【趣旨】
ジャズの台頭、録音・放送メディアや映画音楽の発達、消費的音楽文化の興隆といった条件がそろって出てくる20世紀前半のアメリカは、音楽文化史上の重要な転換点であり、今日の音楽文化の基礎を作った、とても重要な存在です。しかしこの時代のアメリカ音楽は、必ずしも十分に調査・研究が行われているとは言えません。
本研究部門は、この時代の音楽文化を「現代のはじまり」として尊重し、その実態を把握するために文献・録音・映像等の資料や楽譜の調査を行うとともに、その成果を生かした演奏実践を行うことを目的とします。
昨年度は、ガーシュインの名曲《ラプソディー・イン・ブルー》の初演時の姿を再現する試みを核として研究を行い、「ガーシュインとその時代」および「ガーシュインを歌って踊ろう」の公開講座を実施するとともに、その集大成として3月11日にレクチャー&コンサート「《ラプソディー・イン・ブルー》の真実」を開催しました。
開設2年目となる2016年度は、関心領域をさらに拡げ、「シンフォニック・ジャズ」と呼ばれる音楽を中心にすえながら、ミュージカルや映画音楽など、20世紀アメリカ文化における音楽の諸相を研究していきます。
【主な活動内容】
・研究成果は、おもに論文や書籍などの形で公表します。
・研究成果の公表の一環として、公開講座や演奏会を行います。
・公開講座は、次の2つのシリーズで行います。
講座1 「20世紀アメリカの音楽と文化」
開催日時: 年間14回。原則として隔週金曜の6時~7時半。具体的な予定は別紙参照。
会場: 国立音楽大学6号館(AVセンター)113スタジオ。
参加資格: 音楽大学卒業または同程度の理解力を有するもの。なお、国立音楽大学大学院の学生には「プロジェクト」という科目の授業として扱われます(通年2単位)。
受講料: 国立音大の大学院生は無料、それ以外は年間4万円。
定員: 最大30名程度まで(先着順)。
講座2 「アメリカ音楽を歌って踊ろう」
開催日時: 年間14回。原則として隔週金曜の6時~7時半。具体的な予定は別紙参照。
会場: 国立音楽大学6号館(教育センター)201教室。
参加資格: 音楽大学の学生またはそれと同等の読譜力、歌唱力を有するもの。
必要に応じてオーディションをする場合があります。
大学院生の参加は可能ですが、この講座は大学院の授業としては扱いません。
この講座の受講生は「講座1」を無料で受講することができます。
受講料: 国立音楽大学の学生・大学院生は無料(実費のみ)、それ以外は年間4万円。
定員: 最大15名程度まで(希望者多数の場合初回に選抜を行います)。
演奏会「シンフォニックジャズのひろがり」
2017年1月22日(日) 会場14:30 開演15:00 入場無料
国立音楽大学講堂大ホール(西武拝島線・多摩モノレール「玉川上水」駅下車徒歩7分)
第1部 (ビッグバンド、ダンス付き)
B.ストレイホーン/A列車で行こう
D.エリントン/スイングしなけりゃ意味がない
L.プリマ/シング・シング・シング
J.ガーランド/イン・ザ・ムード
お話「シンフォニックジャズのひろがり」
第2部 (フル・オーケストラ)
D.エリントン/ブラック・ブラウン・アンド・ベージュ(ペレス版、日本初演)
J.A.カーペンター/クレイジー・キャット(改訂版、スライドとナレーション付き、日本初演)
L.バーンスタイン/「ウエスト・サイド・ストーリー」より
アイ・フィール・プリティ、マリア、トゥナイト、マンボ
指揮: 工藤俊幸 国立音楽大学講師
歌: 本島阿佐子 国立音楽大学准教授、久保田真澄 国立音楽大学准教授 ほか
ダンス:音楽研究所主催「アメリカ音楽を歌って踊ろう」受講生
【スタッフ】