どのようにヒトの体をつくり機能させるかは、全て「遺伝子」という設計図のようなものによって決められています。そして遺伝子は「染色体」に収められていて、必要な場所で必要な時に働くようになっています。
染色体のある特定の部位を指すには、呼び方が決まっていて住所に似ています。ヒトには46本の染色体がありますが、それぞれの染色体を識別するための「番号」がつけられています。染色体は真ん中あたりにくびれがあり、くびれを境に短い方を短腕(p) 長い方を長腕(q)と呼びます。さらにその中をいくつかの領域に分け(何丁目のように)、さらにその領域の中をいくつかの領域に分け(番地のように)それぞれ番号をふってあります それを順に並べて呼ぶので、「11p13」は、「11番」染色体の短腕「p」の「1」「3」領域、ということになります。
WAGR症候群(11p13欠失症候群)では、「染色体11番」の「短碗(p)」の中の「13領域」という部分(11番染色体短腕13領域(11p13))の極狭い領域が欠けてしまい(微細欠失)、欠けた部分にあったはずの遺伝子(つまり体の設計図)が不足してしまっています。「11p13」領域には「PAX6」と「WT1」という遺伝子が隣り合って存在し(隣接遺伝子)、WAGR症候群によくみられる徴候をもつ患者は、これらを代表とするいくつかの遺伝子を欠失していることが多いされています。
そのため、欠失領域にあったはずの遺伝子がするべき機能が足りないことなどにより、様々な不都合がでてくることになります。
また、欠失している範囲、つまり失っている遺伝子の数は人によって様々であるため、生じる健康問題や重症度は人によって異なることになります。
11p13領域に隣り合う領域(11p11~11p12領域、11p14~11p15領域)にも欠失が及ぶこともあるため、症状はさらに多彩になります。未解明な遺伝子も多く、欠失領域と臨床症状との関連については未だ不明なものが多くあります。
by Madoka Hasegawa