13:30~13:45 [講演03]

日本生態学会東北地区会一般講演

「夏緑樹林に生育する植物とアーバスキュラー菌根菌の相互作用ネットワークの分析」

佐藤莉咲*・村田怜(山形大)・橋本靖(帯広畜産大)・山岸洋貴(弘前大)・松尾歩・陶山佳久(東北大)・横山潤・富松裕(山形大)


 多く(71 %)の陸上植物は、根圏でアーバスキュラー菌根菌(AM菌)と共生しており、植物は光合成産物を菌根菌に供給する代わりに、AM菌から栄養塩や水を得ている。AM菌との共生は、植物の成長速度だけでなく、ストレス耐性をも向上させることが知られているが、野外において植物が実際にどのような菌種と共生しているかは、未だ十分に分かっているとは言えない。野外から単離した AM 菌を実験的に様々な植物種へ接種すると、どの植物種も多くのAM菌と共生できることから、これまでAM菌に対する選好性は低いと考えられてきた。それに対して、野外では植物種によってAM 菌群集が有意に異なることが報告されているが、先行研究は少数の植物種を対象としたものがほとんどである。

本研究では、北海道帯広市内の夏緑樹林に生育する植物 54 種と共生するAM菌のDNAメタバーコーディングを行い、その相互作用ネットワークを群集レベルで分析する。具体的には、(1)植物は AM 菌に対して有意な選好性を示すか、(2)菌根菌感染率(共生の程度)によってAM 菌に対する選好性が異なるかなどを検証する。本発表では、DNAメタバーコーディングを行うまでの過程と、今後のデータ分析の計画について述べる。