このページでは、豊橋公園への新アリーナ建設計画に関する質問にわかりやすく丁寧にお答えします。
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Answer
新アリーナの正式名称は「多目的屋内施設」と言います。5,000席規模で27年10月の開業を目指し、豊橋公園内の豊橋球場を移設してその跡地に建設する計画です。 現在の武道館と弓道場も新アリーナに複合化・集約化する計画となっています。
豊橋市は、プロスポーツやコンサートなどの興行に利用するだけではなく、MICE(展示会、博覧会、企業の研修、国際会議等)に活用したり、これまでの総合体育館のような市民利用や防災活動拠点としての役割も担わせるとしています。
事業者の事業提案内容は、こちらをご覧ください。
新アリーナ デザインイメージ
(出典:豊橋市の報道発表資料 令和6年5月30日)
Answer
体育館とアリーナはどちらもスポーツを行うための施設ですが、それぞれの役割は大きく異なります。
一般的に、体育館は主に市民自らがスポーツを行ったり、市の行事を開催するための施設であるのに対し、アリーナはプロスポーツやコンサートなどの興行を行う施設で、数千人から数万人を集めるイベントを開催するための集客施設です。
体育館とアリーナの比較
アリーナには、プロスポーツやコンサートなどのエンターテイメントの演出用に、大がかりな大型映像設備(大型ビジョン)、演出用照明、高音質音響システムなどが備えられ、テレビ中継用エリアもあります。
また、国賓などのVIPが飲食をしながら観戦できる贅沢なスイート(VIPルーム)やラウンジ、さらにVIP専用の入場口や動線も設けられます。
こうした設備は、市民利用には全く必要ありません。
このような興行用につくられるアリーナの設計・建設には、体育館の2~3倍の費用がかかります。また、大がかりな設備を備えたプロが使う施設ですから、その維持管理・運営にも体育館に比べてはるかに多くのお金がかかります。
Answer
市は市民に対して、以下の4つの目的のためにアリーナ整備が必要だと説明してきました。
豊橋市が説明してきたアリーナ整備の目的
しかし、上記(1)、(2)、(4)に対しては、アリーナではなく3分の1程度の費用でつくれる「第2総合体育館」をつくれば事足ります。わざわざ体育館の何倍も費用がかかるプロ仕様の贅沢なアリーナなど必要ありません。
一方、上記(3)(経済効果)について、市は、「興行を観に来た来場者の多くが中心市街地(まちなか)を経由することでまちなかがにぎわい、サービス業や商業施設での消費が増えて地域経済が活性化する」と説明しています。
しかし、せいぜい年に40日程度※の興行来場者がまちなかを経由することで東三河の地域経済が活性化するなどと都合よく決めつけてしまってよいのでしょうか。彼らの目的は興行を楽しむことであって、観光や買い物ではないのです。
※このうち半分以上はバスケットボールBリーグの地元チーム三遠ネオフェニックスの試合
浅井前市長と推進派議員らは新アリーナの計画だけは性急に進めてきましたが、具体的にどのようにしてまちなかに恒常的な賑わいをつくり出すのか、賑わいをどのように消費に結びつけるのか、消費を地域全体へどのように波及させるのか、経済効果はどれほどと見込まれるのかについて、これまでほとんど議論・検討をしてきませんでした。
市がこれまで説明してきた「経済効果を活用したまちづくり」は単なるお題目に過ぎず、ほとんどの市民にとってアリーナなど必要なく、つくるにしても市民が使う体育館で十分なのです。
Answer
はい。本当です。しかし、浅井前市長や推進派議員らはこれまで頑なに否定し続けてきました。
Q3.で述べたように、ほとんどの市民は混んでいて使いたいときに使えない総合体育館を補う新たな体育館が欲しいだけなのです。もちろん、体育館であっても防災活動拠点として活用できます。
現在の総合体育館は確かに老朽化していますが、市は改修して今後も使い続けていく方針です。実際、26年9月に開幕するアジア競技大会ではテコンドーと空手の会場として使われ、現在改修が行われています。
