2015-record

第7回岡山可換代数表現セミナー (OSCAR7) (pdf プログラム)

平成27年4月27日(月)

岡山大学理学部2号館4階 D-401 代数講究室 (交通案内)

プログラム:

14:00-15:30 宮崎充弘(京都教育大学)

15:50-17:20 藏野和彦(明治大学)

講演タイトルおよび内容

宮崎充弘(京都教育大学)

Tensor of indeterminates への特殊線型群の作用とその

不変式環のinitial algebra について

アブストラクト

高次元配列データ、すなわち行列の高次元版は、

データ解析の分野への応用と

関係して、近年さかんに研究されています。データ解析の分野では、高次元配

列データはテンソルと呼ばれています。私も九州大学の坂田先生、角先生と共

同で、テンソルの主に階数について研究しています。

独立な不定元を成分に持つようなテンソルをtensor of indeterminatesと呼び

ます。今回のお話では、2x2x3型、2x2x4型の3次元のtensor of indeterminates

に特殊線型群を2方向から作用させたときの、不変式環とinitial algebraにつ

いてお話しします。

この話は、

「可換環論と表現論 吉野雄二先生還暦記念研究集会」

の内容に、その後わかったinitial algebraの性質の話を付け加えたものです

が、証明のスケッチなどもお話したいと考えています。

藏野和彦(明治大学)

正規 Z^n 次数環のDolgachev-Pinkham-Demazure 構成

アブストラクト

非負整数で次数づけられている可換ネーター整閉整域 A (ただし、A_0 は体) は、あるA_0 上の正規射影多様体Xと、ある有理係数の因子Dによって、A = \sum_n H^0(X,O(nD)) と記述することができる。これをDPD (Dolgachev-Pinkham-Demazure) construction と呼ぶことにする。これによっ て、環Aのいろいろな性質がXとDで記述されるわけである。

この講演では、この理論をZ^nによって次数づけられた可換ネーター整閉整域まで拡張できることを紹介したい。A_a \neq 0 を満たすベクトル a \in Z^n で張られる R^n 内の錐の chamber分解(実は、fan の構造を持つ)を考えるところが、証明のキーである。

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第8回岡山可換代数表現セミナー (OSCAR8)

pdf プログラム

別紙 Qureshi さんアブストラクト

平成27年5月25日(月)

岡山大学理学部2号館4階 D-401 代数講究室

プログラム:

11:10ー12:40 村井聡(大阪大学)

13:50-15:20 松田一徳(大阪大学)

15:40-17:10 Ayesha Asloob Qureshi(大阪大学)

講演タイトルおよび内容:

村井 聡

大阪大学大学院情報科学研究科 情報基礎数学専攻

タイトル: cd-index and commutative algebra

アブストラクト:

The cd-index of an Eulerian poset is a non-commutative polynomial which efficiently encodes the number of certain types of chains of the poset.

The cd-indices are important in combinatorics since it has nice applications to face enumeration theory such as a solution of the Charney-Davis conjecture for order complexes.

Algebraically, the cd-index can be considered as a polynomial which describe the multigraded Hilbert function of the Stanley-Reisner ring of the order complex of an Eulerian poset. In this talk, I will explain a connection between cd-indices and commutative algebra from this point of view. In particular, I will explain how we can study cd-indices algebraically by using the theory of squarefree modules.

This talk is based on the joint work with Kohji Yanagawa.

松田 一徳

大阪大学大学院情報科学研究科 情報基礎数学専攻

タイトル:強Koszulトーリック環の周辺の話題について

アブストラクト:

強Koszul性の概念は、Herzog-日比-Restuccia によって導入されたもので、通常の Koszul 性よりも真に強い概念である。

本講演では、トーリック環に話題を絞って、強 Koszul 性に関する最近の結果を紹介する。

本講演の内容は、日比孝之氏(大阪大学)および大杉英史氏(関西学院大学)との共同研究に基づく。

Ayesha Asloob Qureshi

大阪大学大学院情報科学研究科 情報基礎数学専攻

Abstract: see the PDF file

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第9回岡山可換代数表現セミナー (OSCAR9)

pdf プログラム

平成27年6月29日(月)

岡山大学理学部2号館4階 D-401 代数講究室

プログラム:

11:10ー12:40 柳川浩二(関西大学)

13:50-15:20 岡崎亮太(福岡教育大学)

