《ピーターと狼》について





《ピーターと狼》Петя и волк(ペーチャと狼))について

ピーターと狼》Петя и волк(ペーチャと狼))は、19世紀ロシアの作曲家セルゲイ・プロコフィエフ(Sergei Sergeevich Prokofiev) が1936年に作曲した子供のための交響的物語です。ロシアがソビエト社会主義共和国連邦だった時代、首都モスクワにある児童劇場のために特別につくられました。作曲家プロコフィエフは、わずか2週間程度でこの曲をかきあげたようです。

 台本は、ロシアの民話を基に、プロコフィエフが書いたといわれ、楽曲にはナレーションがはいり、小編成のオーケストラで構成されています。物語の登場人物(動物)はそれぞれがオーケストラの特定の楽器によって受け持たれています。

《ピーターと狼》にでてくる楽器、ライトモチーフは本ページの以下と、こちらにあります。


楽器を登場人物と関連付けて、おとぎ話の朗読と音楽が交代しながらすすむオーケストラの楽曲は、この《ピーターと狼》以前にはほとんどなかったものでした。そして、プロコフィエフはこのタイプの作品を一度きりしかつくらなかったようです。(「プロコフィエフについて」もあわせて読んでいただくとその背景がよくわかります。)


さて、この時代につくられたソ連の子どもたちの作品には、ある種の特徴がみられることがわかっています。

「登場人物の子どもは、やけに勇敢でした。彼らはあやしい敵がいないか、野原や森を偵察します。仲間ともよく協力します。もし敵が見つかった場合、勇気をもって立ち向かっていくのです。というのは、それがソ連共産党の少年団員、「ピオネール」の理想的な行動だったからでした。」(菊間 2021p.54)


ピーターは原作では、「ピオネールのペーチャ(ピーター)」という設定です。「ピオネール」というのは、ソ連時代の共産党の少年団のことです。当時は、ピオネール入団の年齢にみたない8歳前の子どもたちも児童劇場のこの曲の鑑賞対象に含められました。ピオネール入団のための訓練をしたオクチャブリャータに所属する小さな子どもたちが、「少しお兄さん」のピオネールについての物語をきく、ということもあったのでしょう。
「ピオネール」のピーターの設定は、誰の提案だったのかよくわかっていません。あとからつけたされたものであることがわかっているようです。プロコフィエフの作品にみるモチーフからは「極端な勇敢さ」は強調されていないのですが、この作品はソ連の政治体制とともに上演も制限されるなど、時代に翻弄されたところもあったことは確かでしょう。


菊間史織(2021)『「ピーターと狼」の点と線』(音楽之友社)参照


私たちは原作の『ピーターと狼』の物語を、現代の文脈におきかえて若干ストーリーの構成を変更しています。
それについては、
こちらをご覧ください。


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