No.107遺跡

「平安初期の木器120点 八王子で出土 『官』『位』などの焼き印文字」 毎日新聞 平成元(1989)年8月2日付

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所在地: 八王子市松木

調査期間: 第1~8次 昭和53年4月24日~平成元年12月22日

時代: 旧石器時代、縄文時代、古墳時代、奈良時代、平安時代、中世、近世

発掘調査報告書:
東京都埋蔵文化財センター 1999 『多摩ニュータウン遺跡 ―№107遺跡―』 東京都埋蔵文化財センター調査報告 第64集(古代編)

平安時代の木器出土

大栗川と大田川の合流地点にある遺跡。

二つの川に挟まれた台地上には旧石器時代から人が居住し、戦国時代には当地の有力武士である大石氏が館を構えた。


奈良・平安時代にも集落が築かれ、隣接する谷で見つかった水場遺構からは、多量の木器が出土した。

「官」等の文字の書かれた木器・土器の存在から、国府などと関係の深い人物が住んでいた可能性も考えられる。

遺跡のあった場所は削られてしまっているが、隣接地には古い石仏や石塔、樹齢400年を超えるサルスベリが残り、中世の面影を偲ばせる。

遺跡の場所

Google Earthより(一部改変)

遺跡近隣の現況

樹齢約400年のサルスベリ(八王子市指定天然記念物)

点在する石造物

遺跡の隣接地には樹齢約400年のサルスベリの木が残り、また、古い石仏や石碑も見ることができる。

古代水場遺構 大量の遺物を検出

古代の水場遺構は木を組み合わせた貯水部と、貯めた水を外に流すための排水部からなる。

貯水部北西部に重ねられた曲物を通して取水し、また、南側の平坦面は何らかの作業場として使われていたと見られる。


出土遺物から、8世紀後半に作られ、9世紀中頃に使われなくなったものと考えられる。

なお、古代の遺構の下に、古墳時代の水場遺構も検出されている。

奈良・平安時代の水場遺構からの木器等出土状況

水場遺構

水場遺構取水口 拡大写真

水場遺構出土の奈良・平安時代遺物

木器・須恵器(墨書・焼印あり)

曲物

鞍骨