日程:2025年2月20日(木)
場所:岡山大学理学部2号館2階 第1代数セミナー室
プログラム:
13:30~14:30 宮下空(大阪大学)
14:45~15:45 柳川浩二(関西大学)
講演内容:
宮下空(大阪大学)
タイトル:When do pseudo-Gorenstein rings become Gorenstein?
アブストラクト:
h-列の末項が1のCohen-Macaulay次数付き環をpseudo-Gorensteinと呼ぶ (この用語はEne-Herzog-Hibi-Madani氏らの論文“Pseudo-Gorenstein and level Hibi rings''に基づく). 本講演では, 次数付き環における正準加群のトレースイデアルとpseudo-Gorenstein性の関係を考察する. 特に次数付き環とその正準加群のトレースが然るべき性質を満たすとき, pseudo-Gorensteinならば必ずGorensteinであることがわかったので, これを紹介する. 応用として, 他のGorenstein性の一般化であるnearly Gorenstein性, almost Gorenstein性, およびlevel性の標準次数付き整域におけるいくつかの関係性を明らかにする. さらに正準加群のトレースなどについて然るべき性質を満たすNoether次数付き(半)標準的次数付き環について, そのVeronese部分環をとることでquasi-Gorenstein環を構成する方法を述べる.
柳川浩二(関西大学)
タイトル:左右の q-変形有理数の組合せ論
アブストラクト:(任鑫氏との共同研究に基づく)
正整数 n の q-類似 1+q+…+q^{n-1}は古典的であるが、近年 Morier-Genoud と Ovsienko は、有理数の q-類似を導入した。ある種の三角圏など、様々な話題に応用されている。
続く Bapat らの仕事以降、 上述の Morier-Genoudらのものは「右から」のq-類似であり、「左から」の類似も構成されている。これも本講演のポイントだが、細かくなるので、
以下では「右」を重視しつつ大らかに述べる。
有理数 α の q-類似は 、αの連分数展開とposet を用いて組合せ論的に計算できるが、モジュラー群PSL(2,ZZ) の q-類似 PSL_q(2,ZZ)を用いても求められる。( PSL_q(2,ZZ) の成分は ±q^n 倍を除いて、整数係数の多項式であるが、行列の各列がそのまま q-有理数の分子・分母となる。)Leclere と Morier-Genoudは PSL_q(2,ZZ)の各元の trace が回文多項式であることを示しているが、本講演では、これの別証明を与え、応用として有理絡み目の正規化 Jones 多項式の組合せ論的性質を考察する。