11:10~11:35 [招待講演1]
日本生態学会東北地区会招待講演
日本生態学会東北地区会招待講演
「淡水産貝類の形態的・遺伝的多様化における古代湖の役割の解明」
「淡水産貝類の形態的・遺伝的多様化における古代湖の役割の解明」
平野尚浩(東北大・東北アジア研究センター)
平野尚浩(東北大・東北アジア研究センター)
古代湖や海洋島などの閉鎖系は、固有種が多く生息し、進化研究の優れたフィールドとして扱われてきた。軟体動物(貝類)は、地球上で2番目に種多様化した動物分類群であるとされる。本分類群は近縁種間で多様な殻形態をもち、殻が化石として残りやすいため、形態進化に着目した研究が多く行われてきた。日本をはじめとした東アジア地域には古代湖が複数存在し、淡水産貝類の種多様性ホットスポットとして知られている。このような古代湖における軟体動物の種多様性が生まれた背景には、地理的隔離や生息環境の影響が関連していると考えられているが、その多くは未解明である。そこで、本研究では淡水産貝類のタニシ科を用いて、古代湖が淡水産貝類の進化史にどのように影響してきたのか解明を試みた。本発表では、世界の分布域を網羅した系統推定・化石記録も含めた殻形態解析・琵琶湖を中心とした日本の種群に着目した集団遺伝解析により得られた成果についてまとめる。