本Web記事は、分解スペシャリスト 柏尾 南壮氏の協力の下、UAS測量調査協議会での講演会や勉強会などから得られた知見を基に掲載していますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。
写真は全て柏尾南壮氏の提供です。
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基盤が10枚で構成されています。一般の電気製品では、基盤の数はできる限り少なくすることで、壊れやすい場所を少なくしています。コネクタの種類は2種類ありますが、振動等でコネクタが外れやすいタイプのものが多用されています。本体自体も、破壊に対しては弱いものが使われています。
ただ、このような構造になっているのは、機体外形の小型化(特にモーメントの大きなアーム部の小型化)を優先するとともに、最も大きく重いバッテリーを中央に備えて重心を真ん中にする必要もあるためと思われます。また、搭載機器の配置自由度に制約があり、やむなく各基板、部品の分散配置となっている可能性があります。これは、耐用時間が短いESC(Electric Speed Control)を別基板とし、故障時に、修理ではなく交換対応できるよう、意図的にしている部分もあると推察されます。センサ間の干渉を抑えるにも役立っているものと思われます。
基盤は熱に対して脆弱です。そのため、一般にはファンなどを付けて冷却します。
Phantom4では、一番大きな胴体内基板(下図)にヒートシンクをつけ、そこに機体下部搭載の軸流ファンの風を当てて冷却しているようにも思われますが、機体に穴を空けて風通しを良くするという空冷が基本のようです。外気を胴体内に導入するためと思われる工作もみられます。
明らかにファンが取り付けていると分かるのは、スタビライザを駆動させるモータに対してのみです。
図 胴体内基板(メイン基板)
GPSアンテナには、胴箔による大面積ノイズシールドが備えられてしっかりしているようですが、他には見当たりません。
センサ同士が離れて配置されているのが、その対策を意識したものかも知れません。
バッテリー内に流れる電流によって起される磁場は、制御基板やメイン基盤と上下に分離しており、コンパス(地磁気センサ)に干渉を及ぼすことはないと思われます。
具体的には分かりませんが、本体カバーを触ってもらえれば分かるとおり、耐性があるような作りにはなっていません。上位機種では対策を取っているようですので、Phantom4では軽さ、安さを優先しているのではないでしょうか。
ただ、カメラやジンバルや胴体下部は金属構造のため、他の箇所よりも耐久性を与えられていると考えられます。
一番大きな胴体内基板(下図左)のようにヒートシンクをつけ、そこに機体下部搭載の軸流ファンで風を当てる空冷で処理しています。
ESCと制御基板(下図と思われる)にもヒートシンクもファンも付いていません。ESCは発熱部品だが問題ないのか疑問です。
機体下部から電動ファンにより外気を導入し、メイン基板(下図)を冷却し、機体四隅のアーム下部の負圧部から排出することで、胴体内部全体にも気流をもたらし、空冷の効率を高めていると考える。ただし、上記構造は粉塵などを胴体内に招きいれる可能性もあるため防塵性能としては 欠点となる可能性があります。
機体下部から外気導入し、アーム下部から排出しているならば、上方に向けた穴はなく、雨の進入に対しては、入りにくくなるとは考えられます。
図 制御基盤
図 メイン基板
ボディのプラスチック材料は不明です。
メイン基板が搭載される胴体下部やジンバルやカメラの構造は、コストをかけて軽金属の精密鋳造としており、薄肉でありながら強度と剛性が確保されています。
ユー・アスでは、2017年9月17日に、神奈川県藤沢市の工事現場で起きた2017年2月18日の事故の原因分析が国土交通省の事故一覧に掲載されたことをお知らせしました。これについて、次のような投稿がありましたので、お知らせします。
工事現場で使用されていたと思われるPhantomには、自動帰還時に飛行高度を上昇できる設定があるものと思われます。その設定が適切に行われていれば、Phantomはクレーンより高い位置まで上昇した後、帰還を開始したはずであり、クレーンにぶつからなかったのではないか。もしこの通りとすると、事故は人為的な要因によって起きたこととなります。
ジャイロとコンパスは二重化されているため、ATTI(姿勢角制御)による飛行制御は信頼性が高いと考えられます。上位機に比して、コスト削減のために最小限の箇所の二重化に留めていると考えられます。
GNSS測位(位置制御)の不良時には、Visionシステムによる位置制御に切り替わるが、Visionシステムを構成する(可視光、赤外線、超音波)センサにはそれぞれ、作動距離の限度があるため、過信してはいけません。カタログ上の作動範囲は対地高度0~10mまでとなっています。
Visionシステムは、可視光センサは下方を向いており、画像から水平位置と水平速度を検知、超音波センサは下方を向いており地面との距離を検知、赤外線センサは前方を向いており前方障害物との距離を検知していると考えられます。
通信アンテナは4本の足に4本のダイバシティーアンテナとして分散配置していて、故障に対する耐性獲得と共に、電波の指向性の偏りを軽減していると考えられます。
防塵フィルタ等なしで外気を導入しているため、基本的には防水・防塵性は考慮されていないようです。内部基板も個別防水対処などはされていません。雨に濡らさないとしても、水蒸気の結露による誤作動や腐食など、長期の耐久性については保証不可能な構造です。
GNSSアンテナとGNSS基板には電磁ノイズに対してシールドなど対処がされていますが、他は不明です(https://www.rcgeeks.co.uk/blog/phantom-4-basic-teardown-whats-inside)。
カメラ(ジンバル含む)一式は、防振マウントされています。機体からのモータ振動を軽減していると考えられます。
下図の基板も防振マウントされています。IMUの精度向上の為と考えられます。
図 制御基盤
DJI社独自のROS ( Robot Operating System)が使用されています。
通常の飛行では処理の遅延が起きないようのCPUが使用されていると思いますが、急激な姿勢の変化が生じた場合などにはWindowsのような遅延が起きるかも知れません。
Phantom3の本体では2700個、プロポでは825個、Phantom4は同2899個と690個です。どちらも約3500個で、ノートPCの部品数とほぼ同じです。
分かりません。
ESCが最も寿命が短くて50時間と見積もりますと、1日に20分飛ばしたとすると、100日となります。
ちなみにスマートフォーンは40ヵ月、携帯電話は45ヵ月で設計されています。
以上