絵本『ピーターとオオカミ』

原作との違いと私たちが大切にしたこと

私たちのプロジェクトでは、セルゲイ・プロコフィエフ原作の物語を再構成し、現代のさまざまな文脈におきかえて、ストーリーを若干修正しています。


主人公のピーター(ロシア語読みは「ペーチャ」)については、原作にある「ピオネールのペーチャ」(「ピオネール」はソ連時代の共産党の少年団。「ピオネール」と《ピーターと狼》の関係性については、「《ピーターと狼》について」参照)としてやや一面的に描かれていた勇敢なピーター像を一義的なものとせず、当時のロシアの文化を多角的に捉えてみることによって、仲間と一緒に「知恵」をもって物事を解決する力をそなえる少年として捉え直し、紛争やトラブルを「力」で解決するのでなく、仲間と「協力」して「協調的」に問題解決する姿勢をもつピーター像を表現してみました。(作画の担当は原作にはない「本」をピーターにもたせることによって、「本=知恵」によって物事を解決しようとするピーター像を表そうとしています。) 


私たちは、既存の公開されている「ピーターと狼」の絵本(和英ともに)、DVDやCD、YouTubeなどを何度も何度も参照し(ディズニーのDVDを何度みたことか!)、メンバー内議論を重ねました。たとえば、原作の狼は、「ピオネール」の「敵」として、「悪者」の象徴として登場しますが、社会を構成する一員として森にかえしてはどうか、いやいや再び悪さをするではないか、などなどストーリーの議論をたくさんしました。(私たちは、動物園で仲間と仲良く暮らす狼を最後に描いて「おしまい」としています。)また、食べられたアヒルが「生きていた!」というのは、原作やその他ディズニーなどでもみられる構成ですが、どうやって狼のお腹の中のアヒルを弱らせずに元気な姿のまま救出するか...メンバー内であれこれ(何度も小さく)揉めながら、この絵本にあるようなストーリーとしました


 英文、たくさんの『ピーターと狼』の英語絵本を参考に、現在の日本の小学校の授業で使用できるよう、ネイティブの表現を損なわない形で、単語、文法などを点検しながら、慎重に作成しています。そして特別支援学校の先生方にも、目や口が描かれない絵で子どもたちはストーリーを理解できるかどうか、など絵のドラフトをもっておたずねし、ご意見をうかがいました。少しでも教育現場で有効につかっていただけるように、子どもたちに豊かな経験をはぐくむ過程の一つとできるように、そしてできるだけ多くの方々にご覧いただけるようにと考えて、絵を描きなおしたり(狼のお腹にいるアヒルの絵を描き加えたのです!)物語のリズム感やスピード感を意識しつつ日本語の文章を修正したりしました。


さいごに、絵本の作画は、ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)が創設したドイツの私立学校の水彩画(にじみ絵)の描画技法を使用しています。(プロコフィエフの孫は、14歳の時にシュタイナーの著書に出会い、人智学が禁止されていたソヴィエト下で研究・実践を行った人物でした)水で湿らせた紙の上に、黄色と赤色と青色の3色の絵の具のみを使用して描きます。線で形を描かず、色と色との境目に形を見るにじみ絵はダヴィンチのモナ・リザをも彷彿とさせます。目や口などの表情を描いていないのは、読者の想像にゆだねるものだからです。表情をあえて描かないことにより、この絵本のピーターに自分を重ねて物語を聞くこともできます。現代にも生きる人間としてのピーターが子どもたちの豊かな想像力の中から生まれてくることでしょう。

しかし、初めてこの絵本を手に取ったとき、「顔がない!」と教えてくれるお子さんがいるかもしれません。そんな時は、「ピーターはどんな表情していると思う?想像しながらお話を聞こうね」などと子どもたちの想像を促す声かけをしていただければ幸いです。ページが進むにつれてこの心配は払拭されていくはずです。    


読む人とのかかわりの中から、果てしない可能性をもった物語としてピーターとオオカミ』を楽しんでいただければうれしく思います。

絵本『ピーターとオオカミ』

※なお、学校およびその他教育機関において教育目的に限定した活動や、福祉事業機関における福祉目的に限定した活動の以外の場合は、contact us 問い合わせはこちら」からご連絡ください。

高学年(5・6年生向け教材)

PDFファイル  絵本

英語のレベル過去形 
例:「Peter
lived in a house with his grandfather.The house was near a forest.・・・」
和文(漢字):学年別常用漢字[小学
6年]基準
  
漢字にルビあり  
リンク先 
PDFファイル

☆HPと共有用(高学年).pdf

英語のレベル和文漢字) 同上
リンク先 
YouTube 
https://youtu.be/TNe7C-0_7x0 QRコード
動画の長さ
 11:28
音楽・音源 〇あり
英語ナレーション  〇あ

日本語ナレーション ✕なし

学年(年生向け教材)   ※順次アップ予定

絵本(中学年向け)

英語のレベル:現在形

絵本+英語音声付き
(中学年向け)

英語のレベル:現在形

低学年年生向け教材)   ※順次アップ予定

PDFファイル 絵本

英語のレベル…簡単な英語、現在形
例:「
Good morning Peter! He is fine today. Peter goes outside.・・・」
和文(漢字):学年別常用漢字[小学2年]基準
       漢字にルビあり  
リンク先 PDFファイル

☆HPと共有用(低学年).pdf

絵本+英語音声付き
(低学年向け)


『ピーターとオオカミ』音源 
映像は立命館大学交響楽団所属の学生です。授業等で適宜再生してご利用ください。 
なお、下記音源は背景になっている絵本の場面で流していただければと思います。

ピーターのテーマ

弦楽器
バイオリン

小鳥のテーマ

木管楽器
フルート

アヒルのテーマ

木管楽器
オーボエ

ねこのテーマ

木管楽器
クラリネット

おじいさんのテーマ

木管楽器
バスーン
(ファゴット)




オオカミのテーマ

金管楽器
ホルン

木管楽器
オーボエ

弦楽器
バイオリン

オオカミのまわりを飛ぶ小鳥

木管楽器
フルート

オオカミを捕まえたピーター

弦楽器
バイオリン

打楽器
ティンパニ

やってきた狩人にお願い

打楽器
ティンパニ

木管楽器
オーボエ