それにもかかわらず、浅井前市長と推進派議員らが新体育館ではなく新アリーナの建設を進めてきた理由のひとつは、三遠ネオフェニックス(フェニックス)のホームアリーナを準備するためです。フェニックスとは、男子プロバスケットボールBリーグのトップリーグB1に所属する地元チームであり、民間企業です。
フェニックスは、これまで総合体育館をホームアリーナとして使用してきました。ところが、Bリーグは26-27年シーズンからのリーグ改革を打ち出し、新たなトップリーグ「Bプレミア」への参入要件のひとつとして、Bリーグが定める審査基準を満たす5,000席以上のホームアリーナを持つことを各チームに求めました。
現在の総合体育館はこの基準を満たさないため、フェニックスが「Bプレミア」へ参入するためにはBリーグ基準を満たすホームアリーナを準備しなければなりません。準備できなければ、トップリーグから陥落することになります。そうなれば観客数の減少は避けられず、何よりもスポンサー収入が激減してしまいます。フェニックスにとって、新アリーナはまさに企業としての生命線なのです。
一方、フェニックスのブースター(ファン)を除く多くの市民にとっては、Q2.で紹介した贅沢なプロ仕様の新アリーナなど必要ありません。市民がスポーツをするのに、VIPルーム、大型ビジョン、演出用照明などは使いません。市民が使わない高額な設備に多額の税金を使う必要はありません。
令和6年8月の広報とよはしの特集記事には華やかなライブコンサートのイメージが載せられていましたが、実際には5,000人程度のアリーナに人気アーティストのコンサートを招致することなどほぼできません。
☞ Q11.私の推しの大物アーティストのライブも来ますか?
以上の理由から、浅井前市長と推進派議員らが表向きは「市民のため」として進めてきた新アリーナ計画の実態は、フェニックスのホームアリーナ建設計画なのです。
Answer
浅井前市長をはじめ自民、公明、まちフォーラムなどの計画推進派議員らは、新アリーナをつくれば地域経済が活性化すると主張し続けてきましたが、その根拠をいまだに市民にきちんと説明していません。
市が作成した基本計画に基づいた事業者の提案概要には以下のように書かれています。
「大型イベント開催時に、公共交通機関または徒歩での来場者に割引クーポン等を配布して、まちなかでの飲食や交流を促し、まちなかの賑わいや回遊性を生み出す持続可能な仕掛けづくりを行います。」
「アリーナや公園を起点に、まちなか商店街等を巻き込んだウォークラリー等のイベントの実施を検討します。」
また、過去には豊橋商工会議所青年部が主催したCIVIC PRIDE SYMPOSIUMにおいて、駅から豊橋公園までの経路を歩行者天国にすると発言した地元大学の教授もいました。
推進派議員らは、23年4月にオープンしたイオンモール豊川や25年秋に岡崎市本宿にオープン予定の三井アウトレットパークに流れていく市民を、割引クーポンやウォークラリー、歩行者天国で豊橋市のまちなか商店街に呼び戻せると本気で信じているのでしょうか。
彼らが、地域経済の活性化やまちづくりについて、日頃から真剣に向き合ってこなかったことは明白です。
地域経済を活性化させるためには、
・興行が開催されない日も含めてまちなかに恒常的な賑わいや活気をつくり出すための仕組み
・賑わいを消費に結びつけるための仕組み
・まちなかの賑わいや消費拡大の恩恵を地域全体に浸透させていくための仕組み
の3つが必要です。
彼らは市民にこそこそと進めるのではなく、市民を巻き込みながら時間をかけてこれらの議論を深め、まちづくりの機運を醸成するべきでした。
現在の新アリーナ計画は一旦白紙に戻し、もう一度最初から出直すべきでしょう。
Answer
Q4.で説明したように、新アリーナ建設の表向きの目的は「市民のため」ですが、実態は三遠ネオフェニックス(フェニックス)のために、Bリーグが定めた検査要項を満たす新たなホームアリーナを準備するためです。
それならば、その巨額の設計・建設費は当然フェニックス、あるいはフェニックスの親会社が負担すべきですし、建設場所も市民のための公園ではなく空いた土地を自分たちで準備すべきです。
市民も利用するということならば、せめて利用割合に応じて費用を分担すべきです。例えば、メインアリーナの整備費はフェニックスが負担し、集約化される武道場や弓道場、トレーニングルームなどの市民利用施設の整備費を市が負担するなどです。
