように、なくなったモノ、なくなったサービスがある反面、
それと入れ替わって出てきたものがあります。
それは液晶テレビであったり、デジタルカメラであったり、スマホであったりします。
つまり、今まであったものが、違う新しいものに置き換わったのです。
この先に、自動車や発電のしくみが変わったら、世の中はいっそう変わっていきます。
変わらないという保証は何もありません。
もう25年以上前に、トヨタは「もし、自動車がなくなったら、我々はどうするか」を
常に考えていると聞いたことがあります。
同じように、「自社のモノ、サービスがなくなるとしたら、わが社はどうするか」を
考えてもよいのではないでしょうか。
4 耳を澄まし、目を澄まして流れを見る
過去、実際に様々なことがありました。
そして、実際、これから何が起きるのかはわかりませんが、
自分の立っている場所がなくなるようなことが起きるかもしれません。
そうなったときにどうするのがよいのでしょうか。
大切なことは、流れに逆らわないことです。
大きな流れを止めることはできません。
そうであれば、その流れの中にあって、
どのようにして存在を維持できるかを考えるほうがよいのです。
さらに言えば、その流れを利用して、
さらによいものを生み出すにはどうすればよいかを考えるのです。
たとえば、目の前に川が流れているとします。
普段は幅数メートルの小さな川だとします。
その川であっても、大雨が降ったり、台風が来たら、
周りのものを押し流してしまう激流となります。
これによって、その後に肥沃な大地ができたという話もあるのだから、
同じように大きな流れの中で、自分のよって立つ場所を考えてみればよいでしょう。
大切なことは、大変な時代が過ぎ去ったのちに、
振り返ってみて、適切なことをすることです。
道を外さないこと。
なんのために生きていたのか。
その存在意義を失わないこと。
そこにきっと、自分が向かうべき、本当の姿が現れてきます。
1 世界経済の変化
現在の世界経済の大きな潮流としては、大都市のロックダウンが挙げられます。
日本の「営業自粛政策」は、影響を被っている業界にとっては耐え難いものですが、
世界の他の国のロックダウンと比較してみればまだ救いようがあるのかもしれません。
もう一つは、アメリカ大統領選挙後の動き。
従来、トランプ大統領に対する否定的な意見がマスコミから報道からは見られていましたが
今回の選挙戦においては逆に、トランプ支持が大きく目を引きました。
投票日以降の混乱については、911との類似性を感じざるを得ません。
世の中の動きは、素直には、思った方向にはいかないということでしょう。
2 香港の終わりに見る、中国進出国の未来
アジアに視点を移すと、香港が大きな問題となっています。
ある新聞は「香港は死んだ」と一面に著し、黒く塗りつぶしました。
香港でのその後の動きを見ていても、「中国の本性が明らかになった」と言っても過言ではありません。
以前、中国の尖閣諸島他に対する侵攻に対してある言論人は、
「日本はもう、中国の省になったらいいのではないか」と言っていました。
これはいったい何を意味するのでしょうか。
その時には、中国がどういう国なのかがわからなかったのかもしれません。
情報が統制されて、事実が明らかにならないからです。
香港で選挙活動をしたら、国家反逆罪とされるのです。
よく知られていることとしては、テレビ画面がよく真っ黒になるということ。
日本が中国の一つの省になればよいと言った人や、
日本人の多くは、香港人のような扱いになることを、受け入れられるのでしょうか。
3 日本経済の未来
最近になって、「尖閣は中国の領土」と言い始めました。
領海への侵入を繰り返し始めました。
そのうえ、「武力行使も厭わない」と発言したと、日本のマスコミが報道しました。
中国の言い分を、マスコミは報道しますが、日本の意見を主張する姿を見ることはほとんどありません。
この状況に、危ないものを感じている日本人も多いのです。
このような流れからいくと、香港にあった経済は、他の国に移って行くことが想定されます。
香港の人口は745万人、GDPは38兆円で、愛知県のそれとほぼ同じです。
要は、愛知県と同じ規模の経済地盤が日本のどこかに現れるとしたらどうなるでしょうか。
もう一つの新たな県が生まれると考えたら、面白いかもしれません。
あるいは、県が増えるのではなく、各都道府県のGDPが10%上乗せされると考えたら、
何が起きるでしょうか。
簡単に言うと、10%の経済成長が実現することを意味するのです。
こういう成長は、一度にドーンと現れるのではなく、じわじわと発生してきますから、
その意味においても、日本経済に、じわじわと影響が及ぼされてくるのではないでしょうか。
4 日本の未来を見る
この経済発展を、企業の面から見ると、いったいどのようになるでしょうか。
企業の業績として現れるとしたら、どこにその影響が出るでしょうか。
一つの考え方として、香港の位置づけがどういうものだったのかを考えてみればわかります。
香港は、金融の拠点として、また中国との貿易の窓口として発展していました。
そうすると、日本にその恩恵が与えられるとするならば、
一つには金融業が考えられます。
もう一つは、中国発の輸出が日本にとって代わられるとするなら、
日本の製造業、特に最先端の技術を持つ業界が伸びてくると予想されます。
ここではあえて、個別企業の名前を挙げませんが、
その恩恵を被る企業とはどこになるかを考えることは、
日本の未来を見ることにもつながるといってもよいでしょう。
1 これから世界で何が起きるか
アメリカの大統領選が終わり、新たな時代が始まろうとしています。
