-10が-9になる

子どもたちには、それぞれ得意なものもあれば、苦手なものもありますね。

皆さんにもあるでしょうから、当然のことでしょう。

その中で、社会で生きていく上で必要なものとそうでないものがあります。

その必要なものを身につけていくのが教育ではないかと私は思っています。

もちろん、生活面もあれば学習面もあります。

学習面でもさまざまな分野があり、体育でも「思考」する部分があります。

さて、その必要なものが、子どもにとってほとんどできていないとき、+にはならなくてもせめて-ではなくしたい、無くしてあげたいと思うのが親心、教師の想いです。

例えば、片付けができない子がいたとしましょう。

ほとんどできない・・・。

つまり、-10の状態です。

それが、-9に変化した。

このときにどう捉えるか…。

ここが、大きな分岐点だと考えています。

「まだまだ-9じゃない」と捉えるか。

はたまた、「+1になった」と捉えるか。

-9に目がいき、それを指摘されれば、誰だって「少しぐらい頑張ったって、認めてもらえない」「自分じゃ、+どころか±0までも行けっこない」と思いたくなってしまうのではないでしょうか。

怒りのエネルギーは恐ろしいほど強く、怒ることで大人は自分のストレスを解消してしまおうとするのかもしれませんが、これは上へ向いていくことの無い負のスパイラルです。

ところが「1上がったね」という言葉をもらえば「よし、もう1つ」と思うのが人ではないでしょうか。

それが-5ぐらいまで来たら、こんなに凄くなったという言葉で、もう+に向かうのは目に見えてくるでしょう。

子どもも自分が向上していく実感を味わえて嬉しく、大人である私たちも嬉しいことです。

こうなると正のスパイラルですね。

他のところでも書いたように一本の糸。

「他のもできるのではないか」と考えられるようになります。

大人の世界になると、特に仕事の面では、そうそう簡単に「1上がったな」なんていう評価はもらえないでしょう。

しかし、「少しずつでも上がっていけるんだ」という実感を持った子どもは、自分自身で自分に向かって「よし1上がってるぞ。つぎは、もう1つ上がれるはずだ」と声をかけられるはずです。

心が折れないということは、こうやって自分自身で自分自身を認め、励ましていく力でもあると思います。

怒られ続けて自信の無くなった子、怒られるのが怖くて仕方が無くてやって0ぐらいにはなった子などには、身につきにくい力です。

少しの成長を見逃さない。

これが子育てのコツの一つかもしれません。