なぜ全額を私たち市民が納めた税金で負担しなければならないのでしょうか。市民誰もが感じる当然の疑問です。
この3年間、新アリーナ問題を追いかけてきましたが、浅井前市長や推進派議員から納得する答えを聞くことはありませんでした。 彼らは裏付けや確固たる見通しもなく、「まちの賑わいづくり」、「地域経済の活性化」という大義名分を振りかざして「市民のため」と繰り返すばかりです。税金を使って新アリーナをつくること自体を目的化してしまっているとしか思えません。
それでは、全国の他のアリーナはどうなのでしょうか。以下は、BリーグのBプレミア審査基準を満たすアリーナの一覧です。整備中、計画中のものも含まれます。
BリーグBプレミア審査基準を満たす
アリーナ一覧(調査:25年3月)
アリーナの新設(建て替え)には巨額の費用がかかるため、たとえ県や政令指定都市(人口50万人以上)の財政規模であっても容易に建てられるものではありません。
このため、およそ3分の1のアリーナは既存の公設体育館の改修で対応し、Bリーグチームの親会社や資本提携企業の出資による民設も3分の1ほどあります。
民設であれば自治体の財政負担はありませんし、既存の公設体育館の改修だとしても新設より軽い負担で済みます。
そして、改修する大半の体育館・アリーナでは、その改修費用の一部または全部をBリーグチームや親会社が、企業版ふるさと納税を活用した寄付などによって負担しています。
公設改修アリーナの改修内容・費用負担の一覧表(調査:25年3月)
一方、公設で新設する自治体は、豊橋市と太田市(群馬県)を除き、その財政規模が豊橋市よりはるかに大きい府県または政令指定都市です。また、太田市のアリーナではBリーグチームが企業版ふるさと納税を活用した寄付で建設費用の約半分を負担しています。
Bプレミア用公設新設アリーナ整備費の自治体予算に対する割合
ところが、豊橋市は2016年に当時の佐原市長のもとで新アリーナ構想が持ち上がった当初から、総合体育館の改修や民設を検討することもフェニックスに設計建設費の応分の負担を求めることもせず、巨額の費用をすべて市が負う身の丈に合わない無謀な計画を強引に進めてきました。
豊橋市は決して財政に余裕がある自治体ではありません。
Answer
最初の30年間で少なくとも354億円(推定)かかる事業です。国から交付されると言われている補助金69億円(確定しているものではありません)を差し引いた285億円は市の税金です。
令和39年9月30日までの総事業費(推定)
【内訳】
24年9月に事業者と契約した「多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業」の契約金額は230億円(※1)です。この中には、新アリーナ(メインアリーナ、サブアリーナ、武道場、弓道場)と豊橋公園東側エリア(テニスコート、相撲場、駐車場、こども広場など)の整備費及びこれらの施設の30年間の維持管理・運営費が含まれます。
ただし、事業者の提案内容(※2)によると、230億円すべてが整備費(設計・建設費)に充てられ、一方で新アリーナ及び豊橋公園東側エリアの30年間の維持管理・運営費は、運営事業者自らが新アリーナの貸館事業などで稼ぎ出した利益によってまかなうとしています。
また、建設場所を確保するため、豊橋公園内の豊橋球場を豊橋総合スポーツ公園B地区へ移設する必要があり、この費用が約42億円(※3)かかります。
当初、豊橋球場は現在の場所に残し、現在の武道場からテニスコートのあたりに新アリーナを建てる計画でした。
しかし、この建設予定地が朝倉川の「家屋倒壊等氾濫想定区域」に含まれていることが発覚したことから、新アリーナの建設場所の変更を余儀なくされ、豊橋球場を移設してその跡地に新アリーナを建てる計画に変更されました。
つまり、豊橋球場自体には移設する理由は無く、新アリーナ事業と豊橋球場移設は一体的な事業です。このため、移設費42億円も新アリーナ整備に係るコストとみなせます。
なお、事業契約締結後の設計・建設期間内に国内の賃金水準や物価水準が上昇した場合には、入札公告がなされた23年10月を基準とした上昇分を市が追加で支払う必要があります。(※4)
私の試算では、約15億円となります。