時代は変わっていきますが、トランプ大統領が敷いた対中国に対する経済路線はそのまま続いていきます。
アメリカが定めた大きな流れに沿って、世界中の国が、中国に対する見方を変えていきます。
それは、経済的なつながりだけではなく、人道的な観点からも、対中包囲網が敷かれていくことを意味します。
この大きな変化の中にいることを自覚しておかないといけません。
2 日本はどうしていくべきか
日本はアメリカとの関係も大きいながら、中国との関係も深く入りすぎています。
日本のマスコミは、アメリカの大統領の批判はするものの、中国に対する批判は一切しないように感じます。
どちらかと言うと、中国の言い分をそのまま流しているように感じます。
これが意味することは、日本のかなりの部分に中国の勢力が、すでにかなり浸透しているということでしょう。
アメリカが世界中の国を巻き込んで、対中政策をしているとき、日本だけがそれに従わないわけにはいきません。
かといって、アメリカ側に立ったら、中国がただではおかないでしょう。
日本は、その中途半端な立場ゆえに、両方に良い顔をしようとして、苦労することになるのではないでしょうか。
こういう状況から脱却するために、日本はアメリカや中国以外の大三軸の国とつながるのがよいという人もいます。
兵法に、「遠交近攻」という考え方があります。
遠い国と同盟を結んで隣接した敵に対峙する政策です。
その実践が求められているということです。
3 大きな環境変化の中、私たちはどうあるべきか
こうした環境の中で、では私たちはどう生きるべきでしょうか。
環境が変化している中で、従来通りに生きていくわけにはいきません。
その中で、どう生きるのがよいでしょうか。
原則は、今いるところで、生き延びるために必要な精一杯の努力をしていくこと。
それでも、環境的に厳しいことがあるかもしれません。
たとえば、コロナ感染症予防の視点から、飲食店は20時以降の営業自粛を求められました。
酒の提供は19時までといいます。
そのうえ、不要不急に出歩かないように、テレワークを3割というようになってくると、
従来のように出勤して、帰りに飲食店に寄って行くということはなくなります。
苦境に陥った飲食店が、焼き肉業態に転換して生き残りを図ろうとしていました。
ところが、20時以降の飲食を止められたら、店そのものの存在価値が失われます。
「精一杯」どころの話ではなくなります。
軸足を、もう少し極端に変えない限り、生き残りは難しい時代に入っているのです。
4 流れていく時代の中で、自分を発揮する
いつも思い起こすのは、『おじいさんのランプ』の物語(新美南吉著)です。
ランプの明るさに感動して、ランプ売りで生計を営んでいた若者が、
電灯が灯されることにより、経営危機に陥ります。
最後には、自分のランプに石をぶつけ、
自らの手で在庫を破壊し、その事業に別れを告げます。
これは小説の中でのことではありますが、実際に似たようなことがたくさんあり、
とても辛かったと思います。
世の中の流れには、いかんともしがたいものがあって、
そういうものは、ランプ以外にもたくさんありました。
思い出すだけでも、電話交換手、エレベーターガール、レーザーディスク、
ビデオテープ、テレックス、ポケベル、PHS
それ以外にも、人知れずなくなっていったものは数知れず。
逆に、新しく生まれてきたものも数多くあります。
この流れの中で、時流に乗っていかなくてはなりません。
時流は、今の人に必要とされるものです。
それを提供できるようにしていくことです。
日本の中には、世界中から求められるものが、まだまだたくさんあります。
私たちの人生も、その必要なものの中に移して、
新しい流れの中で生きていくことが、
いま必要とされていることなのではないでしょうか。
1 長らく経済苦境の中にあった日本
今から30年前、1990年4月のドル円相場は1ドル159円でした。
2011年10月に76円をつけて、そこから反転。
現在は104円程度に落ち着いています。
2倍の上下変動の中、日本経済は30年間でどうなったのでしょうか。
新卒初任給は約20万円となってから、ほとんど変わることがありません。
日本国内に住んで、日常生活をしていると、経済的にはあまり変わらなく、
落ち着いたようにも思えます。
1杯のラーメンの価格、コンビニ弁当の価格、
100円ショップで買える物の価格は100円のままですし、
あまり変わっていないようにも見えます。
これが何を意味しているのか。
日本人にとってみたら、変わっていないという観点になるのかもしれません。
これを海外との観点で見直すと、違った面が見えてきます。
よく比較に出されるのが、マクドナルドのビッグマックの価格です。
世界中で販売されているビッグマックが、各国ではいくらなのかによって、
その国の物価を比較する指標とされています。
日本では現在、390円(税込)です。
一番高いのがスイスの6.5スイスフラン。
今1スイスフランは116円ですから、754円になります。
アメリカのビッグマックは5.71ドルですので、日本円で593円です。
このように、物価の観点からいくと、日本の物価は安いことになります。
逆に言うと、スイスフラン、アメリカドルは強いということです。
日本の価格と同じになるには、1スイスフランは60円。
1US$は68円ということになります。
ある意味で、円が安くなっているということです。
為替の話はまた別の機会にしましょう。
2 日本がこれから伸びていく理由
このようになった原因は、いったい何だったのでしょうか。
簡単に言うと、日本で造っていたモノづくりを、海外に移転してしまったことです。
30年前当時から、円高に向かう流れの中で、
日本国内で製造していたら競争力がないから、
