このたび、日本労働科学学会第5回年次大会を2024年5月18日(土)~19日(日)の2日間、福岡県北九州市にて開催させて頂けますことを準備委員会一同、大変嬉しく思っております。会場は、北九州の玄関口である小倉駅から徒歩5分の北九州国際会議場にて開催します。福岡空港・北九州空港・新幹線のいずれの手段においても交通アクセスは良好ですので、全国より多くの皆様にお越しいただけることを期待しております。
1日目は、基調講演「労働科学の源流から未来へ:労働衛生政策の歴史と展望」と題しまして、産業医科大学・副学長の堀江正知先生に労働科学の歴史を振り返り、労働科学が果たすべき役割と今後の展望についてご講演いただきます。
また、「デジタルヘルスと労働科学」を大会テーマに掲げ、1日目の後半では統一論題(シンポジウム)を企画しました。近年、労働・生活場面の日常において、ウエアラブルディバイスや各種センシング技術の発展と普及に伴い、様々なデジタルヘルステクノロジ(DHT)の活用が進んでいます。働く世代のウェル・ビーイングを高めるために、労働・生活場面で用いられるそれらDHTの国内外動向を俯瞰し、労働科学としてDHTの利活用を今後どのように進めていけばよいかを議論する場としたいと思います。
2日目は、ワークショップ「ワチャワチャ、みんなで労働科学の未来を語ろう」を企画しています。対面開催による大会のメリットは、人との交流・ネットワーク作りにあります。前日の基調講演・統一論題の話題を受けて、参加者間でざっくばらんに労働科学の展望や課題・方向性についてワイワイ・ガヤガヤと話し合い、意見交換をできる場を設定しました。また、休憩時間での意見交換なども対面開催の大会が提供できる貴重な価値のひとつですので、タイムテーブルの面からも休憩時間や懇親会の充実にも配慮した運営を行います。
大会運営に関しましては、日本労働科学学会の特色を活かし、人文系と自然科学系の学会の作法を融合した発表形式として1)自由論題(ロング)、2)自由論題(ショート)、3)ポスター発表の3種類を設定しました。自由論題(ロング)は1演題あたり45分(発表30分、質疑15分、座長・発表者・指定発言をセット)としました。自由論題(ショート)は自然科学系の学会で多い1演題あたり15分(発表10分、質疑5分)、そしてポスター発表は昨年の倉敷大会時の形式を踏襲し、コアタイムに簡単なプレゼンもしてもらいます。希望する発表スタイルに合わせて、学会員の皆様からの積極的な発表申し込みをお待ちしております。また、医学系の学会ではランチョンセミナー形式も多く採用されています。一般財団法人日本予防医学協会様によるランチョンセミナー「健康経営と産業保健」も企画いたしました。
そして、今大会は関門海峡に面し、九州最北端に位置する九州の玄関口、北九州市にて開催する意義についても少し触れたいと思います。日本初の製鉄所である官営八幡製鐵所(現在の日本製鉄の源流)が1901年に開設され、日本の産業の発展を支えた鉄鋼業の街、北九州は労働科学との接点も深い地域です。一方で、「働き方・休み方・暮らし方」を包括的に扱う新しい日本労働科学学会においては、生活・文化面にもフォーカスしたいと思います。今回は、北九州市都市ブランド創造局観光にぎわい部MICE・エンターテインメント課にご支援を頂き「北九州市の産業観光」と題して、北九州の産業の成り立ちや労働者の生活・文化面も含めて様々な産業の工場や夜景、関連する歴史など北九州市の特徴について観光スポットのご案内も交えて北九州市都市ブランド創造局よりご紹介いただくことと致しました。そして、2日目の午後には、エクスカーションとして「門司港レトロコース」を計画いたしました。明治・大正・昭和へと日本が近代国家建設へ向け躍動した時代の陸上・海上交通の要衝であった関門地域である門司のノスタルジックな町並みを巡ってみてはいかがでしょうか。なお、1922年に理論物理学者・アインシュタインが講演で福岡を訪れた際、夫妻で宿泊したことでも知られる旧門司三井倶楽部の見学など、魅力的な見学コースを検討しています。
最後に、本大会を通じて,北九州地域の趣や鉄鋼街ならではの街並みを肌で感じつつ、統一論題、自由論題等での論議により、来たるべきデジタルヘルス時代における労働科学研究の交流の場とできれば幸いです。
第5回年次大会準備委員長
榎原 毅
産業医科大学
人間工学研究室・教授
榎原 毅:準備委員長
(産業医科大学)
松田 文子:副委員長
(大原記念労働科学研究所)
石井 まこと
(大分大学)
酒井 一輝
(産業医科大学)
徐 玉琴
(目白大学短期大学部)
高橋 正也
(労働安全衛生総合研究所)
高橋 雄三
(広島市立大学)
綱島 康高
(倉敷紡績株式会社)
原 邦夫
(産業医科大学)
平澤 貞三
(社会保険労務士法人HRBM)
藤原 広明
(産業医科大学)
水野 基樹
(順天堂大学)
湯淺 晶子
(東京女子医科大学)
吉川 徹
(労働安全衛生総合研究所)
谷 直道:事務局長
(産業医科大学)