「関東で最大の尖頭器 多摩ニュータウン予定地で発掘」 毎日新聞 昭和61(1986)年11月21日付
※著作権の関係により、当該記事の紙面は掲載できません。所在地: 八王子市堀之内
調査期間: 昭和60年8月1日~昭和61年8月8日
時代: 旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代、平安時代、中世、近世
発掘調査報告書:
東京都埋蔵文化財センター 1989 『多摩ニュータウン遺跡 昭和62年度』 東京都埋蔵文化財センター調査報告 第10集(第5分冊)
「関東で最大の尖頭器」と報道され、この遺跡に光があてられることとなったのは、昭和61年11月21日のことだ。
大型尖頭器は別の遺跡(No.27遺跡)でも見つかっていたが、それを上回る大きさで記録を更新した。
この後も各地で多くの遺跡調査が現在まで行われているものの、今もなお関東最大級の肩書きは変わっていない。
また一方では謎の多い石器でもある。
なぜこのような大きさが必要だったのか。なぜこの場所で作られたのか。
何に使おうとしていたのか。そもそも本当に使おうとしていたのか。
抱える問題も最大級である。
Google Earthより(一部改変)
尖頭器は先端を鋭く尖らせ木葉形に製作された石器で、槍に仕立てて大型の獣を狩っていたと考えられている。
全国的に一般的な平均サイズは10センチに満たないものが多いが、稀に18センチを超える「大型尖頭器」が発見されることもある。
この石器の問題は多岐にわたり、大きな獣には大きな武器をというには、重さの点で扱いにくく、数も少ない。
また、使用とメンテナンスの繰り返しの結果として大型から小型化したという説や、優美で圧倒的存在感から威信財とする説などもある。
一方素材の点でも、豊富に入手できる産地に遺跡が限定されているわけではない。いずれにしても、いまだに答えは見つかっていない。
No.426遺跡出土の尖頭器
後期旧石器時代後半期の狩猟対象獣
(引用元: 旧石器文化談話会 2021 『旧石器考古学辞典 四訂版』)
大型尖頭器出土遺跡の位置
(引用元:鹿又喜隆 2021 「最大の尖頭器と石槍をめぐって」『東北大学文学研究科研究年報』 70)
北海道今金町美利河1遺跡の超大型尖頭器
(引用元: 北海道埋蔵文化財センター 1985 『美利河1遺跡』 北海道埋蔵文化財センター調査報告書 23巻 巻頭カラー図版)