海外でモノづくりしたほうよいというムードづくりが行われました。
その結果、日本の製造業がどんどん、海外に進出していったわけです。
その結果、何が起きたか。
日本のモノづくりにかかわる事業がなくなり、代わりに、
その受け皿となった中国が、著しい成長をしたということです。
はっきり言ってしまうと、これが日本が30年間にわたり、成長しなかった理由です。
この流れはアメリカ経済にも影響しており、トランプ政権は、この流れに異を唱えました。
その結果、中国に出ている製造業をアメリカに戻すことを掲げました。
その流れの中で、中国のハイテク、通信機メーカー等に対する規制が敷かれました。
その結果、何が起きるかというと、中国に依存しすぎた製造業が、
日本に戻ってくるということです。
それは、過去30年間にわたり日本の成長が止まり、
中国が著しい成長を遂げていた流れが変わり、
次は日本がその成長の流れの中に入っていくということを意味します。
3 日本のどの分野が伸びるのか
それでは、日本のどの分野がこれから伸びていくのでしょうか。
その答えは、アメリカの貿易管理規制(EAR)のエンティティリストにあります。
エンティティリストとは、国家安全保障や外交政策上の懸念があるとして
指定した企業を掲載したものです。
掲載された企業と取引する場合は、商務省の許可が必要で、申請は原則却下されます。
つまり、このリストに掲載された企業との取引が、
実質的に禁止されてしまうのです。
言葉を変えると、これらの企業が提供してきた製品・サービスは、
「それ以外の企業からの調達が必要になる」ということを意味します。
日本でも有名なのはファーウェイや、ドローンを作っているDJI、
監視カメラのハイクビジョンなどです。
中国企業では270社以上が掲載されていますから、
それらの企業と取引している会社は、アメリカとのビジネスができなくなります。
そうなると、自社の生命を脅かすことになりますから、
自ずからビジネス先の選定が始まっていくわけです。
4 通信、半導体、AI、航空、宇宙産業
具体的には、通信、半導体、AI、航空、宇宙産業など、
防衛や最先端の技術にかかわる分野がこれから復活してくるということです。
多くの方が知っているのは携帯電話の5Gでしょう。
5Gは第五世代の通信規格という意味です。
これから日本でも主流になってきます。
主として、この通信機器を製造・納入してきたのが、
海外メーカーだったわけですが、国策転換により、
富士通とNECが納入するという話になっています。
2020年6月、NTTはNECに644億円を出資して4.8%の株式を取得、
第三位の株主となりました。
このように、30年間にわたり空洞化してきたといってもよい
日本の産業が、これから復活してくるわけです。
まだ、一般の人たちは気づかないかもしれませんが、
その流れがいま、始まっているのです。
5 これから伸びる企業を見つける
私の知り合いに、株式投資で生計を営んでいる方がおられます。
その人が今から10数年ほど前のことですが、
「これから有望な企業は、どこかありますか」
と聞いてきたことがあります。
その時、私が紹介したのはAppleでした。
「ここが伸びますよ」と答えました。
今となってみれば、当たり前のように思われるかもしれませんが、
当時の株価は、現在の株価で調整すると$11くらいに相当します。
今は、当時から15倍になっているわけです。
これと同じように、これから日本のハイテク産業といわれる分野が
大きく伸びてくることになります。
流れはそちらにあるとみておいたほうがよいでしょう。
5年後、10年後のAppleを、日本企業の中から見つければよいのです。
1 ビジネスモデルを構想する
電機メーカーに勤めていた時のことです。
「他事業部の通信機器を海外販売できないか、検討してもらないか」と部長から相談を受けました。
なんでも、日本国内では市場確保ができていて、利益も出ているのだけれども、
海外でも販売できるなら、それに越したことはないということで、
検討するよう依頼があったのです。
必要なら、どんな情報でも出す。期限は2週間でお願いしたいとのことでした。
当時、私は海外向けの通信機器を販売している担当でしたが、
他事業部の機器についてはまったくの素人でした。
そんな自分に、2週間という限られた時間で、海外市場への進出の検討をしてほしいと依頼してくるのは、
それなりに理由があるだろうと思い、調べることにしました。
その時に考えたのは、こういうことでした。
①機器を販売する対象となる顧客は、複数拠点を持つ海外の大手企業になる。
②その価値は、拠点間を接続して、電話やデータ通信ができるようにすること。
③その顧客に販売するには、当社の海外現地法人を通して販売することになること。
④一度、販売・納入した後は、保守サービスを提供することになること。
⑤販売したあとは、海外現地法人を通して、収入を得ることになること。
⑥自分たちを支えてくれるのは、海外現地法人になること。
もちろん、日本側の開発部門の協力も必要です。
⑦顧客に対する提案活動は、現地法人を通して、実際に客先に行って提案することになること。
⑧必要なパートナーは、調査を依頼してきた開発部門になります。
⑨この対応に要する費用構造を解き明かすこと。
これらを報告書にまとめて、出すことにしたのです。
2 海外市場の現実を知ってもらう
報告書の最初に書いたのは、「海外市場とはどういうところなのか」です。
日本国内でビジネスをしている人は、海外の国で販売することは、
日本と同じ規模の市場が、国ごとにあるのではないかと考えがちです。
簡単に言うと、海外でビジネスができると、
日本でのビジネスの何倍にもなるのではないかと思ってしまうのです。
