宇宙箱舟ワークショップについて

「みんなが宇宙に引っ越しするなら、どんな動物をつれていく?」

満点の星空を親子で眺めながら、その中のどれか一つの星へ宇宙箱舟に動物を乗せて移り住む未来を想像してみてください。この何気ない一つの問いは、実はわたしたち人間が生きていくうえで大切にすべきことは何か、という根源的な問いをつきつけます。

宇宙箱舟の空間は限られているけれど、可愛いパンダ、かっこいいライオンも連れていきたい。人間が食べていくためのウシやブタだって欠かせない。けれど、は虫類や鳥、虫はどうする? そもそも、いろんな生き物をつれていく理由って何だろう?

宇宙箱舟ワークショップは、京都にある小中高校の先生たち、大学の教員・職員・学生が、一丸となって考え出した画期的な教材です。

この教材には、正解はありません。

限られた大きさの宇宙箱舟で連れていくべきベストな生態系が何かは誰にも分かりません。 けれど、みんなで宇宙箱舟を考えてみると、生き物のつながりや地球環境の大切さに気づくことができます。

わたしたちの知っている日常世界と極端に異なり、人間の生存そのものが脅かされるかもしれない「宇宙への移住」という視点から見ると、「環境を守る」「多様な生態系」といった、普段何気なくよいものと考えられていることも、違った意味を帯びてくることがあります。 人間の価値観や倫理の見直しまで迫られることもあるかもしれません。

宇宙箱舟ワークショップは、4人から6人程度のグループで話し合いながら、自分たちだけの「宇宙箱舟」をデザインしてみるというプログラムです。その過程を通じて、小学生から大人まで、それぞれの段階に応じた学びや気づきが得られるはずです。

このウェブサイトでは、宇宙箱舟ワークショップの実践例をいろいろご紹介しています。


*このウェブサイトは、JSPS科研費 17K01030の支援のもと作成されました。


宇宙箱舟ワークショップ開発の道のり

2010年8月25日

「宇宙箱舟ワークショップ」開発のコアメンバーである塩瀬・磯部・水町が出会う

「答えのない課題を子ども達と一緒に考えることが大事」「ノアの箱舟のイメージで、動物のフィギュアを出し入れしたら楽しいのでは!」このようなアイディアが次々と生まれる中で、「宇宙箱舟ワークショップ」という名称と「宇宙箱舟ワークショップ」のコンセプトの原型が生まれました。

2010年11月29日から2011年1月26日

製作委員会(宇宙箱舟WS準備会)を開催する

普段から児童生徒に接している先生がたの視点を組み込むことで、より子ども達の学びに適した教育プログラムになると考え、京都市内(府立、市立、私立)の小学校、中学校、高等学校の先生にも協力を仰ぎながら、「宇宙箱舟ワークショップ」を開発しました。

2011年2月5日

試行プログラムを実施する

2011年2月2日から2月6日にかけて京都大学総合博物館で開催された「小惑星探査機『はやぶさ』帰還カプセル特別公開」の関連イベントとしてワークショップを実施しました。

2011年3月5日、6日

『宇宙箱舟ワークョップブック』の配布を開始する

第4回宇宙総合学研究ユニットシンポジウム「人類はなぜ宇宙へいくのか? 宇宙生存学における課題」に合わせて『宇宙箱舟ワークショップブック』が製作されました。学校や科学館等でワークショップの実施を希望される方には、無償で『宇宙箱舟ワークショップブック』をお渡ししてきました。

2019年3月

「生き物カード」と「箱舟」を改訂する

宇宙箱舟ワークショップの実施に重要な「生き物カード」のみ、増刷を行うことになりました。その際、生き物カードの一部を改訂しました。また、「箱舟」もシンプルになりました。

*新しい「箱舟」のダウンロードは「基本の進行例」から。

2020年2月

実践事例が紹介されたウェブサイトを立ち上げる

より多くの方に宇宙箱舟ワークショップを活用していただくために、このウェブサイトを立ち上げました。