さらに、建設から15~20年経過した後には、劣化した建物や設備を完成時の水準に回復させるための大規模修繕を実施することが予定されており、その費用は市が負担することとされています。
私の試算では、約59億円かかります。
以上より、豊橋公園への新アリーナ整備とその関連事業には約354億円(推定)かかります。詳細は、ホーム(経緯と問題点の整理)の「5-4.膨れ上がる事業費」をご覧ください。
なお、以上の金額は、あくまでも開業から最初の30年間だけの費用です。新アリーナの目標耐用年数は80年です。(※5)
つまり、80年間使うことを想定した施設です。30年後以降も大規模修繕費や維持管理・運営費はかかり続けます。
仮に30年後からの30年間も最初の30年間と同じコンセッション方式で運営したと仮定し、新アリーナを含めた豊橋公園内のスポーツ施設及び移設した野球場にかかる総費用を試算したところ、80年間で総額およそ550億円となりました。
2050年には人口が30万人まで減少すると見込まれる豊橋市にとって、身の丈に合わない事業であることは明らかです。
※2 令和6年8月1日 総務委員会資料 多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業提案概要について(報告)
※3 令和6年7月26日 豊橋総合スポーツ公園B地区野球場整備基本計画
Answer
はい。新アリーナの設計建設費は当初の3倍に膨れ上がりました。
佐原市政において豊橋公園に新アリーナを建設する構想が持ち上がって以降、市は外部の調査・コンサルティング会社に繰り返し調査や計画の策定を業務委託し、その時点で想定される設計建設費の試算結果を公表してきました。
下のグラフは、新アリーナ事業の設計建設費の推移を示しています。維持管理・運営費は含まれていません。
新アリーナの設計建設費の推移
なお、当初は新アリーナだけを建設する方針でしたが、Q7.でも述べたように22年11月に当初の建設予定地が朝倉川の「家屋倒壊等氾濫想定区域」に含まれていることが発覚し、市は既存施設の再配置を含む豊橋公園東側エリア全体の大規模整備へと方針を転換しました。
このため、23年8月の基本計画以降の設計建設費には、新アリーナ以外の公園施設整備費(基本計画では約34億円)も含まれています。ただし、上のグラフでは野球場の移設費用42億円は除外してあります。
新アリーナの規模は当初から変わっていないのに23年8月の基本計画で示された想定額が突然184億円と倍増している理由は、この公園施設整備費が含まれていることに加え、建設資材価格や人件費の高騰によるものです。これは全国各地で進むアリーナ建設計画に共通する深刻な問題です。
24年9月の事業者との契約金額が基本計画の想定額より更に46億円も高い230億円となった理由については、市から事業者提案の詳しい内容が開示されないため不明ですが、延べ床面積1㎡あたりの工事費に換算すると88.5万円/㎡※となり、その時点の相場から考えて明らかに高過ぎます。
Answer
新アリーナに税金を使うことで、当然、他の公共事業や市民の暮らしを支える市民サービスが削られることがあり得ます。
Q6.で述べたように、現時点では新アリーナの経済効果で税収がどの程度増えるのか全く見通せません。
豊橋市の一般会計予算額は約1,500億円(令和7年度)もあるため、新アリーナ事業に費やす費用の影響は限定的と発言した推進派議員がいましたが、とんでもない話です。
アリーナを建設するだけで地域経済が活性化して税収が増えるのであれば、どこの自治体も多少無理してでもアリーナを新設するはずですが、Q5.で述べたように実態はそのようにはなっていません。
Answer
はい。利用できます。但し、メインアリーナについては事業者の予約が優先し、市民利用の予約には制約があります。
新アリーナについてはこれまでの市の施設とは異なり、30年間の施設運営権を事業者に渡してしまいます(コンセッション方式)。 事業者は新アリーナの利用料収入(貸館収入)を得たり、新アリーナを自らの創意工夫でさまざまに活用したりするなどして、営利を目的に運営します。
このため、具体的な利用ルールや利用料金は、運営権を握る事業者が主導的に提案し、それについて市と事業者が協議して決めていくことになります。市が勝手に決めることはできません。
