企業の公式SNSを使った発信はブランドの認知向上や採用活動、顧客との関係構築において使用されます。しかし、「担当者がいても継続できない」という問題が多くの企業で発生しています。実際に、SNS運用を始めたものの数ヶ月で更新が止まるケースも珍しくありません。
なぜSNS運用は継続できなくなるのか?その背景を分析し、具体的な対策をお伝えします。
SNSは基本的に「一対多」のコミュニケーションツールです。企業の公式アカウントは、フォロワー、顧客、求職者など発信対象者に対して一方的に情報を発信する形になりがちです。特に、担当者がDM対応やコメント返信などを一手に担っている場合、「自分だけがこの業務をやっている」「反応が薄い」と感じ、孤独感を抱くことがあります。また、炎上やクレーム対応が発生すると、一方的に攻撃されるような気持ちになり、精神的な負担が大きくなります。
→ 対策:担当者を孤立させない(後述)
SNSは他社の投稿や競合の成功事例が簡単に目に入る環境です。特に、競争の激しい業界では「あの企業の投稿はバズっているのに、うちは反応が少ない…」と感じやすくなります。また、個人のSNS運用でも起こるように「他者と比較して自分の価値を測る」心理が働き、担当者のモチベーションが下がることがあります。
→ 対策:自社の発信するコンテンツを設計(後述)
SNSは情報の流れが速く、トレンドが日々変化します。運用担当者は常に新しい情報をキャッチアップし、投稿のネタを考え、分析を行わなければなりません。しかし、「SNSを見すぎることで情報過多になり、脳が疲弊する」という脳疲労という症状があります。情報の洪水に巻き込まれ、どの情報を重要視すべきかわからなくなると、SNS運用自体がストレスになり、継続が難しくなります。
→ 対策:コンテンツに必要な情報のみ摂取(後述)
SNSは「いいね」「リポスト」「シェア」「フォロワー数」といった数値で成果が可視化されます。このため、「数字が伸びない=成果が出ていない」と錯覚しやすいです。また、「上司や経営層がフォロワー数の増加を成果指標としている」ケースでは、担当者に過度なプレッシャーがかかり、SNS運用が負担に感じられるようになります。
→ 対策:いいねやフォロー数以外の指標設計(後述)
SNS運用は個人の裁量に任せすぎない。運用チームを作り、複数人で担当する。定期的にミーティングを行い「どの投稿が効果的だったか」「どんな反応があったか」を共有する。ネガティブなコメント対応は1人で抱え込ませず、上司や周囲と連携して対応する。SNSはチームで運用し、「担当者だけが頑張る構造」を避けることが重要です。
競合の成功事例を参考にしすぎない。自社のブランドや戦略に合った投稿内容を決める。SNSの目的を明確化(例:採用広報なら「社員のリアルな声を伝える」、商品PRなら「顧客の共感を生むストーリーを発信」)継続できる投稿スタイルを確立(例:「週に1回、社員インタビュー投稿」などルール化)。運用方針を決めることで、「何を発信すべきか」の迷いをなくし、比較によるネガティブな感情を軽減できます。
SNSを見る時間を決める(例:「1日30分だけ情報収集」など)。公式アカウントのフォローを厳選し、ノイズとなる情報を減らす。社内の情報を活用し、外部情報に依存しすぎない(例:「社員のエピソード」「企業の歴史」など)。SNS運用にはトレンドの把握も必要ですが、情報を制限し、必要なものだけに集中することが継続の鍵になります。
SNSの成果を評価する指標を「いいね数」や「フォロワー数」だけにしない。採用なら「SNS経由のエントリー数」「応募者からSNSの○○を見た」などを指標にする。BtoBなら「問い合わせ件数」「資料請求数」をKPIにする。SNSは短期的な数字より、最終的な成果につながるかどうかが重要です。運用担当者が「フォロワー数が増えなくても、エントリーもしくは資料請求が増えているから成功している」と実感できる仕組みを作ることが継続につながります。
企業の公式SNSは、継続運用が求められますが、「一対多のコミュニケーションによる孤独感」「競争意識」「情報過多」「成果指標の誤認」といった要因が、運用担当者の負担を増やし、継続を難しくすることがあります。これらの課題を解決するために、SNS運用は個人の責任にしない(チームで運用)。競合と比較しすぎず、自社の方針を決める。必要な情報のみ取得し、情報過多を防ぐ。フォロワー数にとらわれない指標を設定する。といった対策が有効です。SNS運用は「継続すること」そのものが成果につながります。無理なく続けられる仕組みを作り、企業にとって最適なSNS活用を目指しましょう。
参照
プロフィール
フリーのウェブマーケティングディレクター
愛知県一宮市に在住。ウエブ広告やSNSの運用代行・アクセス解析で企業の成長を支援。
中小企業様の成長をサポートしたい!そんな想いで活動中。元大手求人サイトで培った経験と実績を活かし、伴走型で企業支援します。