夕焼けと電線、帰路を急ぐ長い影…パトロールの時間だ。
1日の終着へ向かう風景の中、ただ警官だけが物騒事を求めて彷徨い歩き続けている。あたかも疫病神のようだと、彼は時々思う。
さて日没は完全に完了した。どんな災いを撒いてやろうか、疫病神の巡回が始まる。あたかも警官のようだと、彼は時々思う。
本作品は、部誌の企画「140字小説」を基に作られた作品である。本作の特徴はなんと言っても綺麗な対比構造にある。「140字小説」という企画の性質上、語り手は必ずしもすべてを説明できない。しかしながら、最低限の描写や言葉選びからは作品の世界観が完成されていることがわかる。夕焼けの「彼」と日没の「彼」。その二人の「彼」は違う人物なのか、はたまた同じ人物なのか。本作の解釈は読み手に任せられる。循環する作品世界は、また、読者の中でひとりでに歩みを始めたと言っても過言ではないのだろう。
(2026/03 初代会長記)