15:30~15:45 [講演10]

日本生態学会東北地区会一般講演

「生息地改変する生物が生み出す相互作用について」

岩下 源*・近藤倫生(東北大・生命)


生物が生息地の環境を改変すると他の生物にも影響する。生物の環境改変が他の生物の生存に正と負のどちらの影響を与えるかは状況によって変化する。生物の環境改変によって生物間の関係がどのように変化するかを数理モデルで扱うことは難しい。その理由として大抵の生物と環境を明示的に考えているモデルでは、生物とその生物が利用する環境との関係を予め決めていることがある。このようなモデルでは別の環境を利用する生物に対しては別の式を立てなければならないので、ある生物の環境改変が別の環境の生物にどのように影響するかを調べることが難しい。そこで本研究では異なる環境を利用する生物に対して新たに式をたてなくてよいように、環境を一次元上の連続な量で表し生物は一次元上の一点を利用すると仮定した。生物と環境との関係は次の二つを満たす。(1)生物の増加はその点の環境の量に依存する。(2)生物は他の点環境の量を自分の点によせたり(エンジニアリング)、自分の点から他の点に分けたりする(消費)。このモデルを用いて二種の生物間の距離を変化させると生物の環境改変が同じでも二種間の相互作用は変化することがわかった。