2016-record

第15回岡山可換代数表現セミナー (OSCAR15)

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平成28年11月14日(月)

岡山大学理学部2号館4階 C-400 第9講義室

教室変更にご注意ください。

いつもの部屋の隣の大きい教室です。

本館との間のエレベータを4Fで降り、最初の部屋になります。

プログラム:

11:10ー12:40 渡辺 敬一(日大文理)

13:50-15:20 荒谷 督司 (岡山理科大理)

15:40-17:10 橋本 光靖 (岡山大理)

講演内容

11:10ー12:40 渡辺 敬一(日大文理)

タイトル : Some variants of Hilbert-Kunz multiplicity

Abstract; (A,m) を標数 p>0 の d 次元 unmixed Noether local ring とする.

m-primary ideal I に対して,

e_{HK} ( I ) = lim_{q¥to ¥infty} ¥frac{ ¥ell_A( A/ I^{[q]})}{ q^d }

を イデアル I の Hilbert-Kunz 重複度という.ここで,q = p^e は p のベキを動く.

最近 V. Trivedi が標数 p > 0 の standard graded ring R ( graded ring R = ¥oplus_{n¥ge 0} R_n で R_1 で生成される)

と R の斉次 m -primary イデアル I に対して,

Hilbert-Kunz density function

f (x) = HKd( R,I) (x) = ¥lim_{q=p^n¥to ¥infty} f_n (x), f_n( x ) = ¥ell ( [ R / I^{[q]} )_m) ( m = ¥lfoor xq ¥rfloor )

を定義し,極限が存在し,連続関数になることを証明した.( f(x) を 0 から ¥infty まで -- 有界関数だが -- 積分

すると,e_{HK}( I ) になる)

この概念は,いろいろな理論と結びついて,発展が期待されるので,紹介して見たい.

13:50-15:20 荒谷 督司 (岡山理科大理)

タイトル

reducible homological dimension の紹介

アブストラクト

この講演は Olgur Celikbas氏(West Virginia University)との共同研究である.

Petter Bergh が定義した reducible complexity の概念をもとに, reducible homo

logical dimension という概念を考えた.それはホモロジカル次元が無限である加群

に対し,それを如何にしてホモロジカル次元が有限な加群に帰着させるかという考え

方である.

本講演では,この reducible homological dimension の定義及び諸性質,例を紹介

する.

15:40-17:10 橋本 光靖 (岡山大理)

タイトル: Module theoretic approach to Grothendieck-Lefschetz type theorem

アブストラクト:

松野高久君との共同研究。SGA 2 に書かれている Grothendieck による

局所 Picard 群の間の局所超局面切断写像の単射性に関する定理を加群的な

アプローチによって改良する。

応用として、(R,m) がネーター局所環で x が m に属する R 上の非零因子とし,

R/xR が Serre の (S_3) 条件をみたして quasi-Gorenstein ならば,

R も Serre の (S_3) 条件をみたして quasi-Gorenstein であることを示す。

第14回岡山可換代数表現セミナー (OSCAR14)

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平成28年10月31日(月)

岡山大学理学部2号館4階 D-401 代数講究室

プログラム:

11:10ー12:40 源 泰幸(大阪府立大理)

13:50-15:20 吉野 雄二 (岡山大自然)

15:40-17:10 板場 綾子 (静岡大理)

講演内容

11:10ー12:40 源 泰幸(大阪府立大理)

タイトル:有限次元次数付岩永ゴレンシュタイン代数と次数付安定極大コーエン-マコーレー加群圏について

アブストラクト:

この講演は山浦浩太氏(山梨大学)との共同研究です。

研究内容はタイトルの通りで長く成るので繰り返しません。

有限次元(非負)次数付代数は次数が0と1に集中している場合、つまり、自明拡大代数 B + M に次数付森田同値です。

それ故、おおくの表現論的な研究はこの場合に帰着されるので、我々は今回この場合を集中的に扱います。

最初の結果は、

自明拡大代数A = B + M上の次数付加群の複体が完全複体(有限生成射影加群の有限複体)に成る為の B と M を用いた判定法です。

以下の3つの系が今回の話しでは大切です。

1. B加群の導来圏からAの特異導来圏への標準的な関手の核の記述。

2. A が大域次元有限となる必要十分条件を B と M の言葉で与える。

自明拡大代数は基本的な操作なのでこれに関する研究は古くからあり、

特に大域次元の有限性に関してはPalmer, Fossum-Griffith-Reiten が十分条件を代数 B が一般の状況で考察していますが、

今回は代数を有限次元と限ることで必要十分条件が導来テンソル積を用いて簡潔に表現できることが分かりました。

3. A が岩永ゴレンシュタイン代数となる必要十分条件を B と M の言葉で与える。

上と同様に、岩永ゴレンシュタイン代数となる必要十分条件も導来テンソル積、導来Homを用いて表せます。

M が余傾加群であれば自明拡大 B + M が岩永ゴレンシュタイン代数になることは以前の研究で得られていましたが、今回の条件はそれを含んでいます。

次の結果では有限次元代数 B の大域次元性は有限と仮定します。

この仮定の下で3.の岩永ゴレンシュタイン性に関する条件がB 加群の導来圏への両側加群 M の導来テンソル積での作用に関する三角圏論的な条件で表せることを示します。これは、導来テンソル積や導来Homを用いて定義された傾加群という概念が、導来テンソル積が導来圏に同値を誘導するという条件でも特徴付けられたのと同様の主張です。

