怒ると叱る

「あんまり言うこと聞かないから叱っちゃった」ということをよく耳にします。

しかし、ブチッと切れて怒鳴り散らしたり、叩いたり…。

これは、「叱る」ではなく「怒る」だと思います。

辞書を引くと「怒る」は、「不満・不快なことがあって、がまんできない気持ちを表す。腹を立てる。いかる。よくない言動を強くとがめる。」とあり、「叱る」は「(目下の者に対して)相手のよくない言動をとがめて、強い態度で責める」と出てきます。

では、「怒る」と「叱る」はどう違うのでしょう。

「怒る」は、下に心が付いています(したごごろ)。そのために感情を表します。

つまり、感情をそのまま相手に向けることだと思います。

しかし「叱る」は心が付きませんから、感情ではありませんね。

この字の作り「匕」には「少しの薬で病を治す」という意味があります。

それに「くちへん」が付いているので、口や言葉に関係がある文字になります。

ということは、「少しの言葉で病を治す」。

つまり、「少しの言葉で、今やってしまっている言動を改めさせる」のが「叱る」ということになります。

これには、「ブチッ」という感覚はなく、冷静さがあります。

目の前で危ないことをやっていて即座に止めなくてはいけない場合は別として、それ以外の場合には思わず怒りたくなっても、まずは深呼吸。

「なぜ、やってしまったんだろう」「何か原因はないだろうか」と考えてみると少しずつよい言葉が浮かんできたりします。

それを繰り返しているうちにさらによい言葉を思い出せるようになるのだと思いますよ。