2018年度
転置の記憶を潜在させる環境—インターネットと親密空間
開催概要
【共催】ディアスポラの記憶と想起の媒体に関する文化人類学的研究(JSPS科研費基盤(B)18H00783、代表:岩谷彩子)
【日時】2019年2月17日(日曜日) 14:00~18:00
【場所】東京大学駒場キャンパス 18号館4階 コラボレーションルーム1
本会では、人類学的な記憶論を、移民や移動民という転置(displacement)を経験した人びとの事例から新たに議論することを目指す。とくに、共同体の記憶や集合的記憶からはみだすような個別的で親密な記憶が他者や公的空間へと開かれていくさま、つまり、親密な記憶と共同性の繋がりについて、記憶の生成・流通の舞台となる環境に着目して考えていく。
【登壇者】
左地亮子(東洋大学)「アーカイヴ=イメージの力をインターネット上の記憶の場から考える――フランスにおけるジプシーのコメモラシオン運動を事例に」
稲葉あや香(東京大学)「ヴァーチャル化する記憶の場――日系人のオーラルヒストリープロジェクトのオンライン展開」
ゴロウィナ ・クセーニヤ(東京大学)「在日ロシア語圏移住者のオン(オフ)ラインの生活空間におけるマテリアリティと情動」
岩谷彩子(京都大学)「ヴァーチャルな居住空間――ルーマニアのロマ御殿における想像力と桎梏」
コメンテーター:箭内匡(東京大学)
医学教育を通して人類学教育の拡張可能性を考える
開催概要
10月14日(日)13:30- 場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム1
2017年3月に改訂された「医学教育モデル・コア・カリキュラム」には、日本の医学教育史上初めて、教育すべき項目として人類学が盛り込まれている。これを受けて、医学教育のなかに人類学を取り入れる動きが加速し、新しい協働の形が生まれてきている。これまでに、医学教育のなかに人類学を取り入れる際には、(1)必ずしも対象を大学生に限定するのではなく卒後教育にも取り組む必要性や、(2)半年かけての講義ではなくより短時間で人類学的な思考のエッセンスとでも呼ぶべきものを提供する必要性、(3)そもそも人類学的な思考や態度がどのような有用性を持つのかを繰り返し提示していく必要性があることが分かってきている。そこで、本研究会では、専門を超えて特徴的な人類学教育を行ってきた3名の医療人類学者を呼び、カンファレンス、フィールドワーク実習、ワークショップといった場において、どのように人類学的な思考を伝えうるのか、そこで見出される人類学的な思考のエッセンスとはどのようなものであるのかについて議論していく。
発表者
倉田誠(東京医科大学)
臨床医学との出会い:医学研究・教育における人類学の展望
山崎吾郎(大阪大学)
イノベーションと/の人類学:大学院プログラムにおけるプロジェクトの事例から
飯田淳子(川崎医療福祉大学)
臨床との関連づけに重きをおいた医療者向け人類学教育の試み:「症例検討会」と「臨床実習のエスノグラフィックな歩き方」
コメンテーター:浮ケ谷幸代(相模女子大学)、渡邊日日(東京大学)
Research Presentation and Workshop by Dada Docot
Anthropology of the Hometown, Postcolonial Hauntings, and Methodological Confusions
October 5, 2018, 3:00-4:30PM at Building 14, Room 407
Commentator: Dr. Ksenia Golovina, Assistant Professor, Center for Global Communication Strategies, University of Tokyo
The Method of Negative Production: A Non/Methods Workshop
October 5, 5:00-7:00PM at Building 14, Room 407
Time Schedule
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3:00~3:40 Ph.D. Thesis Report by Dr. Docot
3:40~3:50 Comment by Dr. Ksenia
3:50~4:30 Discussion
4:30~5:00 Break
5:00~7:00 Methods Workshop by Dr. Docot
7:00~9:00 After Conference Party
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フレデリック・ローグラン,アントワン・ローグラン
The Power of Playing and Killing:
Transfer of Knowledge among Indigenous Peoples in the Arctic and in the Philippines
【日時】 2018年7月26日(木)15時~19時(終了後に懇親会を予定)
【場所】東京大学駒場キャンパス14号館407教室
(地図:http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_13_j.html)
【スケジュール】
15:00~ 15:10 オープニング
15:10~ 15:50 フレデリック・ローグラン Frédéric Laugrand (ラヴァル大学 教授)
The transfer of knowledge. Experiences with Inuit of Canada and three Indigenous groups from the Philippines15: 50~ 17:00 フレデリック・ローグラン,アントワン・ローグラン Frédéric Laugrand and Antoine Laugrand
Pigs, smoke and blood for the ancestors: a death ritual among the Ibaloi of Tocmo (Philippines)
(民族誌映像上映含む)17: 10~ 17:50 アントワン・ローグラン Antoine Laugrand
Blaan horsefighting in Mindanao (Philippines): who is playing?17: 50~18:10 箭内匡(東京大学 教授) コメント
18: 10~19:00 ディスカッション
<つくること・あらわすこと——インゴルド『メイキング』再考>
【日時】 2018年4月15日(日曜日) 14:00~18:00(終了後に懇親会を開催予定)
【場所】東京大学駒場キャンパス14号館407教室
【研究会要旨】
文化人類学者のティム・インゴルドは『メイキング』(2017)において、ものをつくることを頭の中で思い浮かべたデザインを素材に押し付けることとしてではなく、素材や環境が展開させている力の関係に、つくり手が自らの力を添わせていくこととして捉える。この考え方は、実際にものづくりに携わる人々に話を聞き、様子を見る限り、その人々の感覚にかなり「合っている」ように思われる。
さて、つくることと不可分に結ばれているのが「あらわす(現す、表す、顕す、著す)こと」だ。つくることにおいて、ものが形をとって在るようになり、そして様々なあり方で人の前に姿を見せる。それは、つくられるものが、変わる、消える、見られない可能性と不可分だということでもある。他方で、つくる過程は、人々が、また研究者が、記録を残そうとするものであり、その記録はまたつくることの手引きともなる。
本企画においては、「同時代のアート」の現場に寄り添う4人の研究者の発表を通して、つくることとあらわすことが織りなす複雑な関係に焦点を当て、『メイキング』が持つ豊穣さと限界を検討する。
【プログラム】
文献紹介:物井愛子(東京大学大学院)
発表者:丹羽朋子(人間文化研究機構総合人間文化研究推進センター)
「「探求の技術」を手探りする人類学的「実験場」をつくるーー「映像のフィールドワーク・ラボ」の試みから」
発表者:藤田周(東京大学大学院)
「おいしさをつくること:日本のモダンガストロノミーレストランにおける調理過程から」
発表者:兼松芽永
「「生きている作品」になるときーー「大地の芸術祭」恒久設置作品にみるマウンドとモニュメント化」
発表者:登久希子 (国立民族学博物館)
「商品/贈与としてのアートを「つくること」から再考する」
コメンテーター:山越 英嗣(早稲田大学人間総合研究センター)