この定理と同時に次が示されます。自明拡大 A = B + M が岩永ゴレンシュタイン代数であればAの次数付安定極大コーエン-マコーレー加群圏は

B の有界導来圏に許容部分圏として実現される。許容部分圏とは埋め込み関手が右と左の随伴を持つものであり、ルコルマンの左側といっても同じことです。

重要な帰結は自明拡大とは限らない有限次元次数付岩永ゴレンシュタイン代数 A の次数付安定極大コーエン-マコーレー加群圏の

グロタンディーク群は A の0次部分の大域次元が有限であれば有限階数の自由加群であり階数の上限も具体的に与えることが出来る、というものです。

上で述べた結果の応用は幾つか得られているので時間があればある限り紹介します。

13:50-15:20 吉野 雄二 (岡山大自然)

タイトル:

On exactness of projective complexes over generically Gorenstein rings

アブストラクト:

I shall give a complete and precise proof of the following theorem:

Theorem: Let $R$ be a Noetherian commutative ring and

$X$ a chain complex consisting of finitely generated projective $R$ modules.

We assume that $R$ is generically Gorenstein.

Then $H (X) = 0$ (i.e. $X$ is exact) if and only if $H(X^*)=0$ (i.e. the

$R$-dual of $X$ is exact).

15:40-17:10 板場 綾子 (静岡大理)

3次元 quadratic AS-regular 多元環と superpotential

アブストラクト

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第13回岡山可換代数表現セミナー (OSCAR13)

平成28年7月4日(月)

岡山大学理学部2号館4階 D-401 代数講究室

プログラム:

11:10ー12:40 松井 紘樹(名大多元数理)

13:50-15:20 高橋 亮 (名大多元数理)

15:40-17:10 中村 力 (岡山大理)

講演内容

タイトル

松井紘樹(名大多元数理)…可換Noether環の右有界導来圏のBalmerスペクトル(1)

高橋亮(名大多元数理)…可換Noether環の右有界導来圏のBalmerスペクトル(2)

アブストラクト

テンソル三角幾何学(tensor triangular

geometry)は、今世紀に入ってからBalmerによって創設された新しい理論である。これは、与えられたテンソル三角圏(対称モノイダル構造を有した三角圏)に対し、そのテンソル積に関して素イデアルに相当するthick部分圏のなす集合にZariski位相に類似する位相を入れたBalmerスペクトルと呼ばれる位相空間を構成し、可換環論・代数幾何学的な理論を展開するものである。テンソル三角幾何学は、2010年のICMでBalmerが招待講演を行ったように、近年世界の注目を集めている。

この連続講演では、講演者たちの共同研究に基づき、可換Noether環上の有限生成加群の右有界複体のなす導来圏(以下、右有界導来圏)のBalmerスペクトルについて論じる。一つ目の講演では、完全複体のホモトピー圏に関するHopkins-Neemanのsmashべき零定理を右有界導来圏に拡張し、コンパクト生成および余コンパクト生成なthickテンソルイデアルを分類する。二つ目の講演では、右有界導来圏のBalmerスペクトルの位相構造を調べ、基礎環のスペクトル(アフィンスキーム)および各種のthick部分圏の集合との比較を行う。

中村力(岡山大理)

タイトル:

導来圏の局所化部分圏に付随する局所コホモロジーの消滅性

アブストラクト:

本講演の内容は岡山大学の吉野雄二氏との共同研究に基づく.

R を可換ネーター環とし,D(R) で非有界な導来圏を表す.Spec R の部分集合 W の全体と,D(R) の局所化部分圏 L_W 全体の間には自然な一対一対応が存在することが知られている.さらに三角圏の局所化理論によって,L_W から D(R) への包含関手に対して,右随伴関手 \gamma_W が存在する.この \gamma_W を,W にサポートをもつ局所コホモロジー関手と呼ぶ (W が局所閉であれば,\gamma_W は通常の局所コホモロジー関手 R\Gamma_W と一致する).本講演では,\gamma_W の性質に関する結果や計算例を紹介し,さらに有限生成加群 M の局所コホモロジー加群 H^i(\gamma_W M) に対してGrothendieck型消滅定理が成り立つことを示す.