つまり、海外の市場規模がわからないのです。
まず、このあたりのことを知ってもらうために、海外の国の実情を伝えることにしました。
そのためにとった方法はこうです。
本屋に行ったところ、『週刊ダイヤモンド』誌がアジアの国の特集を載せていたので、
それを参考にして、国名、人口、GDPを表にしました。
これを見ると、海外の国の規模が日本の人口・GDPと比較してどれくらいかわかります。
たとえば、台湾は九州とほぼ同じ大きさなのですが、
人口は2300万人、GDPは61兆円です。
九州の人口は1400万人で、GDPは51兆円です。
ここから九州と台湾はほぼ同じくらいだということがわかります。
しかも、台北の人口は250万人ですから、福岡市に相当するわけです。
シンガポールは淡路島と同じ大きさで、現在の人口は560万人、GDPは36兆円です。
これは、兵庫県の人口とほぼ同じで、神奈川県のGDPが36兆円くらいです。
(ここで挙げた数字は2019年のもの)
このように見ていくと、海外の国というのは、
日本の県レベルに相当することがわかります。
逆に言うと、それだけ日本の人口、GDPが大きいということでもあります。
そういう点をまず紹介しました。
3 実際の海外の現地の声を聞く
海外で販売する場合、販売するリソースも、販売したあとの保守サービスも考えると、
自社の海外現地法人を通して行うことになります。
そこで、海外現地法人に直接問い合わせました。
縁があった仲間たちに、新しい通信機器の導入を検討しているが、
サポートしてもらえるかと打診しました。
聞いた先は、香港、台湾、タイ、フィリピン、マレーシア、
シンガポール、メキシコ、ブラジルにある海外現地法人です。
聞いた結果、みな協力的で、対応してくださるという返事でした。
もちろん、これまでのお付き合いがあったからでもあります。
ちなみに、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアといった市場は、
機器認定に時間がかかるため、今回の販売対象から外しました。
4 海外市場調査を行う
海外現地法人が協力してくれることがわかったので、
次は市場調査レポートを確認しました。
海外の調査機関が4年ごとに発表している調査レポートがあります。
前号からちょうど4年が経っていたので、
本社にある海外営業部門に調査レポートが届いていないか聞いてみました。
すると、ちょうど先日、届いたばかりだと言います。
伺えば見せてくれると言うので、海外の3つの地域の営業部門に電話をして、
見せて頂く約束を取り付けました。
ある部署では、「まだ封を開いていないんですよ」と言って、
目の前で開けてくれました。
5cmほどもある海外の通信事情を地域ごとに調べた英文調査レポートで、大変貴重なものです。
内容は、その通信機器の海外の市場動向、市場規模、
中心となっている機器ベンダーの名前、出荷台数、中心価格帯等です。
そのようにして、海外市場の最新情報を調べて、報告書に加えました。
5 自社機器の中身を知る
依頼元からは、「どんな情報でも提供する」と言われていたので、
機器を製造発注する際に利用する部品構成表というものがあるのですが、それを取り寄せました。
中を見てみると、特別な部品を使っているわけではないことがわかりました。
一番高いのは、外部からの購入品であるキャビネットと制御用に使っているパソコンだとわかりました。
ここから、開発費用は別として、機器そのものの原価はいくらなのかが想定できました。
そこから判断して、どのくらいの値付けで販売できそうかを想定しました。
6 海外販売仕様にする
実際に海外で販売するとなると、表示を英語に変えないといけません。
ある程度のマニュアルも必要なので、翻訳費用もかかります。
それらを最低限行うことを考慮に入れました。
そこでかかる費用を想定しました。
7 最終判断
この場合のターゲット顧客は誰かから始まり、
どんな価値を提供できるか、どういうチャネルで販売するか、
販売後の保守サービスをどうするか。
海外の国の状況から見える市場規模、競合他社状況、
自社製造価格、販売価格設定、販売の準備等をまとめて、提出しました。
ビジネスモデルを構想するときの流れでレポートを作成したということです。
日本国内でビジネスをしている人たちにとっては、
知らない情報だらけだったと思います。
しかも、実際に販売を開始するにあたって
コンタクトすることになる海外現地法人には、話もつけてありました。
海外市場レポートの分析結果もつけ、競合他社の出荷量、平均価格まで付けました。
海外の市場を知るには、よい機会だったと思います。
結論としては、海外販売はしませんでした。
提出後、レポートに対して、なんらかの反応があるのかなと思っていましたが、
残念ながら何の反応もありませんでした。
そして、このレポートの評価を聞いたのは、提出してから4年も経ってからのことでした。
そのことについては、また別の機会に紹介したいと思います。
1 最近の新人はよくわからない
「最近の新人は、やる気がないんじゃないか」
顧客先の従業員に、「何か困っていることがありますか」と聞いたところ、このように言われました。
どうやら、部下の新人が思うように動かず、苦戦しているようでした。
周りの同僚たちからも同情されるくらい、部下とのやりとりが大変だったようです。
「最近の新人は…」というのは、いつの時代も同じなのかなと思います。
私の時代もそうだったからです。
ただ、私の世代と、部下の世代、今の世代と、その時代、その時代によって、
新人も少しずつタイプが違うようです。
それでも共通しているのは、「最近の新人は…」で表される言葉です。
