原子核ハドロン物理学

マクロなものからミクロなものまで、紙とペンとPCで物理現象にアプローチ

新しい核力を理論的に解明する

「我々の宇宙を形作る力」の一つに、「核力」があります。核力とは、陽子と中性子(合わせて「核子(かくし)」と呼びます)や陽子どうし、中性子どうしの間に働く力です。核力によって、陽子と中性子の束縛系「原子核」が形成されます。

現在、国内外の実験施設の充実により、核力の世界が大きく拡がってきています。核子のなかのアップクォークやダウンクォークを違う種類のクォーク(例えばストレンジクォーク)に人工的に変えて、核力そのものも変えることが可能になってきたのです。

本研究室では、紙とペンとPCによる数値計算で、この「新しい核力」の性質解明を実験グループと協力して進めています。

新しい原子核を理論的に解明する

上で議論した新しい核力が強い引力ならば、通常の核力が核子たちを束縛して原子核を形成するように、新しい核力で束縛する「新しい原子核」も存在するはずです。この新しい原子核の存在可能性を、やはり紙とペンとPCによる数値計算で、探究しています。

また、このような新しい原子核が存在するならば、国内外の実験施設で実際に発見される可能性もあります。どのような条件で実験すれば発見できるか、実験グループへの助言もしています。

さらに、新しい核力・新しい原子核は中性子星や最初期の宇宙に影響を及ぼす可能性すらあります。原子核というミクロな存在と宇宙におけるマクロな現象を結びつけたいと考えています。