新アリーナにはメインアリーナとサブアリーナがあります。サブアリーナは、原則通年の一般利用が想定されますが、事業者は興行等のために優先的に貸し出すことができます。
メインアリーナも市民が利用することはできますが、市は入札公告時に以下の図に示す予約の基本的な考え方を事業者に提示しています。
メインアリーナについては、運営権を持つ事業者が興行などに利用する日を優先して押さえます。この中には、フェニックスが次期シーズンのBリーグ対戦カードの日程調整用に確保しなければならない89日(以上)も含まれます。
その後、市は利用する年度の前年度11月頃になってから、事業者と協議して空いている日から60日(土日・祝日を24日以上含む)を選ばせてもらいます。※
市は、この60日の中から、市が主催する行事(例えば、市内スポーツ大会)を「優先予約」として受け付け、その後に「優先予約」以外の市民利用の予約を受け付けます。
【参考資料】:多目的屋内施設 要求水準書 別紙28「一般利用日等の取扱い」
市が巨額の設計・建設費を負担して建てるにもかかわらず、最優先で予約できるのは事業者と三遠ネオフェニックスで、市がメインアリーナを使えるのは年間60日※です。
一方、フェニックスが支払うのはアリーナの規定の利用料だけです。設計・建設費は1円も払いません。
※但し、市と事業者との協議でさらに増える場合もあります。
Answer
残念ですが、新アリーナに大物アーティストのライブコンサートを招致できる可能性は限りなく低いでしょう。
25年7月に愛知国際アリーナ(IGアリーナ)が開業すると、愛知県内で1万人規模のライブコンサートを開催できる会場が4施設に増えます。
さらに、名古屋市港区の「みなとアクルス」に、27年10月の開業を目指して1万人規模を収容できる新しいアリーナが建設されるとの報道がありました。
こうした中で、5,000人しか収容できない新アリーナはあまりにも中途半端で、エンタメを企画・運営するプロモーターにとっては魅力を感じません。
市の市場調査報告書でも、スポーツ施設運営事業者やイベントプロモーターにヒアリングした意見の中に、コンサートツアーは厳しいとの意見がありました。
更に、内閣府とスポーツ庁が策定した「スタジアム・アリーナに係るコンセッション事業活用ガイドライン 令和4年12月(令和5年12月改訂版)」には、「Bリーグを想定した5,000席程度のアリーナは、エンタメの開催にマッチしづらく、イベント開催時の収益確保が困難」と記載されています。
Answer
残念ながら、豊橋公園まで直接車で行くことはできません。
新アリーナが建設される豊橋公園には、これまでとほぼ同じ規模の400台分の駐車場しか整備されず、5,000席のアリーナに対しては全く足りません。このため、市は基本計画の中で「基本的には興行・大規模イベント利用者向けの駐車場は設けない方向で進めます。」との方針を示しています。
多くの興行来場者は公共交通機関で豊橋駅まで来るか、車を市街地(まちなか)の駐車場に停め、その後は市電を利用することになります。
しかし、市電の輸送力は限られており、興行開始前や終了後に集中する全ての来場者を輸送することなど到底できません。新アリーナとは関係なく普段から市電を利用している人も、長時間並ばないと市電に乗れない事態となります。
また、興行開始の数時間前からまちなかの駐車場に多くの車が押し寄せ、中心市街地で大渋滞が発生します。
これに対し、市や事業者はシャトルバスの運行も検討していくとしていますが、国道1号線から豊橋公園入口にかけては送迎の車が集中して大渋滞が発生することが予想され、円滑な運行は難しいものと思われます。
結局、興行来場者の多くが豊橋駅やまちなかの駐車場から豊橋公園まで徒歩を余儀なくされ、新アリーナとは無関係の多くの市民も巻き添えになって不便を強いられることになります。
Answer
【新アリーナ計画の始まり】
2016年、国はスタジアムとアリーナを収益を生み出す集客施設と位置付け、地域に経済効果をもたらすことを狙ったスタジアム・アリーナ改革を打ち出しました。豊橋市もその先陣を切って、当時の佐原光一市長の下で豊橋公園内に新アリーナをつくる計画が持ち上がりました。
17年3月、佐原市長は安倍首相らが出席して首相官邸で開かれた未来投資会議に出席し、豊橋市の新アリーナ構想をプレゼンし、国に支援をお願いしました。