だから、「あまり気にする必要はないのではないか」とアドバイスはしたものの、
本人にとっては、とても気になるところでしょう。
2 部下からの反発
かくいう、私自身の若い頃を思い出してみると、苦労したこともありました。
部下が反発してきて、険悪な関係になったことがありました。
特別、言い争いをしたわけでもなく、自分のほうとしては思い浮かぶことはないのですが、
不注意な言葉を発したんだろうと思います。
何かがきっかけとなって、感情的なもつれになって、ずいぶんと苦労しました。
何年か経つと、何もなかったかのように解消はしましたが、問題を抱えているときは大変なものですね。
そうした経験も踏まえて、アドバイスすることがあるとすれば、
目の前の現実と向き合って、自分の言動を振り返ってみることです。
3 相手のミスを指摘するのではなく、自らの至らなさを謝る
先に挙げたのとは別の部下は、よくミスをしていました。
そういうミスについて注意をしても、なかなか直りませんでした。
その部下は、小さなことにはこだわらず、失敗してしまったら
「起きてしまったことは、しょうがないじゃないですか」と言う部下でした。
こちらから見ると、注意不足のように見えても、本人にとっては
まじめに仕事をしているつもりのため、なかなか聞き入れられないのです。
あるときも、不注意でミスをして、顧客に迷惑をかけてしまったことがあります。
その時は、彼に対して、注意するのをやめました。
代わりに、「残念だ。自分はそんなふうに教えてきたつもりじゃなかった。
君は本当はちゃんとできたんじゃないか。申し訳ない。」と伝えました。
要は、相手を責めるのではなく、「自分の教え方が悪かった」と、謝ったのです。
すると彼は、顔色を変えて、何も言いませんでした。
不思議なことですが、それから彼のミスはなくなりました。
4 相手に映っているのは自分の姿
この2つの事例で、私が感じたのは、相手が表している姿は、
「自分の心の投影」ではないかということです。
自分自身が何気なくやっていることが、相手に伝わり、
その相手から反発という形で表現される。
それは、自分の姿を映しだしている鏡だということです。
そう考えてみると、それまでに起きていたことは納得できます。
自分の態度が相手にどんな影響を与えているのか。
相手の姿を通して、自分の行動がどういうものかを教えてくれているのです。
そうなると、深く反省するしかないですね。
そのように、気づかされた時期がありました。
5 部下に表れた仕事姿勢
彼らは、私が所属していた会社の関連会社の社員でした。
勤務するビルは違っていましたが、ある種の請負のような形で、
同じプロジェクトに携わっていたのです。
ある時、彼らの上司2人が、請負価格の値上げ交渉にやってきました。
要点を簡潔に述べると、その際にこんな会話をしました。
「彼らは毎日、夜遅くまで働いて、土曜日も出社したりしています。
長時間働いているので、請負金額を値上げしてもらえませんか。」
そこで、私のほうからはこのように返しました。
「夜遅くまで働いて、休日出勤もして、長時間働いているのでしたら、
もっと効率を上げて働くように言ったらいかがですか。
もしかしたら、言っていないのではありませんか。」
「はい、言っていません」と言うので、こう言いました。
「長時間働くのがよくないのだったら、もっと効率を上げるように彼らに言ってください。
彼らならできると思いますよ。」
こういう話をしばらくしたあと、それを聞いた上司たちはこう言ったのです。
「今日の話を聞いていて、彼らがなぜこんなに仕事をしているのか、
わかったような気がします。
実は、うちの部署には、彼ら以外にもたくさんの従業員がいます。
ところが、彼らだけ、周りの人たちと違うのです。
毎日、夜遅くまで残業したり、休日出勤したりするのも彼らだけです。
しかも、自分から進んで残業したり、休出したりしている。
それだけじゃないんです。
電話がかかってきたら、音が鳴るやいなや、パッと電話に出る。
仕事ぶりも、ほかの人たちより、はるかに元気なのです。
職場には、ほかにもたくさん人はいます。
やっている仕事が違うならわからなくもないですが、
みんなやっている仕事は同じようなものです。
ところが、彼らだけが違うんです。
彼らだけ、周りの人たちと違うのはどうしてなんだろうねと、
我々はいつも話していたのです。
今日来て、話をしていて、その理由が何となくわかった気がします。」
上司たちはそのように言って、帰って行ったのです。
6 自らの行動や言動を振り返る
この話を聞いて、考えてしまいました。
自分が若いころは反発されていたこと。
ミスしたことについて、相手を責めるのではなく、自分の不十分さを反省したこと。
そうこうしているうちに、彼ら自身も、周りの人たちと比べてもわかるくらい、成長していたこと。
それを、このような形で、教えてくれたこと。
ここに至るまで、13年間が経っていました。
部下を持って、成長したのは自分自身だったのです。
その成果が部下に表れて、それを上司たちが教えてくれたということです。
だから、部下を持って、悩んでいる人がいるとしたら、私ができるアドバイスはこうです。
目の前で起きていることが、自分に原因があるとしたら、その理由は何だと思いますか。
その現実を変えたいと思うのであれば、どうするのがよいと思いますか。
相手を通して表れている目の前の現実に向き合い、
自らが思ったこと、語ったこと、行動したことを振り返ってみてください。
そして、どのようにするのがよいかがわかったら、やってみてください。
きっと、目の前の現実を変えることができますよ。
1 コンサルタントの位置づけ
近年は「コンサルタント」がいろいろなところで使われるようになり、