15:40-17:10 高橋亮(名古屋大学)

講演タイトルおよび内容:

柳川浩二(関西大学)

タイトル: Serre の(R1) 条件の標準加群による特徴づけ

アブストラクト:

Lukas Katthän 氏(オズナブリュック大学)との共同研究。

A を緩い条件を満たすネーター整域とする(ここでは条件の中身は

述べないが、体上有限生成整域やその局所環、

完備局所整域などでは

満たされる)。双対化複体の存在も上述の条件の一部であり、従って

A は標準加群 C を持つ(ただし、局所環でない場合、一意ではない)。

A が Serre の (R1) 条件を満たすか否かを C の振る舞いから

特徴づけることが、本講演のテーマである。

定理: A を上のもの、B をその整閉包とする。次は同値。

1) A は (R1) 条件を満たす。

2) A の標準加群で、 B の標準加群でもあるものが存在

3) A の標準加群で、B-加群の構造を持つものが存在

4) A のある(実際には、全ての)標準加群 C に対し、

End_A(C) は B と同型。

上の定理の「気持ち」は、(R1) 条件と (S2) 条件は、極めて

「独立した」条件であること・・・と言える。このあたりも、

講演ではもう少し詳しく述べる。

正規アファイン半群環の標準加群の記述は良く知られている。

上述の定理(の、やや弱い形)は、アファイン半群環の場合には、Schenzel

らの古い仕事に暗に含まれており、これが今回の研究の出発点となった。

この場合についても、幾つか精密化を与える。

岡崎亮太(福岡教育大学)

タイトル:

アフィン有向マトロイドの bounded complex と

マトロイド・イデアルの Cohen-Macaulay 性について

アブストラクト:

アフィン有向マトロイドは,

アフィン超平面配置の一般化を与えるもので,

その bounded complex は,アフィン超平面により分割されて得られる領域の内,

有界なものを集めてできる CW 複体に対応する概念である.2002 年に,I. Novik,

A. Postnikov, B. Sturmfels らは,アフィン有向マトロイドから定まるイデアル

「マトロイド・イデアル」を定義し,マトロイド・イデアルがbounded complex を

台とする cellular 極小次数付き自由分解を持つことを示した.

アフィン有向マトロイド(アフィン超平面配置)が「一般的な配置」であれば,

その bounded complex は閉球の分割を与えることが期待され,いくつかの予想・問題が,

T. Zaslavsky 氏や A. Björner 氏により提唱されている.

一部については,近年,X. Dong 氏により肯定的に解決された.

本講演では,アフィン有向マトロイドの bounded complex とマトロイド・イデアルの

Cohen-Macaulay 性に関して,関西大学の柳川浩二氏との共同研究で得た結果について

報告する.

高橋亮(名古屋大学)

タイトル:孤立特異点の導来圏の標準thick部分圏

アブストラクト:

三角圏のthick部分圏の分類研究は、1980年代のDevinatz-Hopkins-Smithによるp局所安定ホモトピー圏のコンパクト対象のなす三角圏のthick部分圏の分類に端を発する。その後それの可換環に対する類似物としてHopkins-Neemanが可換Noether環上の完全複体のなす導来圏のthick部分圏を分類し、それは後にThomasonにより準コンパクト準分離スキームに拡張された。一方、Benson-Carlson-RickardはHopkins-Neemanの定理の有限群に対する類似物として有限p群の有限次元表現の安定圏のthick部分圏を分類し、それはFriedlander-Pevtsovaによって有限群スキームに、Benson-Iyengar-Krauseによって有限群の導来圏に拡張された。このように、三角圏のthick部分圏の分類はホモトピー論・環論・代数幾何学・モジュラー表現論が共有するテーマであり、分野間の研究交流を通して現在も盛んに研究されている。

講演者は数年前に超曲面の特異圏のthick部分圏を分類したが、最近になってStevensonがそれを完全交差の導来圏にまで拡張した。一方、 Dwyer-Greenlees-Iyengarにより、完全交差の導来圏のthick部分圏は標準thick部分圏になることが示されている。本講演では、孤立特異点の導来圏の標準thick部分圏の分類を考える。

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第10回岡山可換代数表現セミナー (OSCAR10)

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平成27年8月3日(月)

岡山大学理学部2号館4階 D-401 代数講究室

プログラム:

11:10ー12:40 大関一秀(山口大)

13:50-15:20 谷口直樹(明治大)

15:40-17:10 小野舞子(岡山大)

大関一秀(山口大)

タイトル:ヒルベルト函数解析に於けるSally加群のフィルトレーションの有効性について

アブストラクト:

Cohen-Macaulay局所環(A, m)内に於けるm-準素イデアルIに対して,その第1ヒルベルト係数e1(I)の値が相対的に小さいものについては,イデアルIやIに随伴する次数環の構造が決定できるのではないかということは,J. D. Sallyによって予想されてきたが,それ以降,多くの関連問題が派生している。(ここで述べる「e1(I)の値が相対的に小さい」とは,Northcottによる不等式e1(I)≧e0(I)-l(A/I)に対して,その差e1(I)-e0(I)+l(A/I)が小さいことを意味する。ただし,e0(I)とl(A/I)はそれぞれIの重複度とA/Iの長さを表すものとする。)

これに対して,W. V. Vasconcelosによって提唱されたSally加群の理論が,第1ヒルベルト係数の値が相対的に小さいm-準素イデアルの構造を制御する際に有効であると考えられている。Sally加群とは,「そのヒルベルト函数が,イデアルIのヒルベルト函数の補正項をなす」,「その構造に,イデアルIの節減数の情報が反映されている」,「イデアルIの随伴次数環の深さの評価が可能である」など,イデアルIの主要な情報を含むものであり,その構造解析が問題解決の上で鍵となる。実際,後藤-西田-大関によって階数が1となるようなSally加群の構造解析が行われたが,それによって,等式e1(I)=e0(I)-l(A/I)+1を満たす様なm-準素イデアルIの構造を完全に決定することが出来る。一方で,階数が2以上のSally加群の構造は複雑であり,未解決の状態が続いていたが,M. V. Pintoによって導入されたSally加群のフィルトレーションの理論が有効であることがM. E. Rossi氏と講演者の最近の共同研究によって分かった。

本講演では,Sally加群のフィルトレーションについての基本的な理論の構築から開始し,それらがヒルベルト函数解析に於いてどの様な役割を果たすかについて述べたい。特に,Cohen-Macaulay局所環内に於いて,第1ヒルベルト係数が相対的に小さい値をとるような極大イデアルについての新たな特徴付けを与えることを目標とする。

谷口直樹(明治大)

タイトル: The almost Gorenstein Rees algebras of socle ideals

アブストラクト:

My lecture is based on the works jointly with S. Goto, N. Matsuoka and K. Yoshida. Almost Gorenstein rings are one of the candidates for a class of Cohen-Macaulay rings, which may not be Gorenstein but still good, hopefully next to the Gorenstein rings. The concept of this kind of local rings traced back to the paper given by V. Barucci and R. Fröberg in 1997. They innovated almost Gorenstein rings in the case where the local rings are analytically unramified of dimension one. Nevertheless, since the notion given by Barucci and Fröberg was not flexible for the analysis of analytically ramified case, in 2013 S. Goto, N. Matsuoka and T. T. Phuong extended the notion over arbitrary Cohen-Macaulay local rings but still of dimension one. More recently, in 2015 S. Goto, R. Takahashi and N. Taniguchi finally gave the definition of almost Gorenstein graded/local rings of higher dimension.

In my talk, we investigate the question of when the Rees algebras of socle ideals are almost Gorenstein.

小野舞子(岡山大)

タイトル: A categorical approach to Auslander-Reiten formula and applications

アブストラクト:

極大Cohen-Macaulay(MCM)加群の理論において,

Auslander-Reiten列の存在を保障するAuslander-Reiten(AR)双対定理は

大 変重要な定理である.また,環がGorenstein環でisolated singularityのときにはMCM加群のなす圏の安定圏が$(d-1)$-Calabi-Yauであることを表している.本講演ではAR双対定理か ら派生して得られた結果について紹介する.

さらにこの結果の応用して,次が成り立つことが分かったので概説する.

定理:

$R$を Krull次元$3$以上のGorenstein局所環で$M$をgenerically free(ここでは,高さ$d-2$以下の素イデアルでの局所化がfreeになる加群を指す)なMCM加群とする.$¥depth{¥Ext{d-1} {M}{M}}¥ge1,¥depth{¥Ext{d-2}{M}{M}}¥ge2$ならば,$M$は射影的.