【浅井市政の始まり】
その後、20年11月の豊橋市長選挙で浅井由崇氏が佐原氏を破って新しい市長に就任しました。市長選の争点の一つが新アリーナ建設の是非でした。
新アリーナ計画に積極的な佐原氏に対し、選挙直前に浅井氏は、「新アリーナ計画を見直し、多くの市民の総意を得た形で施設を考えていくべき。場所は豊橋公園以外で」と語りました。
【新アリーナ計画の再浮上】
ところが、それから1年半後の22年5月30日、浅井市長は自らの選挙公約を破り、「新アリーナの建設候補地として豊橋公園を選定し、施設整備に向けた業務を進めていく」と発表しました。
市議会会派の自民党、公明党、まちフォーラムは新アリーナ推進、共産党と一人会派の一部市議は新アリーナ反対の立場をとりました。
【新アリーナ建設予定地の選定における市の失態】
その後も、市は、市民への丁寧な説明もせず、多くの市民が気づかぬうちにコソコソと計画を進めていきました。
ところが、22年11月になって、豊橋公園内の新アリーナ建設予定地(現在の武道場とテニスコートのあたり)が、豪雨時の洪水で建物が流される恐れのある「家屋倒壊等氾濫想定区域」に含まれていることが発覚し、建設地の変更を余儀なくされました。
市はそれまでの新アリーナ単体の整備から豊橋公園内既存施設の再配置を含む豊橋公園東側エリア全体の大規模整備へと方針を転換しました。
【建設地の変更と野球場移設】
翌23年5月に、浅井市長は豊橋公園内の豊橋球場を豊橋総合スポーツ公園(B地区)へ移設し、その跡地に新アリーナを建設すると発表しました。野球場の移設先は県の津波災害警戒区域に指定されており、津波発生時に最大2.3メートルの浸水が予想されますが、浅井市長は、避難の時間的余裕があるため問題ないと説明しました。
【野球場移設先選定における市の度重なる失態】
ところが、浅井豊橋市長の記者会見から1カ月も経たないうちに、今度は野球場の移設先が、津波の「特定避難困難地域」に含まれている事実が判明しました。「特定避難困難地域」とは、津波到達時刻までに津波が来ない安全な地域への避難(水平避難)も、津波避難ビルへの垂直避難も困難な地域のことです。豊橋市自らが指定していました。
これを受けて、浅井豊橋市長は記者会見で、豊橋総合スポーツ公園内にある既設の市総合体育館とアクアリーナ豊橋を津波避難ビルとして活用する方針を示しました。併せて、球場移設先に液状化対策と3m以上の盛り土を行い、野球場の観客席を避難場所として活用する考えも明らかにしました。当然、整備費用は膨らみます。
【住民投票をめざす市民グループの活動】
市民の意見を聞こうとしない市の性急な進め方に危機感を持った市民らは、豊橋公園への新アリーナ建設の賛否について市民自らが意思表示する機会が必要だとして、「豊橋公園への多目的屋内施設(新アリーナ)建設の賛否を問う住民投票条例」の制定を目指して署名を集め、浅井豊橋市長宛に条例制定を直接請求しました。
直接請求は、23年2月と24年1月の二度にわたって行われました。17,000人を超える署名が集まりましたが、いずれも建設推進派の市議会会派(自民党、公明党、まちフォーラム)の反対多数で否決されました。これら会派の議員らは、市民が新アリーナ建設について賛否の意思を示す機会さえも奪ってしまいました。
【事業者の決定、特定事業契約の締結】
24年5月、市は入札、審査を経て、新アリーナ等整備・運営事業の落札候補者を決定しました。応札事業者は1社のみで、落札価格は市の想定価格と同じ230億7千万円でした。
その後、市議会での議決を経て、9月27日に事業者との間で新アリーナ等整備・運営事業の事業契約が締結されました。
議決で契約締結に反対したのは、日本共産党豊橋市議団3名と会派「新しい豊橋」4名の計7名でした。
わずか1か月半後には豊橋市長選挙が迫っており、新アリーナ計画に反対する長坂尚登市議が既に市長選への立候補を表明していたことから、一般市民から「事業者との事業契約の締結を市長選前には行わないことを求める請願」が議会に出されましたが、建設推進派議員の反対で「不採択」となりました。
【長坂尚登市長の誕生と契約解除の申し入れ】
24年11月3日、豊橋市長選挙が告示され、事実上、現職浅井由崇氏、近藤喜典氏(元市議 自民党推薦)、長坂尚登氏(元市議 無所属)の3人の争いとなりました。