〇△コンサルタントがたくさん出現しました。
言葉の意味合いが広がってきたのかと思います。
それはそれでいいことだと思うのですが、
コンサルタントとは何かを簡単に言うと、
「問題解決屋さん」と言ってよいのではないでしょうか。
ソリューション営業という言葉もありますが、
顧客の抱える課題、問題に対して解決策を提示する。
そういう役割でしょう。
コンサルタントとして仕事をしている人たちの中で、
戦略コンサルタントという人たちは、会社の大きな方向付けをして、
企業あるいは事業を成功に導く、そういう仕事をしていると言ってよいかと思います。
私自身がコンサルをしようと思った理由は、顧客の抱える課題解決の仕事をしていたからです。
会社の中で一番難しい問題を抱えているのが社長だとすると、
「社長の抱える問題解決を支援しよう」
「これから伸びる、若い経営者の抱える問題解決を支援しよう」と思ったのが出発点でした。
2 「役に立つ提案をしてよ」と顧客に言われる
私が転職して外資系のコンサル会社に勤め始めた時、
社長の顧客だった会社の幹部との面談に同席させて頂きました。
社長が席を外した際に、その顧客が新人だった私にこう言いました。
「お宅は、当社に何をしてくれているのか。
コンサルだったら、もう少し役に立つ提案をしてくれてもいいじゃないか」
常々、感じている、率直な感想だったのでしょう。
社長にはぶつけることができないけれど、
初めて会った若者に知らしめたかったのかもしれません。
その後も、私は社長のコンサルの場に呼んで頂き、
その顧客企業の社長他役員陣との打ち合わせの場に参加させて頂きました。
その時、顧客企業の社長がこのように言ったのです。
「当社の従業員は全然勉強しない。お客さんとの会話も下手で、人づきあいが苦手だ。
こういう人たちを教育するしくみを考えてもらえませんか。」
そういうリクエストでした。
当社の社長は、私にそのコンサル提案を考えるように命じたのです。
3 顧客が「ぜひ、やりたい!」と言う提案を考える
期限までの2週間、考えに考えました。
私は、単なる教育プログラムを提案してもダメだなと思ったのです。
「勉強しない」という人たちに対して、「教育をしましょう」といっても、通用しないからです。
そこで、顧客が「ぜひ、やりたい!」と言う提案はどういうものになるかを、徹底的に考えました。
そこで、私が考えたのは、「従業員たちは、顧客と無理に話をする必要はない」ということです。
人は、苦手なことを強いられても、うまくできないからです。
逆に、自分の得意なことだったら、雄弁に話すことができるものです。
だったら、「そのような場面を用意すればいい」
これが、私のコンサル提案の骨格となりました。
4 得意領域を伸ばした新規事業提案
教育の対象となる従業員たちは、事務機器のサービス・エンジニアでした。
定期的に、顧客の事務所を訪問して、事務機器の保守点検を請け負っていました。
だったら、彼らの得意なことを生かせばいい。
彼らが得意な専門領域を生かして、
「顧客の抱えている課題を解決するお役に立てる仕事ができればいい」と考えたのです。
そこで提案したのは、彼らが訪問している企業の社内ネットワークを構築する提案ビジネスです。
当時はまだまだインターネットが普及しているとはいいがたく、
社内にLANを引いている会社も少なかったのです。
サービス・エンジニアたちは、顧客の社内にお邪魔しているわけですから、
顧客の社内ネットワーク事情もわかります。
そこで、小規模の社内ネットワークを構築する提案をするビジネスと
そのための教育プログラムをセットで用意することを提案したのです。
この提案に、顧客の社長は飛びつきました。
私の提案書を見たとたん、顔色がパッと明るくなりました。
私の提案は、サービス・エンジニアが事務機器の保守点検が終わった時に、
パンフレットを差し出して、社内ネットワークを構築することを紹介することです。
これくらいなら、サービス・エンジニアでも簡単にできます。
お客さんは興味はあるのですが、どういうものかがわからないので質問します。
それはいったいどういうものなのですか。
どういうメリットがあるのですか。
どんなふうになるのですか。
いくらかかるのですか。
自分から話をしなくても、サービス・エンジニアは自分たちの専門領域ですから、
簡単に答えることができます。
得意分野なので、話をすることに何の躊躇もないのです。
つまり、「新しい技術を学ぶという教育プログラム」と、
それを「販売するという新規事業」をミックスした提案をしたのです。
しかも、少なく見積もっても、初月から毎月約2億円ほどの売上と、
10%程度の営業利益が見込まれるという試算も提示しました。
顧客からは、「うちに来て、一緒にやってもらえませんか」とまで言われました。
6年くらい経ったある日、新聞の夕刊を見ていたら、その会社の事業紹介が出ていました。
私が提案したビジネスは好調に伸びて、
その会社の約半分を占めるほどの事業に伸びているということが書かれていました。
事業は大成功していたのです。
5 「社員の成長」と「事業の発展繁栄」の両方を実現する
コンサルタントとして、問題を解決すること。
これは当たり前です。
その解決策が、会社の業績を伸ばすこと。
これも当たり前です。
その施策が、従業員の成長につながること。
これが大事です。
つまり、「社員の成長」と「事業の発展繁栄」の両方に寄与する。
それが戦略コンサルタントとして期待される役割です。
1 売り込まない姿勢
誰もが営業で売上を上げたい、成功したいと思っています。
そうであるならば、そのための方法があるとすれば、それを身につけたほうがよいでしょう。