本講演の内容は,吉野雄二先生との共同研究に基づく.

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第11回岡山可換代数表現セミナー (OSCAR11)

PDF プログラム

平成27年10月26日(月)

岡山大学理学部2号館4階 D-401 代数講究室

プログラム:

11:10ー12:40 高橋亮(名古屋大)

13:50-15:20 飯間圭一郎(奈良高専)

15:40-17:10 荒谷督司(岡山理科大)

高橋 亮 (名古屋大)

タイトル:剰余体を含む加群圏のthick部分圏の構造

アブストラクト:

アーベル圏の充満部分圏は、直和因子で閉じ短完全列に関する2-out-of-3

propertyをみたすときthickであるという。この講演では、可換ネーター局所環Rの有限生成加群の圏のthick部分圏Xのうち、剰余体を含むものの構造を調べる。

(1) Xがあるpunctured spectrumで局所自由な加群を含むとき

(2) Rが2次元以下のとき

(3) Rが素数標数でXがある(極大とは限らない)Cohen-Macaulay加群を含むとき

のそれぞれについてある種のlocal-global principleが成り立つことを示す。

飯間圭一郎(奈良高専)

タイトル:Perfect linkage of Cohen-Macaulay modules

アブストラクト:

加群のリンケージ理論は吉野雄二先生と五十川続先生により導入された

新しい概念である。以後Martsinkovsky, StrookerやNagelにより拡張され、

近年では多くの研究者によりさかんに研究されている。

本講演では高橋亮氏との共同研究において導入した

完全加群を軸としたリンケージについて得られた結果を紹介し、

後半では超曲面の場合にいくつか具体例を計算したい。

荒谷督司(岡山理科大)

タイトル:Exceptional sequences over path algebras of type D

アブストラクト:

exceptional sequence は Gorodentsev と Rudakov によって導入

された概念で,

有限次元代数上の加群圏やその導来圏などを調べるのにとても有用な

ものである.

また,有限表現型の遺伝的代数上では,任意の傾加群に対しその直既約因子に適当に

番号を付けることで exceptional sequence を得ることができる.

これらのことから exceptional sequence を分類することはとても意義のあることで

ある.

講演者は,A 型の path algebra 上の exceptional sequence を非交差連結木と対応

を与えることにより分類を与えた.D 型の path algebra 上の exceptional sequenc

e の分類は,井上さん,辻さん,苫谷さんとの共同研究で与えることができ,彼女た

ちの修士論文として纏められた.更に,徳永君との共同研究では彼女たちの修士論文

を改良することを試みた.

今回の講演では,徳永君と議論をして得ることができた結果を報告する予定である.

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第12回岡山可換代数表現セミナー (OSCAR12)

PDF program

平成27年11月16日(月)

岡山大学理学部2号館4階 D-401 代数講究室

プログラム:

13:30ー15:00 Luchezar Avramov (Nebrasca-Lincoln)

15:30-17:00 毛利出 (静岡大)

Luchezar Avramov (Nebrasca-Lincoln)

Title: Representation theory and Betti tables over short Gorenstein algebras

Abstract. A commutative standard graded algebra $R$ over a field $k$ is called short if $R_3=0$.

It has long been known that every short Gorenstein algebras $R$ is Koszul, and that the Poincar\'e

series of each finitely generated graded $R$-modules $M$ has the form $b^M(s,t)/H_R(-st)$,

where the numerator is a polynomial with integer coefficients. The talk will describe all the

polynomials that occur in such expressions and the semigroup of the Betti tables of all graded

$R$-modules. It is based on joint work with Courtney Gibbons and Roger Wiegand.

毛利出 (静岡大)

タイトル

Stable categories of graded maximal Cohen-Macaulay modules over noncommutative quotient singularities

アブストラクト

This talk is a report of a joint work with Ueyama. Let S be a noetherian AS-regular Koszul algebra

and G is a finite group acting on S such that the fixed subalgebra S^G is an AS-Gorenstein isolated singularity.

In this talk, we will show that the stable category of graded maximal Cohen-Macaulay modules

over S^G has a tilting object. This is a noncommutative generalization of the result due to

Iyama and Takahashi with a more conceptual proof.

The keys to prove this result are Buchweitz equivalence, Orlov embedding, Koszul duality, and Yamaura tilting.

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