最大の争点は新アリーナ計画でした。浅井氏と近藤氏は新アリーナ計画の推進を訴え、長坂氏は計画の中止と締結済みの契約の解除を訴えました。
11月10日、投開票の結果、長坂尚登氏が初当選し、17日に豊橋市長に就任しました。
初登庁日となった翌18日、長坂市長は公約どおり、新アリーナ等整備・運営事業契約の解除手続きを指示しました。21日には事業者に対して契約解除の申し入れを行い、契約解除に向けた協議を開始する旨の通知を行いました。(契約解除通知ではありません)
【新アリーナ計画の継続を求める動き】
こうした動きを、建設推進派の市議会会派(自民党、公明党、まちフォーラム)をはじめ、大村愛知県知事、神野吾郎豊橋商工会議所会頭、自民党愛知県議会議員らが一斉に批判し、近隣市長からも契約継続を求める声が上がりました。
また、市民グループ「新アリーナを求める会」が計画継続を求めて市内外から約13万4千人分の署名を集め、これらの署名とともに計画継続を求める請願書を市議会に提出し採択されました(法的拘束力はありません)。
【市長の契約解除を阻止する動き】
12月市議会定例会において、計画を推進したい自民党は突然、「豊橋市議会の議決すべき事件を定める条例」の改正案を提出しました。
これは、市長が契約を解除するためには議会の議決を経なければならないと定めるもので、長坂市長の独断による新アリーナ事業の契約解除を阻止する狙いがあります。
計画推進派会派は、地方自治法に違反する疑いが極めて濃厚な条例改正案を、提出からわずか数時間で強引に採決、可決してしまいました。
長坂市長は議会に対して再議(審議のやり直し)を求めましたが、25年1月、再び自民党などの賛成多数で可決されました。
そこで、市長は愛知県知事に対して議決取り消し裁定を求め審査を申し立てましたが、知事が本件申し立てを棄却したため、市長は市議会に対して条例改正案の議決の取り消しを求める訴えを名古屋地方裁判所に起こしました。
今後、市長と市議会が法廷で争うこととなります。
【長坂市長と議会との攻防】
25年3月の市議会定例会で、新アリーナ推進派議員は長坂市長に対する不信任決議案の提出も視野に、長坂市長の選挙ビラに難癖をつけて市議会で厳しく追及しました。
新アリーナ事業を推進したい自民、公明、まちフォーラム、とよはしみんなの議会4会派は、長坂市長への問責決議案を提出、可決したものの、結局長坂市長を追い込み切れませんでした。
【事業継続の賛否を問う住民投票条例の成立】
5月15日に開催された豊橋市議会臨時会に、公明党、自民党、共産党などが共同で新アリーナ計画継続の賛否を問う住民投票条例案を提出し、賛成多数で可決されました。
これまで、自民、公明、まちフォーラム、とよはしみんなの議会は一貫して住民投票を拒否し続けてきましたが、市長と市議会との泥沼の争いに辟易した市民から住民投票での決着を望む声が日増しに大きくなり、遂に住民投票を受け入れざるを得なくなりました。
Answer
浅井前市長の4年間、市は市民に対する説明を避け、コソコソと性急に計画を進めてきましたから、多くの市民が知らないのは当然です。
毎月各家庭に配られる「広報とよはし」の誌上で新アリーナが紹介されたのは、既に実施方針、基本計画などが全て決まり、事業者の入札公告がなされた後の24年1月になってからでした。
住民に対する説明会は、22年10月1日に八町小学校体育館において、八町校区以外の市民を締め出して開催された2時間足らずの説明会1回限りでした。
23年6月に市民からの意見(パブリックコメント)の募集が行われた際には、100人以上の市民から、「市民への説明が不十分」、「住民説明会を開催して欲しい」との意見が寄せられましたが、市はこうした意見を全て無視しました。
30年間で総額350億円の事業です。これだけ大きな事業であれば、全国どこの自治体であっても、繰り返し市民説明会を開催して多くの市民に計画を知ってもらい、できるだけ多くの市民から意見を吸い上げて、市民の合意形成を図りたいと考えるのが普通です。
ところが、豊橋市は市民そっちのけの真逆の対応をしてきました。こうした浅井前市長の独善的な進め方と、市の暴走に加担した計画推進派の市議会会派が、出口の見えない市民対立の構図をつくりあげてしまったのです。