具体的に、一番良い方法は何かというと、「売り込まない」という姿勢を持つことです。
「営業をやっているのに、売り込まないとはどういうことだ」と思う方もおられると思います。
逆に、営業のプロになっている方からすれば、その通りだとうなずいてくださる方も多いでしょう。
では、なぜ売り込まないほうが、営業成績がよくなるのか。
それについて話してみます。
2 売り込まれると逃げたくなる
あなたは、売り込まれたいですか。
「押し売り」という言葉がありますが、これを買って下さい」といって、
近寄ってくる人が周りにいたら、あなたはどうされますか。
逃げたくなるのではないでしょうか。
そうなのです。人は売り込まれたくないのです。
それは、営業をしているあなた自身もそうでしょう。
だったら、営業では売り込まないほうがよいのではないでしょうか。
3 相手の話をよく聞く
では、どうやって売ればよいのかと思うでしょう。
それは、売り込まないのだけれども、相手の話をよく聞くということです。
まずは相手が何を求めているかをよく聞くことです。
人は不思議なもので、自分の話はしたい人が多いのですが、
人から話を聞かされるのは好まない方が多いのです。
そうであれば、営業をやっているあなた自身も、
自分のことを話すのではなく、相手の話をよく聞いてあげればよいのです。
まずは営業でよい成績を上げたいと思うなら、
意識革命として、「売り込まない」という姿勢を持つことをお勧めします。
4 見込み客を探す秘訣
「売り込まない」といっても、何もしなかったら、売上は上がりません。
だから、見込み客は探さないといけません。
世の中にはいろいろな営業スタイルがあるわけですが、
決まった取引先から注文を頂く御用営業のほか、
まったく見知らぬ人から注文を頂く営業など、いろいろあります。
その中でも難しいのは、それまで見知らぬ人から注文を頂く営業スタイルでしょう。
こういうスタイルの営業にたけている人は、自分を「印象付ける」といいます。
「違和感を残す」とも言います。
普通の人とは違う行動を取るということです。
たとえば、コーヒーショップに行くのに、コーヒーではなく、いつも紅茶を頼む。
とんかつ屋に行くのに、いつもとんかつではない揚げ物を頼む。
その行動を変えないわけです。
そうすると、他の人と違う行動を取っているため、相手の印象に残るといったわけです。
このように、他の人との違うことをして、相手に興味を抱かせ、
話しかけてもらうというやり方をしている人もいます。
別のやり方としては、接点を探すというのも効果的です。
私がよく聞いていたのは、「どちらの出身ですか」ということです。
このように、出身地が近いとか、同じ県出身だとか、
似たような業界出身だとか、お互いに共通する接点を探して、
そこから話を広げていくというのも一つの方法です。
5 接する態度
相手と会ったら、やらなくてはいけないのは売ることではありません。
そうではなく、相手の話をよく聞くことです。
相手が何に興味を持っているのか。どんなことをしてきたのか。
どんなことを考えているのか。悩みがあるのか、とか。
相手の話したいことをしてもらうことが大切です。
そのためには、上手に質問してあげないといけません。
たとえば、入社してうれしかったのはどういう時ですか。
入社して大変だったのはどういう時ですか。
本当はどうしたいと思っていますか。
こういう質問をしてあげると、相手は自分が思っていることを話してくれます。
この時のポイントは、相手が話したいことを聞いてあげること。
当たり前ですが、聞かれたくないことを質問しないことです。
6 話す人のほうが気分がよくなる
ある方を紹介され、話を伺う機会があったのですが、その方はほとんど自分のことを話し続けました。
2時間ほど経って、相手が言ったのは「今日はいい話ができてよかった。これからもよろしくお願いします。」でした。
私のほうは1割も話していません。
相手のほうが9割がた話していたにもかかわらずです。
相手の方からすると、自分が気持ちよく話ができるのは、相手がよい人に見えるのですね。
上手に質問を投げかけて、相手が抱えている問題に気づかせてあげればよいのです。
どうすればよいかがわからなければ、「助けてほしい」と言ってくれるでしょう。
だから、営業マンは商品を売るのが仕事というよりも、
営業マンが売るのは「自分」だという人もいるくらいです。
商品が役に立つのは間違いないですが、
「この営業マンは役に立つ」と思っていただくことが営業の仕事のポイントになります。
7 上を目指す
営業として商品を売るにしても、いろいろな売り方、売り先があります。
商品の特性がありますから、様々ですが、できれば、アッパー層への移行を目指すのがよいでしょう。
たとえば、電気機器やサービスなどでも、一般消費者が買うものだったり、
経営者が買うものだったりする場合もあります。
そういう場合、できるだけアッパー層へ近づければ単価も高くなります。
もちろん、アッパー層へと行くにあったっては、気を付けるべきこともあります。
それは、そういう層にふさわしい自分であることです。
いろいろな考え方がありますが、相手のレベルに合わせることです。
たとえば、身なりを整えることに重きを置いている人が相手なら、
自分もそれなりの身なりにしておくのがよいです。
身なりは関心がない技術的な方にとっては、
身なりよりも技術的な視点での考えを持っておくことです。
8 意識を高く持つ
どちらにも言えることですが、アッパー層の方というのは、それなりに考え方もアッパーです。
そうであれば、自分自身の考え方そのものもアッパー層に近いものにすることです。
たとえば、なんのために今の仕事をしているのか。
