朝、何かに踏まれた感じがしたので目を覚ました。横を見るとうちの猫がにゃーと鳴いている。こいつ踏まれたんだなと理解して体を起こした。
今日はいつもよりあたたかい気がする。とりあえず、日課となっている天気予報をみる。今日の天気は快晴。気温もちょうどいい。まさにお散歩日和というものだ。窓にはカーテンをかけているが、その隙間からは天からの恵みが降り注いでいる。まるで誘い込まれるかのように重い腰を上げる。
靴を履いて、重い扉を自分の力でぐっと押す。するとどうだろう。目の前に広がるのは、「美しい」という言葉で表現するにはもったいない景色。ああ、世界はなんと美しい。自然と足はすたすたと進んでいる。気持ちいいなぁ、空気が美味しい、足も軽やかだ。
歩いていると、近所のおばあちゃんが家の前を掃除していた。「おはようございます!」元気よく挨拶してみた。「おはよう。今日は早起きだね。学校でもあるのかい?」と聞かれたので、「いや今日は快晴で気持ちのいい気候でしたので、歩こうと思い立ったのです!」と返事をした。
また歩いていると、まだ咲きかけの桜のつぼみがあった。僕はこの桜の咲きかけが好きだ。なぜならこの桜のつぼみをみると春を強く思い出す。春は始まりの季節。とても気持ちがいい。新しい人と出会い、新しい思い出の始まりとなる春。僕は季節で1番春が好きだ。清々しい気分になれる。そして、その春の始まりであるつぼみをみると、心地のいい気分が僕を包み込むのだ。鳥がぴよぴよと鳴いている。春風が僕の横をサーと抜けていく。思いっきり深呼吸をしてみる。この透明で暖かい春の風を目一杯吸い込んで、体に吸収して、はぁー!と吐く。こうすると体だけではなく、心があたたかい気持ちになれる。
そうこうして目的地についた。目の前には満開の桜が広がっている。川が流れている。この快晴の陽に照らされて、川はキラキラと輝いている。いつもは透明な川がピンク色に彩られている。サーと春の風が吹く。桜がぶわぁーと舞い散る。川がザァーと流れている。その桜や風や音を浴びて、僕は春に包み込まれる。気持ちよくなって芝生に横たわる。子供のキャキャという声が遠くの方で聞こえている。僕はその最高の気分の中、目を閉じて、眠りに落ちた。
本作品は、サークルフェスティバルにおいて新入生歓迎のために書き下ろされた一作である。
私(会長)は、この作品を読んだ時に、手放しでポジティブな気分になれた。そして、気づかされたことがある。それは私たちはいつの間にか楽しむことに恐れを抱いている。文芸創作しかり、日常生活しかり、幼少時代のように素直になれなくなった。それは知的成長に伴う恐れである。本作を通して私は手放しで楽しむことに再び向き合いたい。
(2026/03 初代会長記)