ゆくゆくはどのようにしたいのか。なぜそう思うのか。
そういった、考え方の背景、それを深く深く見つめ、
自分の考え方を整理しておきますと、そういった考え方、
姿勢というものが言葉や行動の端々に表れて、
相手の方に関心を持っていただくことにもつながります。
そうして、だんだんと思い描く層とのつながりができたりするようになるでしょう。
1 ホテルで誕生日会をする人
2021年の正月、品川駅前にあるホテルのロビーに行くと、
そこに、誕生日会を開催している案内がありました。
「ホテルで誕生日会を開催しているのは、いったいどういう人物だろうか」と関心を持ちました。
調べてみると、旅行代理店や生命保険会社を経て、
モチベーション・コーチとして活躍されている方だということがわかりました。
そうして、手に入れて読んでみたのが
『億万長者との契約書』-どんな目標も達成できる「理想の自分」の作り方
(小林一光著、フォレスト出版社刊)です。
2 理想の自分になるステップ
この本は、理想の自分自身になるための方法を書いたものです。
理想の自分になるためのステップは以下です。
1コミットメント、宣言する。
2意識を変えるために環境を変える。
3自分の名前を変えて、違う自分を演じる。
4なぜこの目標を達成しようと思ったのかを確認する。
5目標を達成することによって、何を得ることができるのかを確認する。
6毎朝、今日必ずこれをやるというやることリストを作成する。
7約束を守り続ける。
億万長者とは、未来の自分自身のことです。
その理想の自分になるために契約書を交わす。
そうすることによって、本当に自分自身が未来の自分になっていく。
そんな方法を紹介してくれています。
3 成功するに至ったきっかけ
ダメダメだった著者が、成功するに至ったきっかけは、
勇気を出して友人の真似をしたことでした。
そのとき著者は、「他の人を演じる」ことで、
「自分の殻を破ることができる」という術を手に入れたのですね。
その後著者は、自分の名前を「イッコウ」と呼び変えることで、違う自分を演じることにしました。
本来の名前を捨てて、理想の目標を設定することで、新しい自分がどんな目標も達成する。
意識を変えるスイッチを押し、違う自分が理想の自分を演じ切る。
その結果、目標が達成されていく。
著者はそれを実践し、億万長者になったのです。
4 できない理由を消し去る方法
誰しも、目標を達成したいと思います。
ところが、人はそれぞれに、その人なりの「できない」理由を持っているものです。
他の人から見ると、簡単なことのように見えて、
その簡単と思えることが、本人にとってはなかなかできない。
なんとかして、その殻を打ち破りたい。だけど、できない。
だから、苦しむわけです。
人は、できない理由とがっつりと組み合って、そして、動かない壁の前で苦悶する。
ところが、壁の横を見たら、隙間があって、横に回ってみれば、壁はなんなく突破できる。
この「視点を変える」ことができれば、目の前の壁を突破できる。
小林一光さんは、友人の真似をすることで、自分の殻を突破しました。
その後、自分の名前を変えることで、違う自分を演じることができることに気づいた。
そうやって、「できない」理由をなくしてしまった。
5 あなたにとっての違う自分を演じる
これは確かにそうですね。
自分にとらわれていると、動きがとれなくなります。
名前を変えてみるというのは、「冷静になって、自分を見つめてみる」というのと同じことです。
自分なりのこだわり、とらわれから抜け出すための方法の一つです。
このように、物事を別の視点から見ることができると、殻を突破することができます。
壁を突破するには、いろいろな方法があるのですが、
小林一光さんは、名前を変え、違う自分を演じることを実践した。
別に名前は変えなくてもよいのです。
本質は、こだわりをなくし、囚われている自分から自由になるということですから。
そして、身軽になって、本来やらなくてはならないことをやれば、
目標としているところに行くことができますよと、教えてくれているのです。
あなたにとって、「違う自分を演じる」とは、どういうことでしょうか。
そう考えるだけで、きっと「それならできる」ということに、気がつくのではないでしょうか。
今日からブログを始めます。
第一回目は、日下公人さんの書籍、
『日本発の世界常識革命を』(日下公人著、ワック刊)の紹介です。
日下公人さんは、発想が普通の人と違います。
常識をひっくり返すようなことを言う。
今回も『日本発の世界常識革命を』では、常識の転換が起きると言う。
ここ数百年にわたって続いてきた白人文化が立派に見える時代が終わると。
日下公人さんは、いろいろな事例を挙げて、
これまで常識だと思われていたことが、実は違うのではないかと教えてくれます。
例えば、こんなふうに問いかけてくれます。
世界全体のことを考えている国はどこか。
世界の宗教の中で一番平和で清らかなのはどれか。
世界の神話で女性を一番尊重する国はどこか。
満員電車で女性が「チカンだ」というと、全員が女性の味方になって男を捕まえる国はどこか。
よくよく考えて見れば、日本人にとっては当たり前のことが、世界では違うということ。
トランプ大統領が、アメリカ・ファーストと言って、社会を変えてきたように、
これから日本の考え方が世界に広がっていく。
日本の教えには、負けるが勝ちというものもあって、奥が深いとも。
今の日本人にはまだまだ実感が乏しいかもしれません。
だけれども、これから海外の方から見直され、やがて日本の常識が世界の常識になる。
日本発の、世界常識革命が起き、ニッポンファーストになると。
私たち自身も、日本の教えから再び、学び直す時が近づいているのかもしれません。